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奴隷少女は魔法を習う

「魔法は、想像力だよ」


「想像力……?」


 ここは、商業都市ウェルトから少し離れた位置にある平原の真ん中で、私はルークに魔法を教えてもらっていた。

 

 周りを見渡せば、後ろに都市が見え、右左を見れば緑色の地平線がどこまでも平がっていた。

 そして、目の前には、入ればしばらく出てくることが難しそうな森が立ちはだかっていた。

 

 その森の名前は、ビスタリア大森林。


 この森に入るとたくさんの魔物が生息している。

 いつ襲ってくるかもわからないし、硬貨を稼ぐには魔物を倒して素材を売るのが一番効率が良いとルークが言っていた。

 だから、魔物との戦闘は避けられないのだ。


 後、私が戦えるようになれば、稼ぐ効率もさらに上がる。

 

 わからないことに、首を傾げるとルークはわかりやすく話した。


「つまり、魔法っていうのは頭で想像したことを具現化することを言うんだ。だから、魔法の可能性は無限大だよ。なんでも、できるんだ」


「おぉ~わくわくしますね!」

 

「じゃ、まずは」

 

 ルークは指を一本立てて、話す。


「ティアラの使える適正属性の魔法を確認しよう」


「適正属性?」


 わからない言葉に、また、首を傾げる。


「適正属性っていうのは、火、水、風、土、雷の五大属性の魔法の中で、自分に一番合ってる魔法を適正魔法って言うんだ。ちなみに、僕は火の適性があるよ。だけど、僕ぐらいになると、全属性使えちゃうんだけどね。こんな感じでね」


 最後に鼻を高くして、どや顔しながら、ルークはいとも簡単に、掌の上で火を出したり、水を出したり、風を出したり、土を出したり、雷を出したりする。


「す、すごいです!」


 いとも簡単に、掌の上で魔法を操るルークの姿は、とんがり帽子の魔法使いである。


 ふふっと嬉しそうに微笑みながら、ルークは話を続ける。

 

「つまりは、自分に合ってる魔法を探そうってことだよ。とりあえず、やってみようか」


「はい、わかりました!」


 私は元気に返事を返した。


 魔法を使えるようになって、私も空を飛んだりしてみたい。

 だから、頑張る。


「とりあえず、一つ一つ想像していこう。目を瞑って、両手を前に出してみて」


「はい……」


 私は、頷きながら、言われた通りに動作する。


 ルークが言うには、確実に私には魔力があると言っていた。

 その理由は、私から放たれたあの強い光が証拠だとルークは魔法を教える前に話した。


 だから、魔法は多分出るはずだ。後は、どんな魔法なんだろう。わくわく。


 集中しながら、目を瞑り、両手を前に出した。


「そしたら、頭の中で、掌の上で魔法を発動する想像をするんだ。そしたら、自分の得意な属性魔法だけが出るはずだよ」


「わかりました。やってみます」


 頭の中で、魔法を発動する想像……。

 私は、自分の頭の中にある魔法の想像をたくさんする。


 温かい火に、冷たい水、心地の良い風に、ざらざらとした手触りの土、そして、私の苦手な雷。

 私の手の中に現れる魔法は何だろう……。


 しばらく、目を瞑っていると体が熱くなってくる。

 胸のあたりから、手にかけて、血が流れるように、なにかが流れているような気がした。

 これが、もしかして私の中にある魔力なのかもしれない。


「ティアラ、目を開けて」


「ん……?」


 ルークの声を聞いて、私はゆっくり瞼を開ける。


「ティアラ、これが君の適正魔法だよ」


「わあ……」


 手の上には、白い円が光、そこからキラキラと太陽を反射して輝く、水が出てきていた。


「もしかして、私の魔法って水?」


「水だね。水は無限に形を想像で変えることができる魔法だから、想像力でいくらでも強くなれる魔法だよ」


「やった! 魔法使えた! 嬉しい!」


 ルークの説明なんかよりも、自分で使うことができる魔法を目の前に、小躍りするような気持でいた。

 とにかく、自分でも魔法を使うことができることが嬉しかったのだ。


☾ ☾ ☾ ☾


「よし。とりあえず、次は攻撃魔法であるウォーターボールを使えるようになろう」


「はい!」


「とは、言っても水魔法は基本、攻撃に適してないんだよね」


「へえ……」


 確かに、水で攻撃と言われても、ダメージを与えたりする想像ができない。


「だから、水魔法は敵の動きを鈍らせたり、邪魔したりするために使うんだよ。強くなれば、水魔法で魔物の動きを完全に止めたり、倒したりしちゃうんだけどね」


「なるほど……つまり、水魔王は結構頭を使うってことですね」


「そういうことだね。ティアラならちゃんと頭を使って、水魔法を使いこなせそうだね。それでは、早速、ウォーターボールを使ってみよう」


「わかりました!」


 ルークは森の方に指を指して、言う。


「とりあえず、あそこの木を狙って、ウォーターボールを放ってみよう。さっきと同じように想像して、ウォーターボールって詠唱してみて」


「わかりました。やってみます。てか、詠唱するんですか?」


「うん。僕は詠唱なくても頭の中ですべてを解決できるから必要ないけど、ティアラは初めての魔法だし、魔法陣まで想像できないでしょ。だから、詠唱で補助して魔法陣を作って、魔法を発動するんだよ」


「でも、さっきは詠唱なったですよ?」


「あれは、魔法を出すだけだったから、魔力があれば誰でもできるんだよ。だけど、今回は水の形を作らないといけないからね」


「へえ……そうなんですね」


 疑問が少し、解決した後、私はとりあえず、言われたことをやり始める。

 

 深呼吸した後、私はルークに指定された木を狙って、掌を向ける。

 目を閉じて、私は丸い水の塊を想像する。


 また、さっきと同じように胸のあたりから、手にかけて熱いなにかが流れていくような感覚になる。

 そして、手に流れる熱がすべて集まったタイミングで、私は目を開き、はっきりと言う。


「ウォーターボール!」


 白い魔法陣から、丸い水が出てきて、狙った方向に一つ飛んでいく。

 定めた狙いの位置からズレた位置で、ウォーターボールはぶつかり、破裂した。


 そんな光景を後ろから見ていたルークは、拍手した。


「ティアラには、魔法の才があるのかもしれないね。初めて魔法を使ったとは思えないくらい、上手に魔法を使えてる」


「え、本当ですか!」


「うん。もう少し鍛えれば、狙った方向に飛んでいくだろうし、他の魔法も使えるようになるかもしれないね。だけど、今はとりあえず、ウォーターボールを極めよう。これは基礎だからね」


「わかりました! 私、頑張って水の魔法を極めます!」


 このまま、成長したら私、水魔法最強の魔法使いになってしまうかもしれないな。

 心の中で、私は鼻を高くしてどやっとした。


 ルークは地面に置いた荷物を担ぎ、言う。


「それじゃ、森の中へ行こうか! ここからは気を引き締めて行こう!」


「はい! 行きましょう!」


 そうして、危険な森、ビスタリア大森林の中へと入っていった。

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