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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜ゴミ屋敷殺人事件〜 第2章 解決編

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第23話 事件解決

「……アナタが……

 おじさんを……

 なんでーー」

「金だよ」

 ブンタはこれ以上言い逃れはできないと思ったのか、好青年の顔から凶悪な顔に変貌した。

「お、お金……?」

「ああ……

 あのゴミ男が持っていたあの土像は滅多に手に入らない激レアのアイテムなんだ。

 バレないように売ったとしても金貨数十枚は下らない。

 コレクターに売ればそれ以上かな?

 少なくともこんな仕事をし続けるよりも大金が手に入る。

 あれを見つけた時は俺にも運が回ってきたと思ったんだ。

 だから、あいつの周辺を徹底的に調べたよ。

 そのガキの言う通りさ」

 そう言ってブンタははっきりと恥もなくそう言い切った。

「あ、アナタの物でもないのに盗もうとして……

 それでおじさんを殺したの!?」

「ふん!

 あのゴミ男だってゴミを拾い続けたじゃねえか。

 俺はそのゴミを有効的に利用しただけだ。

 せっかく俺が盗む程度の被害で終わらせてやろうと思ったのに……

 ゴミを拾うためのハサミを忘れたとか言って戻ってきやがって……」

「そして、泥棒だと騒がれる前に引きずり込んで撲殺した」

「……ああ。

 でも、俺は良いことをしたと思ってるぜ?

 何せ、あのゴミ男で嫌な思いをした奴らもいるじゃねえか。

 周辺が臭かったり、ネズミとかゴキブリとかばら撒いて……

 俺がやったのはゴミ掃除だ」

「……ゴミ掃除……!?

 あのね、ここにいるサクリスちゃんはそのおじさんを慕っていたのよ!

 それにコリモノさんと言った知り合いもいた!

 そんな身勝手な理由で!」

 アドランが怒りブンタに言ったが、そのブンタはどこ吹く風のように無関心だった。

「そんな物好きはそいつらくらいさ……

 大半が迷惑していたのは事実さ」

「……それはアナタが勝手に判断する話ではありません。

 アナタがやったことは強盗殺人。

 それ以上の何者でもありません」

 マリナが静かに言い放ち、手錠を見せる。

「おっと!

 そうはさせないぜ」

 すると、ブンタは腰につけていたボールを取り出す。

「!」

「このまま、逮捕されれば俺は死刑になる!

 何せ、あのゴミを始末したとはいえ、人間……

 強盗殺人として成立してしまう……

 あのゴミのために死ぬ訳にはいかねえんだよ!」

「おじさんはゴミじゃない!

 あのおじさんは優しくて、いつも支えてくれたのよ!

 人を殺したアナタがおじさんを悪く言わないで!」

「ふん!

 ゴミはゴミさ!

 まあいい!

 俺は速い!

 ギルドなんかに捕まってたまるかよ!」

「それでもアナタの顔は覚えました!

 逃げても指名手配をするだけです!」

「ハハハ!

 そうやって俺を捕まえられるのはいつになるのかな!?

 見られたらすぐに逃げてやるさ!

 アバヨ!」

 ブンタがボールを地面に叩きつけた。

 ボールから白い煙が巻き上がる。

 それと同時に逃げようと後ろを向いたその時だった。

「逃すかよ!

 《ブラスト・シュート》!」

 カナイチは腕の籠手を外して、その籠手を逃げるブンタに向けて蹴り放った。

 それは突風となり煙を吹き飛ばした。

「なっ、何ーーー

 グアアア!」

 逃げるのに必死だったブンタはその籠手を避けることができず、背中に思い切り当たって倒れた。

「ぐっ!

 チクショ……」

 ブンタが倒れている間にマリナは追いついた。

「【ブンタ・アンソニー】……

 強盗殺人の容疑で逮捕する!」

 そして、マリナはブンタの手に手錠をかけた。

「くっ……

 くそ、お前さえいなければーー」

 ブンタは忌々しくカナイチを睨みつけた。

 その目には涙が溜まっていた。

「……人を殺して物を奪い、自己弁解ばかりしているアンタがキシヤさんをゴミと罵る資格はねえよ」

 そう言ってカナイチは同情のない目でブンタを見下ろした。

「……連れて行きなさい」

 とうとうブンタは頭をガックシと垂れてそのままギルド職員によって連行された。

「ありがとうございます、カナイチさん。

 あなたがいなければあの男を捕まえることはできませんでした」

「いえ、お役に立てて光栄です」

 だが、サクリスは浮かばない顔のままだった。

「サクリスちゃん?」

「……犯人は捕まえることができました……

 でも、捕まってもおじさんが帰ってくる訳じゃない……

 んですよね」

「……サクリスちゃん」

 サクリスの目には涙が流れていた。

 いくら犯人が捕まったとしても、そう簡単に親しい人の悲しみは超えられるわけではない。

「……カナイチさん……

 ありがとうございます……

 おじさんを殺した犯人を捕まえてくれて」

「……捕まえて良かったよ。

 ずっと捕まらなかったらサクリスちゃんは苦しむから」

「え……」

「犯人が捕まらずに自分の手で殺すしかなかった悲しい犯人を僕は知っている」

「カナイチ……」

 カナイチの脳裏に浮かんだのはグラットン・ベア殺人事件で捕まえたマコだった。

「だから、同じ悲劇を起こさないように……

 どうしても捕まえたかった」

 今回、カナイチが積極的に捜査に参加した理由はそこにあった。

「……キシヤさんの言葉に同意できるものがあるんだ」

「え?」

「“どんな物にも誰かのためになれることもある”……

 僕もこんなことをやっているけど、冒険者としては微妙でね……

 戦闘は他の人と比べると強くないし、魔術師の人のように凄い魔法を使える訳じゃない。

 だから、いつも必死に頭を使ってなんとかしているんだ」

「カナイチさん……」

「そんな僕でも犯人を捕まえることができた。

 キシヤさんを悪く言わず慕い続けた優しいサクリスちゃんにも何かしらの才能はあるよ。

 その才能を信じてあげて……

 そして、自分だけの強さを持って天国にいるキシヤさんを安心させて」

「私だけの……

 強さ」

「また何か困ったことやおかしなことが起きたらいつでも相談してよ。

 このカナイチ・ホームズをね」

 そう言ってカナイチはにへらと笑った。

「……はい」

「……カッコつけすぎよ、カナイチ。

 でも、そうね。

 私も簡単な護身術ならいくらでも教えてあげれるから私にも気軽に相談してよ」

「アドランさん……

 どうもありがとうございます」

 サクリスは頭を下げてお礼を言った。

 そして、ゴミ屋敷殺人事件はこうして終わりを告げた。

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