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わたしの決意

よろしくお願いします。

さっきは本当に驚いた。

今は、どんなに脳内に話しかけても彼の声はしない。

それは普通のことだけど……


ふぅ。少し落ち着いたところで、状況を整理しよう。

わたしの名前は、真中(まなか) えみり。

18歳の高校生。


異世界転移者として選ばれたのは、脳内の彼が言っていたように、家の本棚にあった本だと思っていた日記を読んで、気になるところにコメントを入れたり、読むたびにハッピーエンドにならないかなと思っていたことが理由らしい。



わたしはハッピーエンドに対して異常に執着してしまい、物語はハッピーエンドじゃないと嫌と思ってしまう質だ。読むならやっぱりハッピーエンドがいい。


そのような考えを抱くようになったのは、5歳の時に体験したお母さんの病による死が原因だと思う。


ちょっと暗い話になるけど…


わたしのお母さんは元々体が弱く、それなのに私を産んで、さらに体が弱くなってしまった。

お母さんとの思い出は、基本病室内だったが、いつもお母さんは絵本を読んでくれた。

最高のハッピーエンドで終わる絵本で、いつもお母さんは幸せそうに

「ハッピーエンドはいいわね。」

と微笑みながら言っていた。


そんな母が死ぬ前に私に残した手紙には


えみりっていう名前はね、外国でEmilyと書いて勤勉とか努力って意味から考えてつけたの。

 幼いあなたに理解するのは難しいかもしれない。

でも、頑張れば誰だって幸せになれるし、ハッピーエンドを迎えられると思うの。

もちろん他の人の協力も必要よ。

えみりには自分の幸せも掴み取って、他の人にも幸せをおすそ分けできる人になって欲しい。

お母さんはえみりに会えて本当にハッピーだったわ。

 えみりがこれからも幸せでありますように。


と書いてあった。


もうお母さんに会えない。とよく泣いていたわたしは、お母さんとの思い出に浸るために家の本をたくさん読んだ。本を読んでいたら、本が大好きだったお母さんとのまた繋がれるのではないかと思った。


本をたくさん読むようになってしばらくして、この手紙を彼女の日記から見つけた。


手紙を読んだことで、私が生まれたことでお母さんの生気を奪ってしまったのでは…という考えが、少し消えて、わたしだけでなく他の人も幸せにしたい。お母さんが誇れるような人になりたい。という人生の目標も見つかった。


お母さんは、お父さんにこの手紙を預けるなりして直接渡せたはずなのに、どうしてお母さんの手紙はこの日記から見つかったのだろう。

そう疑問を抱き、見つかったこの日記にはきっと何かある!と思い、長い話だったけど読んでみた。

この日記は楽しい話もあったが、結末はとても悲しかった。


あんなにハッピーエンドが好きだったお母さんが何でこんなに悲しい話に手紙を挟んだだのだろうか。


もしかしたら、お母さんはこの物語のハッピーエンドを望んでいたのかもしれない。


わたしもこの話を読んで、どうしてもハッピーエンドを望んだから…

わたしがこの物語を幸せな終わりにできたら…

わたしがこの物語の主人公を助けたい。


この日記を読むごとに、この思いは強くなっていった。


ただ、高校生になってからは勉強に部活、そしてバイトで忙しくて全然この日記を読んでいなかった。


あ、今、思い出したけど、あの日記の主人公と交換日記のようなことをしていたっけ。


交換日記といっても、お互いの日常を伝え合うというより彼女の日記を読んで、わたしが書いたコメントに彼女が答えてくれるような形のものだったな。


さっきの彼は、人を転移させたり、私の考えを容易く読んだりできるみたいだから、ここではゴットと呼ぼう。


ゴットが言ったことによると、日記の持ち主がわたしの代わりに生きるということだから、彼女にわたしの生活がわかるように、わたしの生活や身の回りのことを詳しく説明した紙を書かないと。


そして、彼女の日記を読んでゴットの世界で生きるために必要なものと知識を得ないといけない。


とりあえず、3日後のために行動しよう。


まずは彼女の日記を読み直そう。

そして、わたしは部屋に置いていた1冊の本に手を伸ばした。



すると、わたしの体が魔法に包まれていた……


なんてことはなく、昔と同じように何も起きることなく、彼女の日記を読み進めていった。


彼女の日記をまとめて、今後の作戦も立てよう。


彼女の名前はアリス。


アリスは光魔法を使えるみたい。


魔法かー。かっこいいし、羨ましい。。。わたしはそんなものは全く使えないけど、まあ、なんとかしよう。


アリスは魔物がたくさん発生する混沌期(デーモンアイオーン)で、それを光魔法で解決するためにあっちの世界に行ったらしい。


わたしはアリスたちを幸せにするにが目的だし、やりたいように過ごしていいんだよね!?

さすがに魔法も使えなくて魔物を倒すのってできるのかな。

これも、とりあえずあっちの世界に行って何とかしよう。


アリスは大好きで彼氏でもある幼馴染みとあっちの世界に行ったらしい。


これが悲劇の始まりなんだよ……


アリスは仲間を2人も見つけたらしい。


わたしも、あっちで仲間だったり友達を作ろう。

どうせ転移するならわたしも楽しまなくちゃ。


アリスは魔物を倒すのが目的だったけど、まさかの魔王の正体は彼氏で、彼は何者かによって魔王にさせられていたのだ。彼女は、彼を光魔法で、殺すのではなく保護と動きを封印する魔法をかけているらしい。


アリスはこの世界に戻るから大丈夫だとして、彼を元に戻してアリスと過ごせる生活にすることが目標。


あと、わたしにも大切な幼馴染みが、ふた、いや1人いるけど、この世界のことは何も伝えないでおこう。


伝えたら、心配して「ついてくる」って言いそうだけど、あっちの世界では何が起きるかわからないから隠し通そう。

私の幼馴染みに何か起きるのは嫌だから。


これで事前情報は大丈夫かな。



よし。じゃあ、あっちの世界に行くための準備をしよう。


アリスの日記はあっちの世界で必要になるかもしれないから、持って行こう。

ノートを2冊用意して1冊をあっちの世界、もう1冊はこの世界に置いて……


あとは、とりあえず植物図鑑と解熱剤、腹痛薬、傷薬は持って行こう。

体は強い方だけど、念には念を。って言うし、植物図鑑があれば、食料とか薬に使えるものとかわかるし、役に立ちそうだからね。


忘れてはいけない。あっちでお金に換金できるように、今までのバイト代とお小遣いで貯めていたお金を使って、ネックレスと腕時計を2個ずつ買っておこう。

アリスの分のお金も残してあげようっと。



あとは、アリスにわたしの自己紹介の手紙を書いておこう。


唯一の家族であるお父さんは、仕事で忙しいし、お父さんに褒めてもらいたい思って頑張った勉強もスポーツも褒めてくれないくらい、わたしには興味ないだろうし、いいかな……


でも、お父さんの好きな野球の話、特に、二刀流でユニコーンと呼ばれるようなすごい人の話をするときだけ盛り上がったなー。

わたしもお父さんと話すために毎日チェックしてたし……

お小遣いも十分すぎるくらいもらったし……


うん。やっぱり手紙は書いておこう。



やることが多い時は時間があっという間に過ぎる。

残り一日となった。



1番の難題がのこっている。


アリスが学校でわたしの振りをするのは大変だろうから、わたしの幼馴染みにさりげなくアリスのフォローをお願いしに行こう。

決して、おかしい素振りを見せずに……




読んでくださり、ありがとうございます。


次話で交換ノートの相手が現れます。

交換日記を使うのはもう少し先です。


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