7話 少女は薄く伸ばされたパンに出会う
今日一日、ピスタニア王国を歩き回って、楽しんだ私たちは夜ご飯を食べるために、商業区画の食堂に来ていた。
「お腹すいたなあ」
私は食堂の椅子に座り、お腹を撫でた。
「ティアラ、あなた昼間にたくさん食べてたじゃない。それで、お腹すいてるって、どんなお腹してるの?」
私の食力に引き気味に、言うフィスト。
確かに、昼間にたくさんクレープを食べたけど。
「夜は別なの!」
私は、はっきりとそう言う。
「ええ……すごいね」
やっぱり引き気味なリアクションをするフィスト。
「ま、一旦注文しよ」
手を一回鳴らして、ルークは笑顔で言う。
「はーい!」
「わかりました」
私たちは、机の上のメニュー表を見た。
色々、びっしりと書かれたメニューに目を回しながら、一つ気になる食べ物を見つける。
お肉野菜クレープ……。
なんだろうこれ。
名前的にクレープの中に、お肉と野菜が入っているのだろう。
想像すると、美味しそうだけど、さっきクレープを食べたばかりだから、飽きそうな気がする。
でも、気になる。てか、クレープって甘い食べ物じゃないの?
「決めた?」
ルークの言葉に、私とフィストは頷く。
「私は、野菜スープだけで大丈夫です」
「私は、お肉野菜クレープにします!」
結局、好奇心に負けてしまった。
「ええ……ティアラ、またクレープ食べるの?」
「良いでしょ! 気になったんだから!」
苦い表情をするフィストに胸を張って堂々と答える。
汽車見た後からフィストは感情を顔に出すようになった。やはり、こっちの方が接しやすくて、楽しい!
それにしても、クレープって甘いものだけじゃなくて、お肉とか挟んでいいんだ。
今日初めて、クレープに出会い、それだけで、私はクレープのとりこだ。
クレープは、この国で生まれた料理らしい。
甘い果実とクリームを挟んで食べる、薄い生地のパンだ。
しばらく、待つと食堂の人がクレープとスープ、ルークの前にはお肉と野菜が挟んであるサンドイッチが置かれた。
「おぉ……!」
私は運ばれてきた、食べ物を見て思わず声が出る。
すごく、美味しそう。
薄い生地のパンに、お肉と野菜が挟んであり見ただけで、これは美味しいとわかる。
お皿の上に置かれたそれを手に持って、口に運ぶ。
一口、かじる。
「んー!」
シャキシャキとした野菜と噛み応えあるお肉の感触を同時に味わい、幸せが口いっぱいに広がり、思わず頬が緩んだ。
薄いパンは、柔らかくすぐに嚙み切れる。そうして、生地の甘みが口に広がり、お肉のしょっぱさとマッチしている。
「何これ! 美味しい!」
「ティアラ食べるの早い」
フィストが、微笑みまじりで言う。
「美味しい物は、すぐになくなっちゃうんだよね」
「違うでしょ。ティアラが食べるの早いだけ」
「そうかな?」
少し、物足りなさはあるけど、お腹は満たされた。二個目はいらないかな。食べたいけど……。
それにしても、これは、またすごい料理を見つけてしまったかもしれない。
☾ ☾ ☾ ☾
それぞれが、運ばれてきた食べ物を食べ終わった後、机の上で水を飲んで一息ついていた。
そんな中で、ビスタリア大森国を出た時から密かに考えていたことを話してみる。
「私、魔法がまだ扱いきれてなくて、魔物と戦う時とか戦力になってないことがあると思います」
ルークは気を遣ってか、そんなことないよと優しく言う。
そんな、ルークに私は首を振って、真剣に言葉を紡ぐ。
「それでも、私はもっと戦力になりたいです! だから、武器が欲しいです!」
「武器? なんの武器?」
ルークは首を傾げて、聞き返してくれる。
「弓です」
弓を選んだ理由は、何個かあるが、一つ目はお父さんから小さい頃に教わっていたから、手元にあればすぐに使うことができる。
もう一つが、神の力を使った時、魔法で弓を出した。もし、あれが、元から手元にあったらもっと強い攻撃ができるかもしれないと思ったのだ。
「弓か……なるほど……」
私はルークの答えに唾を呑む。
「良いかもね! 明日、探してみよう」
「はい!」
ルークに向かって、元気に返事を返した。




