表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
17/27

奴隷少女は平和な村に目を覚める

 ――あ、たには、ごがあり、す。


 声が聞こえた。


 目の前には、青い瞳の美しい女の人が羽を生やし、青い髪を揺らして、飛んでいた。

 

 この人……なんだか、私に似ているような気がする。


 ――めが、の力のか、があり、す。

 

 綺麗で透き通るような、声が途切れ途切れに頭の中に聞こえてくる。

 私は絞り出すような、小さな声で聞き返す。


「あなたは、誰ですか?」


 ――わた、はティアラ、あ、たの、からです。


 力……?


「てか、なんで私の名前……」


 ――そ、は、そのうちわか、ます。それでは。

 

「ま、待って!」

 

 青髪の女の人は微笑みながら、そのまま飛んで行ってしまった。

 手を伸ばしても、その手はなにも掴まなかった。


 ☾ ☾ ☾ ☾

 

 「――――はっ!」

 

 勢いよく目を覚ますと、私は天井に向かって手を伸ばしていた。


 なんで私……天井に手を伸ばしてるんだろう……?


 ゆっくりと体を起こし、窓の外を見る。


 そっか、助かったんだ……生きてるんだ。


「よかった……」


 なぜだか、目頭が熱くなってしまう。

 我慢しようと頑張るが、やがて決壊して、ぽつぽつと涙が掛け布団を濡らした。


「なんで、泣いてるんだろう私」


 私は掌に落ちた一粒の涙を見て気づく。


 そっか、私は誰よりも怖くて、不安だったんだ。

 せっかく牢から出たのに、あっけなく旅が終わってしまうかもしれない。

 そんな不安を無意識に感じていたのかもしれない。

 だから今、まだ旅を続けられる嬉しさと安心で涙が出ているんだ。


 ひとしきり泣いた後、私は目元を拭い立ち上がろうとする。


「ん……?」


 足のあたりに重みを感じて、視線を向ける。


「あれ、ルークがいる」


 丸椅子に座り、ルークがベッドに俯せて寝ている。


 そういえば昨日、ルークに抱えられながら魔力の使い過ぎで、気絶しちゃったんだ。


 思い出すと、顔に熱くなってしまう。

 ってことは、ルークがここまで連れてきてくれたってことかな。

 

 私は、もう一度ルークの寝顔を見る。

 乱れた髪がルークの顔を隠していたから、指でなぞって髪を避ける。

 気持ちよさそうに寝ている顔に、私は微笑む。


 ルークの頭をそっと撫でて、囁くように私は言う。


「ありがとうございます。ルーク」


 私は、ルークを起こさないように静かにベッドから起き上がった。

 いつもの旅服に着替え、私は外に出る準備をし、そっと音が出ないように扉を閉じた。


 少し、外を歩こうと。


 ☾ ☾ ☾ ☾


 外に出ると、澄んだ青い空に雲がぷかぷかと浮いている。

 その雲が、昨日食べたハンバーグに見えて、お腹が減ってきてしまう。


「美味しそう……」


 ぽたっとよだれが、土の上に垂れる。


 ダメだ。


 今は、硬貨がないからなにも食べられない。ルークが起きるまで待つか……。


「はあ……でも、お腹すいたな」


 まあ、村でも歩いてルークが起きたら、昨日の酒屋でまたハンバーグ食べよっと。


 私は、まずスリグラ村の中心の方に向かって歩みを進めた。

 すると、人とすれ違うたびに、私に向かって感謝の言葉が飛んでくる。


「青髪の姉ちゃん! 昨日はありがと!」

「ど、どういたしまして」


「姉ちゃん、昨日は大活躍だったな!」

「そ、そんなことないですよぉ……」


「昨日の魔法すごかったぞ!」

「は、はい……」


 村を歩くと必ず、声をかけられ感謝されたり、褒められる。

 こういうのには、慣れてなくて少し照れてしまう。


 ど、どうしよう。村の視線がみんな私を見てる……。

 悪い気はしないけど、恥ずかしい。


 だって、実際頑張っていたのはルークで、私はほとんどなにもしてない。

 ルークがいなかったら、私は諦めていただろうし、その感謝の言葉はルークに伝えて欲しい。

 

 そんなことを考えながら、村の中心の方に進んでいくと、優しく叩かれる。


「あの……」


 振り向くとボロボロも襤褸を着て、昨日剣でオークの首を何個も切り落とした人が立っていた。

 襤褸で顔が隠れていて、異様な圧を感じる。

 

「な、なんですか?」

 

「話があるので、酒屋に来てくれませんか?」

 

「わ、わかりました……」


 私はその圧に押されて、断ることができずに、ついて行くことにした。

 まあ……村を守るために一緒に戦った人だから悪い人じゃなさそうだし、大丈夫だろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ