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sideルイス

よろしくお願いします。

オレの人生の転機はそう、あの日だった。


そう。目の前にこの世のものとは思えないほど美しい天使が降り立った日。


この時は、彼女が人間で、しかも、後々、オレがなんとしてでも守ってやりてーと思う存在になるとは思っていなかった。



目を起こすと、知らない人間の気配、知らない天井が見えた。ふと、その人間が声をかけてきた。


それは、人間ではなかった。それは、人間とは思えねーほど美しく、おれが限界を迎えたあの日に迎えにきた天使だった。


ああ。オレは死んだのか。

死んだことに対して、悲しみも、やり残した無念な気持ちも全くない。目標も何もねーし、ただひたすら贖罪のように生きるためにもがいていたバカらしいオレの人生だったからだ。


そこで、1つ疑問が生じた。

オレは本当に天国に行けたのだろうか?

今までの行動を振り返ると、おれが天国にいてもいいものかと疑ってしまう。

でも、こんなに美しい人が地獄にいる気はしねー。

神様がきっと、オレに少しだけ同情して、オレの家族がいるはずの天国に送ってくれたのだろう。

やっっっと、オレは地獄から解放されたのだ。

ああ。ありがとう。


しかし、彼女が発したの言葉で再び現実に戻ってきた。オレは生きているようだった。

相変わらずのオレの生命力のしぶとさに、我ながら呆れを通り越して、賞賛を送りたくなる。

つーか、また地獄の日々か……


そして、目の前のやつは天使ではなく、人間らしく、オレを助けてくれたらしい。その美しさには驚愕したが、天使とか言っちまった自分を恥じる気持ちの方が強かった。


オレはなんとコイツの首に短剣を向けていたようだった。今までの生活で染み付いた癖はなかなか抜けねー。恩人に対して、こんな態度をとって申し訳なくなったが、オレは、ぼーっとする頭で何が足りねーことに気づいた。いつも持っていたお守りがない。


コイツが保管しているのだろうか。

ふと、いつもは"コイツが盗んだ"と考えるはずのオレの思考が、ぼうっとする頭のせいで、コイツが一瞬、"善者のように思えた"というオレにとって突拍子のない発想をかき消すように、なぜか緩めていた警戒心を改めて強め、自分のいる場所を観察した。


見える範囲で、ここにはねーな。

まあ、外に落とした可能性は否めねー。

外を確認した後になかったら、今度はここに侵入して他の部屋も確認すればいいことだ。

まあ、こんなことは今までに比べれば、容易い。

やることも決まったし、早くこの家を出て、オレの大切なものを探し、クソ野郎どもから逃げ続けよう。


そう働かない脳みそを動かして思考し、コイツにオレの全ての金を渡そうとした。金がなくなることは痛かったが、見返りを求められるよりはいいだろうという判断からそうした。看病もしてもらったのだし、一応はお礼を言っておかねーとな。


そう言って、家を出ようとしたら、コイツはオレを引き留めるために、オレの腕を掴んだ。

オレは誰かに触れられるのはキライだ。

オレに触れてくる理由は、みんなオレに罰を与えるためだから。オレが何をしたっていうんだ。ふざけんな。そういう感情がとめどなく溢れ、コイツに大声でキレてしまった。

コイツの驚いて悲しむような顔をした時、少し罪悪感で胸が痛んだが、知らねー。


コイツはオレをここに居座るために交換条件を出したが、どれもアイツの受け取る対価は少ない気がした。

挙げ句の果て、オレが治ることが1番嬉しいとか言いやがった。そういう感情は赤の他人には思わねーだろ。


結局、コイツの説得に負けたのではなく、オレの体力が限界を迎え、もう少しここに居座ることになった。

なぜだろう。いつもだったら絶対に出て行くのに。

きっと、コイツは人を騙すような奴に見えねーし、なんなら、悪人に騙されそうな世間知らずのバカに見えるからだ。

まあ、少しは信じてみてもいいのかもしれない……


後になって、オレはこの時からいつものオレではなかったと思い返すのだが、体が限界を迎えたせいで、すぐに眠りに落ちていった。



目がさめると、彼女と目があった。

一昨日はコイツと呼んでしまったが、頭がぼーっとしていたせいで、恩人に対してまで、オレの脳内で口の悪さ出ていたようだ。すまないな。

当分、言葉遣いには気をつけておこう。


今日は頭の鈍い痛みも消え、体は多少傷が残っているが、これぐらいの傷はオレにとっていつも通りと言えるものだった。


とりあえず、彼女にお礼と名前は名乗っておこう。しかし、オレは予想外な言葉がつい口から発せられていた。家門を失ったことは言おうとは思ってなかった。まだ、他人に話せるほど記憶に薄い出来事でもない。未だにあの日を思い出すと恨みさえ湧いてくる。それなのに、彼女にはつい話してしまったのだ。彼女には緊張感がないからだろうか?理由は、よくわからないが……


そして、彼女は家門のことは一切追求してこなかった。オレには都合が良かったのだが、この身分が全てのような世界の中、大抵のヤツはこういう話を追求してくるのに、コイツは変わったヤツだなとは思った。それとも、空気を読んでくれたのだろうか?


つーか、考えすぎて忘れていたんだけど、言葉遣いには気をつけるんだった。


気を取り直して、彼女と話していると、彼女は旅人だったから、あんなに珍しい薬を持っていたらしい。オレも、色々な世界のものを見たきたが、あんな薬は見たことがなかった。彼女はどこの国から来たのだろうか?


オレは、また彼女に出会った時の行動に疑問を抱いたのだが、オレは、毒には慣れているうえに、あの時はかなり意識が朦朧としていたから、毒でも大丈夫だろうと判断して、あの薬は拒否しなかったが、そうと言っても、簡単に彼女からもらった薬を受け入れてしまったな。と反省をしつつ、あの時の薬を受け入れたから、今こうして体調が良くなったのだな。と複雑な気持ちになった。


理由はわからないが、彼女のことを始めは天使だと思っていたから、受け入れたのだろう。と、とりあえず、無理やり答えを見出した。


そう考えながら、会話をしていると、彼女はもっとビッグな発言をしてきたのだ。

オレがもっと周りに甘えていいだって?!

オレを助けたくてこんなことをしてくれたんだって?!


コ、コイツは世の中を何だと思っているんだ?!

こんな赤の他人に何の見返りもなく、助けるなんて。

オレには理解が出来きない。

こんなお人好しだと、この世界ですぐに周りクズどもから、何かと奪われていくんじゃないか?


そう思ったが、このビッグな発言は何だか嬉しかった。家族でもないのに、こうして想ってくれる存在がいることが何だか救いだと感じた。


その気持ちのせいで、オレはらしくないことをしてしまった。

他人に興味を持ち、挙げ句の果て質問までしてしまったのだ。

彼女はエミリだと名乗っていて、オレより年上だと思ったから、タドダトしく"エミリさん"と読んで、年齢を聞いたのだが……


オレはこの発言をかなり後悔する。


前言を撤回して、彼女は空気を読むヤツではない。

そう。そして、思ったより図々しかったんだ。








新作の方もどうぞよろしくお願いします。


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