6話 銃使いの男は自分の居場所を見つけた
小さい頃、魔法使いのお袋が国から追放された。
理由は、武器職人の親父が魔性病という病になったからだ。
普通の人ならかからない病気になったのは、魔法使いのお袋のせいだと国中の人々が、口をそろえてそう言った。
魔性病とは、魔力が体の中で暴走して、体温が上がり、吐き気や倦怠感を感じるだけの病気だった。
けど、魔力の持たない親父がその病気になったことで、それは、国中に知れ渡る。
魔性病は魔力の持たない者が発症すると――――待っているのは死だけだった。
最初は、みんな怪訝に思うだけだった。
だけど、親父がその病で死んだことで、みんながお袋を責めた。その結果が追放だった。
その時からだろう。
俺が、虚無感に落ちたのは……。
一人ぼっちで、魔法を使うことができるみんなが俺を避けた。
子供だからと追放はされなかったが、大人になり、しばらくした後、じじいに旅に出ろと言われて、旅に出た。
今でも疑問があった。親父はなんでお袋を愛したんだろうか。
魔法使いを嫌う国で、どうして、魔法使いなんかと……。
――――女性は、どんな種族でも、どんな性格でも、どんな生まれでも、美しいんだぜ!
そんな、小さい頃に笑いながら言っていた親父の言葉の意味が俺にはわからない。
女は好きだ。だけど、俺は親父みたいな本当の好きを知らない。
時間が経ち、いつの間にかこの国は魔法使いを受け入れていた。
それもまた、俺を何もない闇の中に落とす要因であった。
親父は勝手に死んで、お袋は勝手に消えて、じじいは勝手に旅に促す。
国も人々も俺を受け入れなかったのに、気づけば勝手に魔法使いを受け入れていた。
みんな、勝手で嫌いだった。
「旅はどうじゃった?」
作業を続けながら、じじいは俺に話しかけてきた。
俺は、ここまでの旅を思い返す。
ビスタリア大森林を彷徨い、ようやく辿り着いた村で何日も可愛い女に絡んだ日常。
そうして、何度も危険な思いをして悪魔と戦った一日。
「そうだな……悪くはなかったぜ」
俺の答えに、作業の手を止めて笑う。
「そうか……それなら、良かった」
そうして、また手を動かした。
嫌いなはずなのに、不思議とやっぱり小さい時からこの工房は落ち着く。
「そうじゃ、グラット。お前の旅仲間連れてきてもいいぞ。欲しいなら武器の一つぐらい作ってやる。硬貨は取るがな」
「じじいは昔から本当に変わんねえな。ま、それは考えておくよ」
微笑みながら、俺はじじいの背中に向かって返す。
やっぱり、ここが俺の居場所なんだろうな……。
この虚無感がいつか、消える日は来るのだろうか、それまでに俺は生きているのか、わからない。
だけど、今はそれでいいと思った。




