奴隷少女は糸口を見つける
洞穴に戻ると、焚火が焚いてあり、そこに体中の切り傷を治療したフィストが小さくうずくまって座っていた。
どうしたんろう。フィストに元気がないように感じる。
「で、そのベルガンドに勝つ方法ってなんだ?」
「いや、見つけられるかもしれないだけで、まだなんですけど」
「あなた達じゃ、ベルガンド様の中にいる悪魔に勝てるすべは、ありません」
洞穴の入り口付近で、縛られ身動きできない、さっき戦った獣人が不気味に笑っている。
「お前、うるせ! 黙っとけ」
グラットが、その獣人を蹴り上げた。
私のあの力を使えば倒せるかもしれないけど、マジックアイテム魔法封じの目をなんとかしないと、また同じ轍を踏むことになる。
「その、ベルガンドが持っていたマジックアイテムをどうにかしないと」
「あぁ、あれな……でも、ルークが魔法封じられただけで、俺は封じられてないんだよな」
「ん?」
グラットの今の発言に私は首を傾げる。
「グラットって魔法使えるんですか?」
「あ、言ってなかったか。俺は、こうやって……」
なにもない手の中に、魔法陣が光、いつの間にかグラットは腰に下げた銃と同じ物を手に握っていた。
「特殊魔法ってやつで俺は、銃を作ってるんだよ。さっきのスタングレネードもそうだ」
「なるほど……」
もしかして、あのマジックアイテムを使う相手は人数が決まっている?
いや、それはない。だったら、最初からグラットは魔法を使えていないはずだ。
そういえば、ベルガンドの目をスタングレネードの光で潰した時、魔法は使えた。
「わかったかもしれない。あの、マジックアイテム発動条件が」
「本当か! 発動条件はなんだ」
「あのマジックアイテムはなんらかの形でギルガッドの目と繋がってる。だから、ギルガッドの視界に入っている人が魔法を使えなくなる仕組みなんじゃないかと」
「なるほどな……でも、俺が魔法を使えた理由はなんだ? もしかして、俺が特別だからか?」
「それは、ギルガッドの意思だと思います。ギルガッドが魔法を止めたいと思った相手の魔法を封じているだけだと思います。あの時、ギルガッドはグラットが魔法を使うなんて知らなかったから、魔法を封じることができなかったのかもしれません」
「なるほどな……」
グラットの見た目は完全に銃使いだ。
私も今の今まで、グラットが魔法を使って銃を出すなんて知らなかったし、相手が知らなくてもおかしくはない。
「そっか、俺の見た目じゃ、魔法使うなんてわからないか」
これで、とりあえず、マジックアイテムのある程度の予想はできた。
後は作戦を立てるだけだ。
まず、作戦を立てるのに必要なのは……。
ビスタリア大森国の地形か。
「じゃ、俺は一旦外の風浴びてくるぜ」
「え、作戦会議はしないのですか?」
「ティアラ、俺じゃフィストと話すことができない。なにに悩んでいるかわからんが、そういうのは歳が近い同士で話した方がいい。だから、俺は行くぜ。終わったら呼んでくれ」
「わかりました。フィストと話します」
「おう、任せた。俺はこのやろうと一旦外に行くぜ」
「いた、痛い!」
「うるせ!」
軽く手を振って、洞穴の外へ縛った獣人と一緒に出ていくグラットを見送り、私はフィストに向き合う。
言われてみれば、さっきからフィストが話に反応を示さない。
ギルガッドに勝てる可能性の話をしているのに、全く中に入ってくる気配もない。
なにか、あったのだろうか。
私は、フィストの隣へ座り話を聞くことにした。




