3話 銃の国に到着
大きな壁を目の前に、私たちは思わずおおーと声が出る。
「わかってはいたけど、でかい……」
私がそう呟くと、グラットが口を開く。
「この壁がこの国には、あと二枚あるんだぜ」
「に、二枚!?」
「そうだぜ。二枚の壁を挟んで区画があるんだ。まずこれから入るのが、武器から日常の道具や食べ物が売っている商業区画で、その次が人が住む居住区画、最後に王宮区画の三つの区画があるんだぜ」
「すごい……」
もしかして、今まで来た町よりも大きい国なのでは……。
「とりあえず、中に入ってみよう」
ルークの言葉に足の止まったみんなが歩き始める。
大きな城壁を通るための、門を通り抜ける。
石畳が敷かれた道を通った。
見上げても、その頂上が見えない。
その城壁の大きさをさらに実感して言葉にできない高揚感が私を襲っていた。
「ティアラ、今までに見たことがないような表情してるよ」
微笑みながら、ルークが言う。
「ど、どんな顔してますか?」
手で顔を隠して、私は恥ずかしくなる。
「なんか、すごく楽しそうな顔してたよ」
「当たり前じゃないですか! 私、今までこういう国見たことないんですから!」
ビスタリア大森国に来た時も、そんな興奮をしていたけど、ルークを助けるという目的があったから、抑えられたのかもしれない。
「わかるよ。僕もすごく今、興奮してる」
ルークはピスタニア王国の街並みを眺めていた。
私とルークがそんな会話をしていると、後ろのフィストとグラットの話し声も聞こえてくる。
「どうして、三つも区画があるんですか?」
「それは、敵をこの中に誘いこんで、挟み撃ちで倒したり、空を飛ぶ魔法使い相手に、二枚目の城壁から撃ち落とすこともできたからな。ほとんどは、攻めてきた敵を抑えるための城壁なんだぜ」
「なるほどですね。私の国は基本魔物相手の侵入を抑えるための結界が張ってあるので、そういうことはあまり考えなかったです。面白い……」
「だから、この国は三枚の城壁を建てた後は一度もこの防衛ラインを突破されたことがないんだぜ」
「それは、すごいですね。結界をたまに突破してくる魔物がいるくらいなので、一度もないってのは、本当にすごいです」
さっきからずっとフィストは自分の国と重ねて考えることが多い。
それくらいには、自分の国を思っていることが伝わってくる。
気づけば、城壁を潜り商業区画に踏み入れていた。
私の視線が色々なものに目移りしている中、グラットが足を止めて、真剣な表情で言う。
「ここから、一旦俺は別行動させてもらうぜ」
私が少し心配しながら、聞く。
「どこに、行くんですか?」
「ちょっと、実家に顔を出すだけだ」
「もしかして、親に会いに行くんですか?」
「まあ、そうかな……だから、また後でな。商業区画は色んなものがたくさんあるから、楽しんでな」
軽く手を振って、グラットはポケットに手を突っ込みながら、歩いて行った。
なんだか、その背中は遠くに感じる。
この国を出るころ、グラットはもしかしたらいないのかもしれないと、なぜだか、そんな予感が頭の中をよぎった。
「まあ、自分の育った国だし、色々あるんだろうから、好きにさせてあげよう」
ま、だとしても私が変に考えることじゃないよね。
私はそんなことから、気をそらすようにフィストに笑顔を向ける。
「じゃ、私たちは楽しもう!」
フィストはまだ、慣れていないからなのか恥ずかしそうな顔をする。
「う、うん……」
さっきの真剣な表情で考えるフィストが嘘のように感じるくらい、照れた表情が可愛い。
猫耳が、ぴょこぴょこ踊っているのに本人の反応はまだ、ぎこちない。
だから、私はフィストの手を握り、そのまま走り出す。
「ほら、行こフィスト!」
「え……」
戸惑いを見せるフィストに私は、笑顔で笑う。
「楽しも!」
すると、フィストはほんのりと頬を染めて答える。
「うん……!」




