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大事件発生

よろしくお願いします

畑仕事を終えた後に、泥遊び〜もちろんのこと、わたしだけが泥をつけられるのだが〜も日課になった今日この頃。


わたしとルイスは、ルイス爆笑事件(絶対にエミリー泥だらけ事件ではない)以来少し仲が良くなった気がする。

わたしがからかわれているだけのような気もするけど。。。



そして、いつものように、畑仕事を終え、ルイスは剣術の訓練をしていた。

わたしは、リビングで一息ついていた。



すると、玄関のドアが開いた。

(あれ?ルイス、今日は早く剣術を終えたのかな??)


「ルイス、おかえ……

ルイスじゃない!?

ちょっと、あなた誰ですか??」


もちろん、不審者に何者か聞いたところで答えてもらえるわけがない。

わたしは慌てて武器となるものをキッチンから探して見つけたのはフライパンだった。


(何かされそうになったら、気絶させなければ……

やるしかない。)

手が震えていることには気付かないフリをして、わたしは覚悟を決めた。


そう思っているうちに、40代くらいの男はわたしに向かって襲いかかってきた。



バーン。

改めて、玄関のドアが開く音がした。


「エ、エミリッ、大丈夫か?」

「ル、ルイス。うん、大丈夫。」


ルイスはわたしの返答を聞いて、わずかにほっとした表情を見せた。

そして、わたしに襲いかかっている男に向かって剣を定めたはずだった。


ルイスはわたしに襲いかかっている人物に気を向けていたからだろうか……

彼の背後にいたもう1人の男に気づいていない様子で、その男はルイスに狙いを定めていたのだった。


わたしがルイスを庇おうと、ルイスの方へ走ろうとした瞬間と、ルイスを狙う男がルイスを鉄の棒を構えている瞬間は同じように見えた。


「やめてーー!!」


わたしは、ルイスの頭を庇うために、渾身の走りとスライディングで、彼を無事に守る予定だった。



しかし、実際わたしがそれをやり遂げたのかは、わからない。この言葉をわたしが実際に使うとは想像もできなかった。

本当にこの後の出来事が、記憶にございません。状態なのだ。



わたしの今の状態は、ベッドの上で隣にはルイスがいた。よかった。敵はいない。

(なんか、この前のルイスの看病と立場が逆転した感じかな?)


わたしは、ふと思いついた。

もしかして、わたしがルイスを庇った時に、頭を殴られたから、あの後の記憶がないのではないか?

あの時は、わたしが代わりに殴られるということまで考えず、ルイスを守りたいという感情だけだったから……

まあ、あの状況だったら、普通、わたしが代わりに殴られるよね。


そう思って頭を触ったが、特に何もない。

もちろん、頭も痛くない。



ルイスは少し、眼が赤くなっていて、わたしの一連の様子を心配しているかのように、じっと見てやっと声をかけてきた。


「エミリ、大丈夫か?」

「うん、大丈夫みたい。ルイスは?」

「おれはなんともない。もう、おれを守るために自分を犠牲にしようなんてしないでくれ。」

「ルイスが無事でよかった。わたしも無傷だし、なんともないみたい。」

「でも、お前、3日も寝てたんだぞ。

お前の意識が戻らないんじゃないかって怖かったんだ。」


んん?なんか、ルイスの様子が今までと少し変わった?すごい心配してくれてる??

わたしはルイスの態度の変わりようにビックリした。


「ルイス、心配してくれたんだ。ありがとう。」

「いや、お礼を言うのはおれの方だ。

今までありがとう。

そして、態度も悪くてごめん、なさい。」


ルイスは謝り慣れていないのだろう。

たどたどしく謝っていて、可愛らしく見えた。


「大丈夫。

最初は距離がある感じがしたけど、最近は一緒に泥遊びもして楽しかった。

警戒しているのかなと思っていただけで、態度が悪いとは思ってないよ。」


「ああ。今まで、警戒していた。すまなかった。

そして、申し訳ないお願いなんだが、おれは行くあてがない。おれは奴隷だったんだ。この前の男も奴隷商売をしている輩たちで、おれを捕まえに来たんだ。あいつらは、何度もこの家に来ていて、今後も残りの奴らがここに来る可能性がある。今度こそ、エミリを側で守りたいし、一緒にいたい。

これからもこの家にいていいか?」


「そう。奴隷だったんだ……

辛いって言葉では足りないかもしれないけど、本当に辛いし、大変だったよね。あの人たち許せない。

もちろん、ルイスは弟のようだと思っているし、いつまでもここにいていいよ。」


ルイスは悲しそうな顔をして、奴隷生活をポツリポツリと教えてくれた。


「ああ。あいつらは、奴隷たちを戦わせて、貴族たちの見世物にしていたんだ。貴族たちには誰が勝つか、楽しそうに賭けていたんだ。

おれは見た目が貴族たちのお気に入りだったから、いつも最終戦で……

しかも、食事はもちろん闘いで怪我をした人の治療も満足にしてもらえる状況じゃなかったから、多くの人がオレの目の前で死んだ。

オレは誰も助けられなかったんだ。」


わたしは言葉を失った。

日本ではあり得ないことだし、こんなことが起きているとは予想もしていなかったのだ。

ルイスはワケあり少年だと思っていたけど、こんなに幼い時から想像も絶するひどい状況の中にいて……


でも、貴族たちがルイスを気に入っているということは、これからもルイスを狙ってくるかもしれない。

これは、対策を練らないといけないな。


そう考えていたのだが、ルイスはわたしの様子を心配したのか、改めて声をかけてきた。


「あと、オレ今までここにきた奴らを殺してしまったんだ。エミリを狙うと思ったし、オレらの生活が奪われると思って……

オレが人を殺したって知って怖いか?」


彼は恐る恐るわたしの顔色を伺いながら聞いてきた。


「ううん。違うよ。

ルイスが人の命を無闇に奪わないってこととは、今まで一緒にいたからわかっているよ。

わたしのことも守ってくれてありがとう。

でも、これからは何かあったらすぐに相談して。

お互いの問題は助け合って解決するのはどう?」


「そうか。ありがとう。そうしよう。」


わたしは、ルイスがホッとした顔を見て、話を続けた。


「その話を聞いて、今後ルイスが狙われないようにどうやって対策を練ろうか考えていたんだよ。

もう少し、詳しく教えてもらえたりする?」


そうして、わたしはルイスから、どこで、どれくらいの頻度でその最悪な戦いが開かれているのか、詳しく教えてもらった。


そして、その戦いは、1ヶ月に1回開かれるらしい。ルイスは、前回な戦いを終えた後に、隙を見つけて逃げたらしい。

ルイスが来て2週間ほどだったので、次の戦いは2週間後に迫っているということだった。


わたしは、その話を整理して改めてどうしようか考えていたのだったが、ルイスの言葉がわたしを現実の世界に戻した。


「ところで、エミリ、あの時の光はどうやって出したんだ?」

「光って何?わたしは、そんなことできないよ?」


ルイスは腑に落ちない感じだったが、話題を変えてきた。


「ところで、カイとは誰だ?」

「ん?カイ?誰?わたしはわからないよ。」


これ以上ルイスに心配をかけないように、わたしは突然痛み出した頭の痛みをルイスに悟られないように注意して、わたしはそう答えた。


「そうか。」

「あ、そういえば、これからは一緒に住むから、気楽に過ごしてね。あの言葉遣いでも大丈夫だよ。」


ルイスはわたしの意味した、言葉遣いに気づいたようで、照れたような、少しバツが悪そうな顔をして


「わかってねーかもしれねーけど、あれは奴隷生活のせいなんだ。 ついつい、出ちまっただけなんだ。」


わたしは、またルイスがあの言葉遣いを発揮したことに面白くて、笑いながら言の葉を紡いだ。


「ルイスは気が抜けたらきっとその言葉遣いになるんだよ。家では気を張る必要はないからその言葉遣いでも大丈夫だよ。」


「ああ。ありがとう。」


ルイスは観念したように、顔を赤くしてそっぽを向いて答えた。


「じゃあ、改めて、これからよろしく。

ルイスはご飯食べた?

食べてないなら一緒に食べない?」

「ああ。よろしく。

食べてねーから、食べよう。

今日はおれが全部準備するから、エミリーは休んどけ。」

「うん。遅くなったけど、看病してくれて本当にありがとうね。」

「ああ。」


顔が赤くなるルイスを見て微笑ましくなった。

それと同時に、こんな可愛らしい子供をあんな目に合わせた人たちを許せないという気持ちが溢れてきた。

なんとしてでも解決しよう。


そう決意をした日。

その日が、いくつかの謎を残しつつ、わたしとルイスの距離をギュッと縮めた日だった。





















新作の方もよろしくお願いします


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