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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜ゴミ屋敷殺人事件〜 第1章 ゴミ屋敷で亡くなった男
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第17話 ゴミ屋敷で亡くなった男

「はぁ〜!

 今日は休みの日だ〜!」

「全く、カナイチったら……」

 グラットンベアの事件以降、町の人からさらに信用されることになったカナイチは多くのもの探しの依頼をこなしていた。

 冒険者やギルド職員も一目を置くようになったが、その分忙しくもなった。

 カナイチの幼馴染のアドランもカナイチの気分転換に付き合っている。

「あっ!

 カナイチくん!

 あの時はありがとうね〜」

「はい、どうも」

 とは言え、カナイチの特徴でもある鳥の巣のような髪型は帽子で隠そうにも隠せるものではないのですぐにカナイチを知っている人物に出会う。

「……金には困らなくなって来たけど、もの探しの依頼が多くなったよな」

「しょうがないわよ。

 誰もが事件は迷宮入りだと思われた事件を解決したんだもん」

「ハハッ……」

「カナイチって冒険者から探偵になるつもりなの?」

「それも悪くないかもね……

 ただ、そのためには事務所とか色々必要なものがあるからね……」

「……流石にそこまで稼げてないわよね」

「そう言うことだよ」

 それでも、エルニアの街並みを見ることはカナイチにとってもリラックスすることなのか、のんびりと歩いている。

「急げ急げ!」

 太っている、服には興味なさそうな男性が急いで走る様子があった。

 その他にも井戸端会議など様々な声がカナイチ達の耳に届いた。

「きゃあああああ!」

「!?」

 そんな平穏な日々に悲鳴が轟く。

 その悲鳴が聞こえたことにより、周囲の人も何事かと不安になりざわつき始める。

「アドラン!」

「う、うん!」

 カナイチは急いで、その悲鳴の方へ向かった。

「っ!」

 悲鳴が聞こえた場所は謂わばゴミ屋敷であり、多くのゴミが詰められている。

「くっ!」

 かろうじて残っている狭い通路を通ると、そこに少女がいた。

 近くには仰向けで倒れている男性がおり、頭部には血が垂れていた。

「おじさん!

 ねえ、しっかり!

 おじさん!」

「っ!

 それ以上、触るな!」

「!?」

「カナイチ!

 これって……」

「アドランは急いでギルドの人達を呼んで!」

「わ、わかった!」

「お、お医者さんとかは!?

 急いで治療した方が……」

「そ、そっか……」

 少女が言い切る前にカナイチはその男性の首に触れた。

「……ダメだ。

 もう脈がないし、冷たくなっている」

「そんな……」

「……アドラン、治療班は呼ばなくていいから」

「うん!」

 そして、カナイチは懐から手袋を取り出して嵌めた。

「……君も辛いだろうけど、彼から離れて何も触らないようにして」

「……おじさん、死んじゃったの?」

「……残念ながら」

「そんな……」

「ちなみにおじさんの体以外に触れたものはないんだね?」

「う、うん……」

「おい、何なんだ?」

「さっきの悲鳴は?」

 その時、入って来たのは二人の中年男性だった。

「……人が亡くなっているんです」

「え……」

「あっ!

 キシヤさん!」

「知り合いなんですか?」

「え?

 ああ、はい」

「だったら、後でギルドの人が来ますので事情聴取をお願いします」

「じ、事情聴取って」

「事故じゃないのか?」

「ええ。

 近くに落ちているこの棒で殴られて殺害されたと思います」

 キシヤと呼ばれた男性の近くには木製の棒が転がっていた。

「……そして、凶器になったのはこの棒でしょうが、例えこれが高いところにあって、運悪く頭に当たったとしてもたんこぶができる程度……

 とても死ぬ要因になりません。

 考えられるのは誰かが彼の頭部をこの棒で思い切り殴ったから。

 つまり、これは殺人事件になるんですよ」

「そんな……」

「だから、それ以上近づかない方がいいですよ。

 下手したら犯人だと思われますからね」

「お、俺はやってないぞ!」

「俺も……

 一番怪しいのはーー」

 そう言って痩せている中年の男性は少女を見ていた。

「あ、あたし!?

 ち、違います!

 あたしではありません!」

「まあ、そう急がなくてもいずれギルドの職員が来ますので」

「だ、第一、君は何者なんだ!?」

 太っている中年男性は慌てた様子でカナイチを指した。

「僕は冒険者のカナイチ・ホームズです」

「カナイチ?」

「ホームズ?」

「もしかして、あの町を騒がせたグラットンベアの事件を解決に導いたというーー」

「ええ、そうです。

 だから、もし、自分が犯人ではないのなら解決に向けて協力してください」

「……」

「わ、わかった」

 そして、カナイチは周囲を見渡す。

「……それにしても瓶とか缶が多いですね

 他にも袋とか色んな物で溢れかえっている」

「そりゃ、そうさ……

 その……

 亡くなっている彼を悪く言いたくないのだが……

 彼は少しおかしくてな……

 所謂、収集家なんだ」

「自分が使えそうと思うものなら何でも拾ってくる。

 だから、ほら……

 あそこには古くなってボロボロになった本もたくさん」

「……本当ですね」

「学生が卒業して教科書やら捨てるだろ?

 それを拾って家に持ち帰るんだよ。

 君も見ただろ?

 あのゴミの量……

 普通に危ないし、何より臭いしね」

「最初に言っておくけど、その棒から犯人の指紋を取ろうと思っても期待した結果にはならないよ」

「そうだな。

 その棒だって彼が拾って来たものだろうし持ち主の指紋がベタベタ。

 洗うタイプでもないからキシヤさんの指紋もベタベタ……

 他の人が触っていてもおかしくないさ」

「それに家の床だって汚いだろ?

 水虫とか色んな病原菌があっても不思議じゃないから靴とか履いてもおかしくないんだ」

「……俺だって前にここに来たし」

「手掛かりは少ないと思う」

「手掛かりが少ない殺人事件……

 ……か」

 カナイチはキシヤと呼ばれた男性をもう一度だけ見た。

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