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第19話:『心の声、放送事故中!』


【学校・全校集会】


体育館。全校生徒が集まり、校長先生の長い話が続いている。

つばさとひなたは列が離れているが、いつもの「秘密回線」でイチャついていた。

(……ひなた、今日のポニーテール、マジで反則。うなじが綺麗すぎて、後ろから抱きしめたくなるわ)

(もう、つばさくんったら! 私だって、さっき体育着に着替える時のつばさくんの腕の筋肉、直視できなかったんだから……)

二人が脳内で甘い会話を繰り広げていた、その時。

(キィィィィン……!)

突如、体育館全体に、二人以外の耳にも「声」が響き渡った。

『……ひなたの唇、ぷるぷるしてて美味そうなんだよな。早く放課後にならねーかな』

『私も……つばさくんの匂い、嗅いでると安心するの。大好きだよ、つばさくん……』

「「…………え?」」

校長先生の話が止まった。

全校生徒が、まるで時が止まったように静まり返る。

そして、一斉につばさとひなたの方を振り返った。

「いまの……放送室のトラブル?」

「いや、マイク通してないぞ……頭に直接響いたんだけど!」

「つ、つばさとひなたの声じゃねーか!!」

二人は凍りついた。

テレパシーが「共鳴」しすぎて、半径数十メートル以内にいる全員に、二人の「熱い本音」がダダ漏れになってしまったのだ。

「や、やばい……ひなた! 考えるな! 何も考えるな!!」

つばさが必死に念じるが、焦れば焦るほど、ひなたへの愛おしさが逆流して溢れ出す。

『ああ、もう! 焦ってるつばさくんも可愛い! ぎゅーってしたい!』

『お前、全校生徒の前でなんてこと……! 俺だって、お前を独り占めしたくてたまんねーんだよ!』

「「あああああああああ!!」」

二人は同時に叫び、顔を真っ赤にして体育館から飛び出した。

後ろからは「ヒューヒュー!」「ごちそうさま!」という爆笑と喝采の嵐。


【放課後・帰り道】

「……もう、学校行けない」

ひなたが土手の草むらに顔を埋めて悶絶している。

「……俺の威厳、完全崩壊だわ。校長先生、最後ニヤニヤしてたし」

つばさは溜息をつきながらも、ひなたの隣に座り、その手をしっかりと握った。

(……でも、ひなた。隠さなくてよくなったのは、ちょっと楽かもな)

(……つばさくん?)

(世界中に、俺がお前のこと大好きだってバレたんだ。もう、誰にも文句は言わせねーよ)

その「声」は、今度は優しく、二人だけの胸の内に響いた。

暴走したテレパシーは、二人の絆がもはや誰にも引き裂けないほど強固であることを、図らずも全校生徒に証明してしまったのだった。

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