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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜令嬢婚約パーティー殺人事件〜 第1章 現世に蘇った爆弾魔

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第26話 アドランの先輩

「「「「乾杯〜!!」」」」

「皆様、今日はお忙しい中、

 私の誕生パーティーに参加してくださってありがとうございます」


 盛大に拍手の中、

 女性は明るく笑って見せた。


「今日は他にも、

 皆様のお力があってこそ、

 ハルトマン財閥は創始者の死を超えて繁栄の道を歩んでいます。

 今では創設五十年の記念日までもう少しになっております。

 どうか楽しんでください」


 彼女は一礼し、壇上から降りた。

 そして、パーティーが始まった。


「【ミレイ】先輩!」

「アドラン!

 久しぶり〜!」

「お久しぶりです!

 今日は一段と綺麗ですね」

「ありがとう!

 私もアドランが来てくれてとても嬉しいよ」


 実はミレイは小学校の頃、

 アドランが通っていた学校の先輩であった。

 中学でも同じ学校に通っていた。

 同時に格闘技の先輩でもあり、

 アドランにある程度の護身術を教えたのも彼女であった。


「聞いてるよ、アドラン。

 冒険者になったのよね?」

「はい!

 先輩から習った技も使って魔獣を倒してます!」

「あはは!

 アドラン自身も強かったからよ。

 アタシのはいざという時の護身用。

 お婆様に言われて身につけたものなのよ」

「でも、先輩がきっかけだから今でも感謝しているんです」

「ありがとう!

 彼も来たの?」

「え?」

「ほら、今ではアナタ以上に有名な彼よ」

「ああ、カナイチですか?

 ……カナイチは」


 アドランは恥ずかしそうに、

 視線をカナイチの方に向ける。

 カナイチもアドラン達と同じ学校に通っており、

 アドランの仲間だからと招待されていた。


 カナイチは……

 皿いっぱいの料理をもぐもぐと食べていた。


「流石、ハルトマン財閥が主催のパーティー!

 美味しい料理が目白押し!」

「もう!

 カナイチったら、バクバクと食べて……

 恥ずかしい」

「だって、美味しい料理だよ?

 食べないと損じゃない!」


 くすくすと笑われてもカナイチは気にしない。


「全くもう」

「いいじゃない。

 にしてもカナイチくんも相変わらずだね、頭」

「一応、気にして髪を整えたのですけどね」

「……実感がちっともわかないのは私だけ?」

「でも、本当にカナイチくんは最近有名になってきたのよ?

 ギルドでもお手上げな難事件を解決に導いたって。

 最近だとゴミ屋敷殺人事件?」

「それほどでも。

 ゴミ屋敷殺人事件は、

 ギルドの人がきちんと捜査してくれているからできることであって、

 もし怠けていたら、

 犯人を追い詰める手は足りませんでしたよ」

「そういえば、中学でもあったじゃない?

 学校で困りごとが起きた時にカナイチくん、

 真っ先に調べて見つけたこと」

「あったあった!

 小さい時から変な理屈とか持っていたよね」

「変って言うの?」

「ミレイ!

 もしかして君達なのかな?

 ミレイの同級生って」

「ええ、ハルヒコさん。

 カナイチくん、アドラン。

 紹介するわ。

 彼は【ハルヒコ・ノーマン】。

 アタシの財閥、

 ノーマン財閥はハルトマン財閥と、

 長いお付き合いをしていて彼は次男なのよ」

「初めまして」

「「初めまして」」

「で、アタシの彼氏でもあるのよ。

 ……まあ、夫になるのだけどね」

「夫!

 つまり、先輩は結婚するのですか?」

「そういうことになるわね。

 貴族って結婚が早いのよ」

「へ〜!

 びっくり!」

「先輩、おめでとうございます!」

「ありがとう」

「真正面から言われると照れるけどね」


 ハルヒコは恥ずかしそうに頭を掻いた。


「でも、カナイチくんとはこうして会えて良かったよ!」

「え?」

「僕、事件とかの話を聞くのが好きで……

 君が解決してきた事件を聞かせてくれるといいな」

「いいんじゃない?

 アタシにも聞かせてよ」

「……わかりました。

 では、話しておきますよ。

 グラットン・ベアの時の事件からでよろしいですか?」


「グラットンベアか。

 当時、聞いた時は恐ろしかったな〜

 エルニアも一時、ざわついてたじゃない?」

「あっ、ちょっと待ってください。

 少し飲み物を持ってきますので」

「ええ。

 ジュースはあっちで、

 お茶などはあっちね」

「ありがとうございます」


 そして、カナイチはお茶がある方へ向かった。


「……ん?」


 カナイチは見た。

 二人の男性がニヤニヤと話しながらミレイを見ているところを。

 口から見て取れたのは……


“あれが例のお嬢様か”

“うまくいけば……”


 一人はネズミのように痩せ細っていて、

 もう一人は男性らしい肉体を持った男だった。


「……?」


 カナイチは不思議に思ったが、

 まだ何もしておらず妄想だけに留めるかも知れないと思って、

 特に何も言わなかった。

 自分が警戒すればいいとも思って、

 まさか、これがこの事件の闇が噴き出すとは思わずに……

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