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夢見る少女は世界を旅する  作者: フォッツ
一章 奴隷少女
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14/22

奴隷少女は村を守るために戦う 1

 今回はルークとは、部屋が別になった。

 

 ベッドと窓だけがある小さな部屋。これだけで、私はありがたいと思う。


 心の中で宿の人に感謝しながら、私はベッドに横になる。

 

 掛け布団の中から、少し顔を出し、夜空を見る。

 静かな夜に、鳥と虫の鳴き声がリズムよく聞こえた。

 綺麗に澄んで見える夜空には星と月がキラキラと光っている。


 なんだか、ここ最近、奴隷の時の記憶がだんだん薄れていくように感じる。


 夜空を見上げるたび、ここまでの道のりを思い出し、気づくと奴隷の頃の私が遠くにいる。


 いつも見上げる月、だけど、見上げている場所が違う。

 結構、遠くまで来たのかな。


 いや……。


 私は、前に進んだんだ。

 たくさん歩き、たくさん見て、たくさん食べた。

 私は、旅に出てたくさんのことを知って記憶した。

 だからだと思う。

 奴隷だった時の色のない日常が、すべて新しい記憶に塗りつぶされているから、そう感じるのかもしれない。

 

 明日の私はどこにいるのかなと想像しながら、私は目を閉じた。


 ☾ ☾ ☾ ☾


 ――カンカンカンカン。


 キーンと耳に響く音が聞こえて、目が覚める。


「な……なに?」


 ぼーっとする寝起きの頭じゃ、今の状況が把握できなかった。

 布団から出て、身を乗り出すように窓の外を眺める。

 

「東に魔物の大群を発見! 戦える者は東の木壁に来てくれ!」


 そんな、叫び声が何度も何度も繰り返される。


 村の東に魔物の大群……。


 冷たい風が、胸の奥を撫でた。


 今の状況がどれだけ危険な状態なのか、容易に想像できた。

 魔物の大群が迫ってきているということは、逃げ場所がないということだ。

 

 この木壁の向こうは、魔物たちが存在する危険地帯。


 村に魔物が入ってきたら……まずい。


 そんな、嫌な想像をしているとコンコンと部屋のドアがノックされる。

 急いで開けると、そこにはルークが普段通りの優しい表情を浮かべて立っていた。

 

 不安が少し、薄れる。


「僕はこれから、この村を守るために魔物たちと戦う、ティアラはどこかに……」


「私も行きます」


 私は、食い気味にはっきり言う。

 ルークは、どこかに隠れてとか言おうとしたのだろう。


 だけど、それじゃダメだ。


「私も、この村を守りたいです。できることは少ないかもですけど……」


 ルークみたいに魔法をうまく使えるわけじゃないけど、私にだって、できることはあるはずだ。

 私だって、弱いなりに戦いたい。

 美味しい食べ物を食べさせてくれたこの村を私は守りたい。


 真剣な表情で私はルークの顔を見つめる。


「わかった。ティアラも連れて行く。だけど、無茶はしちゃダメだよ」


「わかりました!」


 そして、私は寝るために脱いだ冒険着を着て急いで、宿からルークと飛び出すように外へと駆けた。

 

 村は夜なのに、騒がしく、村の人たちが武器を持ち木壁の方に向かって行く。

 銃や弓、剣を握りしめる人の中には、震えている人もいた。

 

 私も怖くないと言えば噓になる。

 だけど、ルークがいるだけで心強い。

 大丈夫、絶対に明日は来る。


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