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2話 魔法と銃

 大きな壁が横に大きく広がり、ピスタニア王国に入る方向を絞っている。

 灰色の大きな壁に近づくと、そこには鉄の装備を身に着けた兵が立っていた。


「止まってください」


「は、はい……」

 

 門の下を潜ろうとすると、兵士に足を止められ、ルークが困惑気味に返事する。


 なんだろう……もしかして、入れないかもしれない?

 私はちょっと不安な気持ちになる。

 

「魔法使いなら、認識票を持っているだろう? 見せてくれないか?」


「あ! そういうことですね。わかりました」


 はっとして、ルークはバックパックの中を漁る。

 認識票ってなんだろう。

 また、知らない言葉だ。


 すると、ルークはバックパックから文字が刻まれた銀色の平べったい物を取り出した。


「これですか?」


「そうです。銀等級の魔法使いですね」


「はい。一応」


「では、通って大丈夫です」


「あ、はい。ありがとうございます」


 慣れていないような、対応をしてルークはバックパックに、銀色の物をしまった。

 

 私も内心、ほっとして国境の中へと踏み込んだ。


 ☾ ☾ ☾ ☾


 ピスタニア王国に国境を通って、道沿いに足を進めながら、私はさっきの気になったことについて、ルークに聞いた。


「さっきの認識票って何だったんですか?」


「あれは、前に話したマルクス師匠からもらった物なんだ」


「へえ……そうなんですね」


 マルクス師匠とは、ルークに魔法の美しさを教えた師である。

 

「師匠が、国境とか迷宮に入る時に必要になる時があるからって言われて渡されたんだ。言い方的に僕は全く、使わないと思っていたけどね」


「ああ、それはな、この国が魔法使いに厳しいってのもあると思うぜ」


 後ろを歩くグラット、言った。

 すると、すぐに興味を持ったフィストが聞き返す。


「なんで、魔法使いに厳しいの? 私の国だと誰でも簡単に入れるんだけど」


「それはな、この国の人が魔法を使わないからだな。いや、使えないんだ」


 魔法って、誰でも使おうと思えば使える物じゃないの?

 平然としながらグラットはさらに、続ける。


「過去の戦争で、魔法使いにぼこぼこにされたから、この国の人たちは魔法使いに厳しいんだ。でも、それも昔の話だな。今じゃ誰でも入れる国だけど、国境のあれは、昔の名残がまだ残ってるってことだな」


「そうなんだ……なんだか、面白い話ですね」


「別に面白くないだろ」


「私は結構、こういう歴史の話、昔から好きなんで旅出てそういうのも触れたいと思っていたんです。話してくれてありがとう」


「お、おう。そっか……」


 感謝され慣れていないのか、グラットは頬を搔きながら視線をそらした。


「でも、確かに面白い話だね。あまり興味はなかったけど、実際に聞いてみると面白いね。こういうのも旅の醍醐味なのかもしれないね」


「確かにそうですね! 私も興味が湧きました!」


 ルークの言葉に、私は笑顔で答える。

 

 すると、調子に乗ったグラットがさらに話す。


「ちなみに、この国は魔法使いに対抗するために、一番最初に銃を作った国なんだ。だから、みんな口をそろえて言うんだ。あの城塞都市を銃の国ってね」


 グラットが視線を向けた先に、ようやく国の景色が見えた。


 高く積み上げられた石造りの城塞。

 赤やオレンジ色の暖色系に彩られた明るい街並みが見える。

 私は、初めて見る国の景色に息を呑んだ。


「あれが……ピスタニア王国」


 私はそう呟き、圧倒された。

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