8話 悪魔の影
ティアラ、ルーク、フィストが食堂で夜ご飯を食べている時と同時に、事は起こり始めていた。
西方面の国境の門の前では、二人の銀の鎧を身につけた兵士が立っていた。
この二人の兵は、夜の見張り役である。
「あぁ~……眠い」
「お前は、もっとしゃきっとしろよ。俺たちは国を守る兵士だぞ」
「だって、仕方がないじゃん。昼間は忙しいんだから、寝る暇だってないんだよ」
「忙しいって言いながら、お前はいつもギャンブルだろ。で、今日はいくら稼いだんだ?」
「ざっと、金貨十枚だぜ」
おおと一人の兵士が驚きの表情を見せている時だった。
国境の向こう側から、三人の影が見えた。
黒いマントで全身を包み顔まで隠れていた。
二人の兵士はそれに気づき、声をかける。
「止まってください。あなた方は、魔法使いですか?」
眠気を抑え込み兵士が、尋ねる
「お前らは、国の兵士か?」
真ん中を歩いていた一人が、口を開く。
近づくと、サメのように尖った歯が見えた。
まだ、声変わりしたばかりの子供のような声だった。
「そうだが、まずは、お前らの確認が先だぞ?」
「あ? これから、王になる俺様にお前と言ったか? あぁぁん?」
「そうだ! お前らは何者だと聞いている!」
そう声を上げた時だった。
質問した兵士の首が飛んだ。
気づけば、マントに身を隠していた一人が姿を見せていた。
長い黒髪が揺れている。人を一人殺したというのに無表情のままだ。
傷一つない真っ白な綺麗な肌に、動きやすくするためか胸の辺りしか守ってない装甲をつけた女性だった。
赤い瞳が、もう一人の兵士を捉えた。
「ひいい……!」
「やめろ、ヴェレット。情報源がなくなる」
「すいません。図々しかったので切ってしまいました」
「まあ、いいじゃないか一人ぐらい。俺様に免じて許してやろうヴェレット」
「ありがとうございます。シャグラッド様」
「シャグラッド様は、甘いですよ。もっと、怒らないとヴェレットはわからないですよ。バカなので」
ぷくっと無表情のまま顔を膨らませるヴェレット。
「うるさい。キャビラン」
「喧嘩はそこまでだ。とりあえず、そこのビビった兵士から情報を取れキャビラン」
「わかりました。シャグラッド様」
マントで身を包んだまま、一人が兵士に近づく。
「や、やめろ! こっちに来るな!」
恐怖に顔を青く染めながら、剣を握る。
だが、見えぬ速さで気づけば、目の前に立っていた。
「それでは、情報をもらいますよ」
兵士の被っていた銀色の兜を鋭い爪が貫通し、そのまま頭へと指が入る。
痛みに耐えるような声を出すが、兵士はどんどん力が抜けていき、持っていた剣が地面に落ちて、気づけば絶命した。
「それらしい情報はないですね」
「そうか……やはり、この国の王族に聞くしかないようだな。この国に眠る一つの国を簡単に壊滅させる兵器の情報を」
高らかに笑い声をあげて、ヴェレットが様をつけて呼んでいた男がフードを外して、国の方を睨む。
鋭い角に、鋭い牙を見せ、赤い眼光を光らせながら、悪魔は言った。
「俺が悪魔の王になるために、まずは一つの国を潰し、俺様は第七悪魔の座につくのだ!」
「シャグラッド様に、どこまでもついていきます」
「私もです」
二人の悪魔は、膝をついて、シャグラッドに頭を下げた。
「では、行こう! 兵器を探しに!」
そうして、三人の悪魔は夜の暗闇に姿を消した。




