11話 少女たちはすごい物を見つける
「なにかようか、王様。わしは今、武器を作ってるんじゃが」
家の奥から、むすっとした顔を出した。
「グラディオ、忘れたとは言わせないぞ! 今日は例のあれを確認しに来たんだ!」
「あー……そういえば、そうじゃったな。忘れてた」
「おい! 王様の約束を忘れるとは、どういうことだ!」
ずっと声を腹から出すピスタール王は、仁王立ちをして堂々と話す。
普段から、こんなに声がでかい人なのだろうか……ちょぴっとうるさい。
そんな王の前でも、態度は変えず、普通に返すグラディオおじさん。
「仕方がないじゃろ。わしは今、そんな完成した兵器よりもやることがあるんじゃ」
「兵器?」
聞いたこともない言葉に、私は興味が湧いて、口をつく。
すると、眉を寄せて、ピスタール王は言う。
「おい! そのことは、我と決まった王族の間でしか、話さない約束だろ!」
「別にいいじゃろ。こやつらは、すぐに旅に出るじゃろうし、話したって作って使うことのない兵器なんじゃから」
「それは、そうだけどな……もし、それが見知らぬ誰かに知られたり、その兵器目的で国が狙われたら、どうするというのだ!」
「そうじゃな。悪かった。けど、こやつらはそんなことしないと思うけどな」
「グラディオが信用してるのは、わかった。それじゃ、早速いつも通り確認するから、地下を開けてくれ」
「ちょっと待て!」
グラットが、ピスタール王の前に立つ。
目を丸くし、いつもの余裕の感じがない。
「兵器ってどういうことだ! ピスタール!」
「お前、グラットか久しぶりだな。何年ぶりだ?」
「そんな、話はいい。今、言っていた兵器ってなんだって聞いてるんだピスタール」
動揺を見せるグラットに、平然と返すピスタール王。
「お前に話すならいいか……」
そう呟いた後、ピスタール王はグラットに真剣な眼差しを向ける。
グラットは喉を鳴らして、唾を呑んだ。
「兵器は、お前の父親が作ろうとして、完成させられなかった破壊兵器のことだ。それを、グラディオが完成させたんだ」
「は? なんで、今さらそんなもん完成させてんだ? どういうことだよ? この町は平和なんだろ?」
「そんなこと我に聞かれてもな、正直、我もわからん」
そう言って、ピスタール王はグラディオに視線を向けた。
動揺するグラットを慰めるすべは、私とフィストにはない。
気づけば私たちは、蚊帳の外だ。
グラディオおじいさんは、変わらぬ表情で答える。
「兵器として使う日はこないかもしれない。けどじゃ……わしには、完成させる理由があったんじゃ」
「その理由って、なんだよ! じじい!」
「それはじゃな。職人として意地じゃ」
「は? 何言ってるんだよ。親父だって、こんな兵器はない方がいいって言ってたのに、あんたがその言葉を裏切るのかよ!」
「そうじゃな……それでも、わしは職人として意地があったんじゃ」
さらに、怒りが膨れ上がったグラットはグラディオおじいさんに近づこうとするが、ピスタール王が止める。
「やめとけグラット。一旦、落ち着け」
「落ち着けるかよ。俺は怒ってるんだよ」
「それでも、落ち着け、これにもちゃんとほかにも意味があるんだ。完成したことによって、この国はどんどん変わっていくんだ。お前の気持ちもわかるが」
「わかってたまるかよ! 俺の感情は俺にしかわかんねーよ!」
「この国にも魔法使いを兵として、受け入れるのに必要なんだ」
「何言ってんだピスタール。お前ら王族がお袋を追放したくせに」
「それは……我々が悪かった……でも、今はどうか落ち着いてくれ」
グラットの肩に強くピスタール王が手を置く。
その力強さに気が付いたのか、グラットはため息を吐いた。
「わかった……外に行く」
肩を落とし、舌打ちしてグラットは外へ、出て行った。
嵐が、去ったように静かになった工房の中で、一番最初にピスタールが口を開いた。
「それじゃ、地下を開けてくれグラディオ。君たちもみるかい?」
蚊帳の外だった私たちの方に、ピスタール王は視線を向けた。
「いいんですか?」
「いいさ。見るぐらいなら問題ない。だけど、他人に話すなよ」
「は、はい」
「わかりました」
私は少し怯えながら頷き、フィストは真面目に答える。
☾ ☾ ☾ ☾
工房の奥にある地下へと続く戸を開けて、私たちは石階段を下って奥へと向かう。
降りてすぐ、工房と同じぐらいの広さの空間が見えてくる。
最後の階段を降りると、空間の中心に台座のように設置された白色の球体が見えてくる。
それを、ピスタール王が手に持つ。
「これが、一つの国を崩壊させるほどの爆発力を持つ兵器だ」
「え、この小さいのが、そんな破壊力を持つんですか?」
「そうだ。だけど、これが爆発することはないだろう」
「なんで、ですか?」
私は、不思議に思いながら聞く。
薄い紫色に球体に刻まれたラインが光った。
ピスタール王は、ラインで描かれた円の中心に指をさして言った。
「ここに魔力を流さないといけないんだ。だから、我らピスタニア王国民には使える物がいない」
「な、なるほど……」
ずっと黙って聞いていたフィストが口を開く。
「では、どうしてそんな物を完成させたんですか?」




