この世界は、王都が存在する
「アカネ村に戻りましょう」
「そして…、我々は王都に向かいます!」
港町での作業を一通り終え、俺は次の行動を考えた。しばらく、紫陽花の活動に緊急性の高いものはなく、暇な期間になることが予想される。そうなるとやることはただ1つ。全員のレベル上げだ!
「ネルフィナも着いていってよいでしょうか…」
「はい、大丈夫ですよ。というか、今更1人だけ置いていくなんてことしませんよ」
「そうです!お姉ちゃんと一緒に行きましょうね」
フィーネがお姉ちゃんをしている。姉という存在がいると、自分もお姉ちゃんとして頼られたいという心理が働くのだろうか。最近はフィリンよりもフィーネの方がネルフィナの面倒を見ている時間が多くなっている。
「あれ、でもユーさん。村に戻って何をするの?」
「ここから船で王都に向かうほうが早くない?」
「それでもよいですが、王都の滞在は長くなります」
「2人の荷物をちゃんと準備した方がよいと考えたからですね」
「今度は料理道具とか、服とかもちゃんと持っていきますよ」
「出発は明日にしようと思うのですが、みなさんそれでよいですか?」
「「「はーい」」」
今日はやり残したことがないよう、各々、この港町でのひとときを楽しむこととした。
フィリンは一昨日渡したサファイアのネックレスをいたく気に入っており、時間を見つけては身につけて外出していたのだが、今日も出かけるとのことだった。いつもは1人で行っていたが、フィーネも最後に雑貨を買いたいとのことで珍しく2人揃って出かけていった。
ネルフィナは魔法の訓練に余念がないようで、今日も身体強化魔法の練習をしている。
ヒト属以外は基本的にその種族の傾向に合った魔法を無意識下に使用している。エルフ属であれば長命になる延命魔法を、オニ属や獣人属は身体強化魔法といったように特性がある。この特性が種族差という特徴として現れる。
オニ属であるネルフィナは例に漏れず身体強化魔法の制御が先天的に得意であるようで、何倍もの早さで習得している。また、亜人族の特徴である魔力量が多い傾向も現れており、全身に身体強化魔法を付与したまま長時間の行動が行えるようである。昨日も1日中身体強化魔法を維持したまま生活していたが、魔力が尽きることなく動けていた。このまま訓練を積めば最強の前衛になれるポテンシャルがある。これは将来が楽しみである。
「ネルフィナさん、せっかくなので俺と手合わせしてみますか?」
「え、手、手合わせですか…」
「私、やったことないのですがどうやるんですか」
最初は戸惑っていたがノリノリである。
「俺が身体強化魔法で攻撃するので、ネルフィナさんはそれを相殺魔法と共に受け流すんです」
「私、相殺魔法って得意じゃないんですが、うまくできるでしょうか」
「最初はゆっくりやるので大丈夫ですよ」
~相殺魔法~
相殺魔法の基本原理はエネルギーの打ち消しである。
火の魔法であれば水の魔法で打ち消すことができる。風の魔法であれば逆向きの風をぶつけることで打ち消すことができる。相殺魔法は簡単に説明するとこのような仕組みになるのであるが、生物魔法においてはこの通りではなく、少々難しい技術となっている。
これは単純に生物魔法が難しい部類の魔法だからである。例えば洗脳魔法の相殺には覚醒魔法を使う必要がある。覚醒魔法は頭を活性化させる魔法であるが、覚醒する段階で集中力が途切れてしまい、覚醒魔法が解除されてしまうことがよくある。これは単純に脳が活性化する影響で雑念が生まれてしまうためであるが、これを洗脳魔法に対して反射的に発動する必要がある。これが単純に難しく、生物魔法の相殺が難しいとされる所以である。
身体強化魔法の相殺は身体強化魔法か身体操作魔法のいずれかで行う。身体強化魔法は筋力というエネルギーの強化である。身体強化魔法で相殺するにはこのエネルギーと同等かそれ以上で身体強化をして受ける。身体操作魔法で相殺するには相手の攻撃が触れた瞬間に相手のエネルギーそのものを打ち消す。洗脳魔法の相殺よりは単純だが、反射的に発動することに変わりなく、総じて生物魔法の相殺は難しいとされている。
「その調子ですネルフィナさん」
俺はそこそこの速さでネルフィナに攻撃をしかけているが、ネルフィナはきちんと対応しきれている。
今のネルフィナであれば前に襲われたオークも簡単に退けることができる程度には強くなった。
しかし、まだ、頭で考えているようで反射的ではない。
俺は右拳を出すフリをして、左拳で攻撃を仕掛ける。このようにフェイントを混ぜるとネルフィナは一瞬押されてしまう。
「…くっ!」
「ネルフィナさん、1ついいことを教えましょう」
「身体強化魔法で相殺する際は、常に一定の魔力を込めるだけでよいです」
「その魔力で受けきれる場合は、そのまま受ける」
「受けきれない場合は、受け流しつつ身体操作魔法で相手の動きを止めるのです」
「ネルフィナさんの身体能力なら可能だと思います」
「わかりました」
ネルフィナは構え直した。俺は先程のようにフェイントを混ぜてネルフィナを攻撃する。ネルフィナは着実に相殺できる回数が増えておりコツを掴めているようだ。しかし、少し魔力量を増やした攻撃をすると、ネルフィナは一瞬押されてしまい、まだまだ対応ができていない様子だった。
「ユーさん」
「どうしましたネルフィナさん」
「身体操作魔法ってどうやるんですか」
「…!」
「そういえばそうでした」
「身体操作魔法は上位魔法なので、今度ゆっくり勉強しましょう」
「はい!」
ネルフィナはこの2日間で元気が戻り、精神面も落ち着いてきた。奴隷の経験をした者は精神に異常をきたすことが多いが、フィリンやフィーネの熱心な介抱があったからと思われる。魔法も少しずつ覚えてきており、思ったよりもすぐに戦力として期待できそうである。
特訓は2人が帰ってくるまで続いた。最終的にネルフィナは疲れてヘロヘロになってしまったが、本人が満足していそうなのでよい訓練であったと思う。ある意味有意義な位置日であったと言えよう。
翌朝。我々は港町を出発した。
ネルフィナが身体強化魔法を使えるようになったので、村にはすぐ帰ることができた。
道中は明らかに悪魔の数が減っている。港町に行くときは何回か襲撃されたが、帰りは1回しか襲撃されなかった。おそらく、ランザ公爵が居なくなったからであろう。選別という人選をするためや、被害を受けているという一種の演技をするために、手懐けた悪魔を定期的に放っていたと考えるのが妥当である。
「みなさん、この距離で息が上がらないとは」
「帰りは悪魔がいなかったので私は全然疲れませんでした」
「私も全然平気よ」
「ネルフィナは少しだけ疲れました」
魔力効率という観点からするとネルフィナはもう少しといったところではあるが、たった数日でここまで実践で使用できるようになるのは、やはり種族によるところが大きい。
「大きい…」
「ここがお姉ちゃんたちのお家ですか…」
俺は扉を開け、中を確認した。
紫陽花が管理していたため、掃除も行き届いている。今まで人が住んでいました言われても遜色ない状態だ。とは言え、1週間程度なので、そうそう変わるものでもないが。
「おかえりなさいませイレブン様」
「お疲れ様です。管理ありがとうございます」
紫陽花のメンバーが挨拶をしてきた。紫陽花の正装を着て腕章もつけている。最も紫陽花たらしめる格好をしており気品が漂っている。
「は、はじめまして」
「はじめましてフィリン様、フィーネ様、貴女様方の家を管理している者です」
「イレブン様こちらは?」
「あー、ネルフィナさんです。港町で知り合って色々あって仲間として同行しています」
「なるほど、はじめましてネルフィナ様」
「は、はじ…はじめまして…」
ネルフィナは緊張しているようだ、フィーネの後ろから顔だけ出して挨拶をしている。一種の人見知りといったところだろうか。
「ネルフィナ様、もしかしてオニ属ではないでしょうか?」
「私は吸血属です。もしかしたら私たちは遠縁かもしれませんね」
2人は歯を見せあいお互いの種族を確認している。距離感の詰め方がとてもすごい。これがプロのメイドの実力か。人見知りしていたネルフィナと、たった一言のやり取りでもう打ち解けてしまっている。
「イレブン様」
俺は頷いて了承した。
その日は全員、家でゆっくりと過ごした。久しぶりにフィーネの渾身の料理を食べ全員満足している。とても豪華な食卓であった。
一息つき我々は外に出て、人気のないところまで移動した。
「ご依頼のあった調査の件になります」
「フィリン様、フィーネ様ですが、王族の可能性があります」
「王族…」
「断定はできませんが、母親のメリナ・エクストラは、王族のメリナ・フラクティスはおそらく同一人物です」
「公的には20年ほど前に病死」
「しかし、病名が残されていないため存命し、この地にきた」
「おそらくはあの2人のため…、忌み子か…」
「そう考えるのが妥当です。王族に双子が生まれたという事実は公にできません」
「また、あの2人は隔世遺伝のエルフ属です。種族を超えた隔世遺伝は不幸の象徴です」
「王族として家系にも含めたくなかったのでしょう」
「いくら王族とはいえ、そんな迷信、そこまで気にしますかね?」
「王族であれば気にします。王族における家系とは権力の正当性です」
「ヒト属の偉大な血を受け継いでいるということが重要なのです」
「その偉大な血から双子や別の種族は生まれないと」
「はい」
「ずいぶん面倒な人達ですね」
「国を収めるには必要なことです」
「ただ、少々妙なことが起きております」
「ここ数ヶ月でフラクティス家が急速に力を失い、王族でありながら実権がほぼ無い状態になっています」
「数ヶ月…。確かに妙ですね。あまりにも早すぎる…」
「紫陽花の幹部は誰も調査に動いてないのか?」
「現状、本件は紫陽花の活動に全く関係がなく動くことはできません」
「動くことはできませんが、言付けを預かっております」
「書面じゃないのか」
「紫陽花の活動ではありませんので」
「お伝えいたします」
「2人とこの件、何かの縁だ。調査を頼む」
「ワン様からです」
「あのロリババアめ…」
「…了解した」
「そう伝えておいてくれ」
「承知しました」
「あ、ロリババアはうまくごまかしてくれよな」
「善処いたします」
そう言い残すと闇に溶け込み姿が見えなくなった。2人の素性から、どいう育成方針がよいかを考えたかっただけだが、大きな事件に巻き込まれた気がする。とは言え、王族だ。突然大きく事が進むといったことは起こらないだろう。こちらとしても慎重に事を進める必要がありそうだ。
ひとまず俺は家に帰り、明日からの移動計画を考えることにした。
翌朝。
「ユーさん朝ですよ!」
いつものモーニングコールで目を覚ました。2度寝ができない身体になりつつあるが、これはこれでよいかもしれないと最近思うようになった。
「おはようございます」
「ユー様、ほらしゃきっと!」
「そんなんじゃ3人目の彼女は守れないぞ!」
どうやら俺は夢を見ているようだ。リトナがいる。確か本隊が到着するまでのつなぎだったはず。
「これは夢か」
「夢じゃねえよ!さっさと起きろ!」
どうやら夢じゃないらしい。アイリス騎士団を再度呼んだ覚えはないのだが、いったいこの状況はどうなっている。
「リトナさん、なんで居るんです?」
「なんでって、ユー様が呼んだんだろ?」
「い、いえ?呼んだのは馬車だ…け…」
「ま、まさか…」
「そのまさかさ」
「ワルキューレ部隊が王都に戻るついでにユー様達を運んできてほしいと紫陽花からの依頼さ」
「天馬による空中運搬だぞ!」
「普通そんな贅沢はできないぞ!」
「贅沢ってそんなことしてよいのですか?」
「よいのですか?って、別に手ぶらで帰ろうが、手になにか持って帰ろうが関係ないだろ」
「いや、それはそうですが…」
「ほら、ユーさんも朝ごはんを食べて手伝って!」
何故、フィーネはこんなにも順応しているんだ。リトナの気迫に押されてしまったか。そう考えながら朝ごはんを食べたが、回りがドタバタと動いているため、ゆっくりとした優雅な朝食とはいかなかった。
「こんなに持っていくんですか」
「これって調理道具全部と服全部じゃないですよね?」
「え?そうだけど」
「王都の滞在は長いってユーさんが言ってたじゃない」
「いつここに帰って来られるかわからないので全部載せたわ!」
「リトナさん、この量って天馬でもさすがに…」
「全然余裕だから安心しろ」
「どちらかというと忘れ物が無いか心配だな」
「天馬の足でも王都とここは半日かかる」
「忘れ物は取りに帰ってこられないと思ったほうがいい」
「は、はあ…」
「私は大丈夫です!全部持ちました」
「私も!」
「お、じゃあ出発するか?」
「お別れの挨拶は大丈夫か?」
「はい、大丈夫です!」
「よし、じゃあ、みんな荷車に乗れ」
本当はもっとゆっくりとした旅をする予定だったが、リトナの影響でもう出発することになってしまった。まあ、2人が大丈夫と言っているのであれば、忘れ物はおそらく無いだろう。
「みんな天馬は初めてですよね」
「私とてもワクワクしています!」
ネルフィナは今までで一番目が輝いている。天馬は全女性の憧れというのはあながち間違いではないかもしれない。天馬は翼がある白馬で、総じて駿馬である。魔法を扱うため分類上は悪魔であるが、リトナのようにそれ相応の実力の持ち主であれば天馬は主人に従順であり、人里で暴れたりしないのが特徴である。
「天馬の空の飛び方は独特なので見ものですよ」
「では出発だ!飛び立つまではみんなどこかに掴まっててくれ」
そう言うと、天馬はゆっくりと駆け出した。翼を大きく広げ、徐々に速度を上げていく。ある速度を超えたあたりで一切の風を感じなくなり、翼を大きく羽ばたかせると当時に、荷車ごと空に浮かんだ。
「おおー!」
「ユーさん飛んでます!飛んでます!」
天馬は風魔法で前方の空気を下に追いやるようにすることで空を飛ぶ。そのため、天馬よりも後ろは空を飛んでいるにもかかわらず風が一切発生しない状況になる。ただし、これはあくまでも通説で、これだけでは空を飛ぶためには不十分とも言われている。魔法の研究員の間では未解決な問題の1つにもなっており、安全派と危険派で意見が分かれるほどだ。
「あとは半日もすれば王都に到着ですね」
「寝るなり読書するなりで時間を潰して…」
「フィリンさんとフィーネさんどうしました」
「わ、私…なんかよくわからないですけど怖いです…」
「わ、私も…なんか空を飛んでる実感がなくて…落ちるんじゃないかって…」
「あれ、2人はもしかして空を飛ぶ魔法は使えないですか?」
「な、なんでしょうかそれ…」
「ひ、人が…魔法で空を飛べるわけないじゃない…」
凍ったオークをとんでもない風量で粉々にした人が言う台詞じゃないが、どうやら飛行魔法を知らなかったようだ。それは今度教えるとして、今は恐怖で縮こまった2人を眺めるのも悪くないかもしれない。
「ね、姉さん…私たち無事に着くかしら…」
「だ、大丈夫よ…、落ちそうになったら…わた…ユーさんが助けてくれるわ…」
あれだけ怖がっていたのに、半刻ほど《約1時間》経過したところで恐怖による疲れからか2人は眠ってしまっている。恐怖に怯える子猫みたいで可愛かったが、もう見られないということを考えると少々寂しい気もする。
ネルフィナは今も目をキラキラさせながらずっと外を見ている。そろそろ飽きることかと思ったが、まだ楽しめる何かがあるようだ。
俺は邪魔しないように寝る体制をとり、空の旅を寝ながら楽しむのであった。
しばらくして天馬は地面に降りた。俺は地面に着地するときの衝撃で目を覚ました。
「あれ、もう着きましたか?」
「もう?こっちは寝ずの半日だ、結構な長旅だったぞ」
「ありがとうございます、今度なにかおごりますよ」
「みなさん起きてください、王都に到着しましたよ」
ルビアシ領主の都市部よりも、港町スミレよりも何百倍もでかい城壁が目の前に広がっている。
ここがこの国における中心部、オールエイシ領、王都エクセルシオールである。
「これが王都…」
この世界の住民は基本的にその領地から移動することはない。これは悪魔や魔物に地域性があるためである。知らない地域では遭遇する悪魔や魔物は知らない生物であることが多く、適切な対策が取れずに高確率で亡くなってしまうことが多い。そこまでのリスクを冒してまで移動するメリットが一般の住民は無いに等しいため、結果、住民は生まれた地域で一生を過ごすことになる。例外は冒険者ぐらいである。そのため国民でありながら王都を一度も見たことはないということは珍しくはない。
王都に入るのは簡単である。何故ならリトナがいる。あと俺も。
「アイリス騎士団様任務お疲れ様です」
アイリス騎士団は王都における重要な役割を担っており顔パスで通ることができる。荷車の中身を確認することなく。まあ俺もだが。
「ユー様の家の前まででよいか?」
「それでお願いします」
「荷車の回収はこっちで手配するので、そのまま置いていってもらって大丈夫です」
「わかった」
「ユーさんって家あったんですね!」
「それはどういう」
「だって、あっちこっちに移動しているのに家って」
「ほとんど帰ってないんじゃないですか?」
「やはり、フィーネさんもそう思いますよね!」
「俺も最初は要らないって言ったんですが、紫陽花が無理やり…」
「紫陽花が家も持たずにフラフラされては困るからな!」
「急な客人が来たときに家がないと不便だろ」
「そのときは紫陽花のギルドハウスを使うって」
「それは紫陽花のときだけだろ」
「さあ、着いたぞ」
「ええええ、ユーさんすごいじゃないですか!」
「貴族の家ですよ、貴族の家!」
俺からするとほとんど帰らないのに庭が無駄に広く、住宅が無駄に大きい気がしてならない。無駄な気がしているが、今のこの状況を考えると、これぐらいの広さでよかったとも思える。長く滞在する場合パーソナルスペースは重要だ。俺含めて4人であれば、この家なら十分広く使える。
「ありがとうリトナさん」
「お互い無事でまた会いましょう」
「おう、またな」
そういうとリトナは颯爽と天馬にまたがり去っていった。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
背後から耳馴染みの声がした。どうやらリトナとの会話を邪魔してはいけないと待機していたようだ。
「ただいま、バニール」
「半年ぶりですが、お変わりなく」
「そちらの腕にしがみついているゴ…お嬢様方は?」
「紹介するよ、今の旅で同行してい…」
「フィーネ・エクストラです。こっちは姉の」
「フィリンよ」
「ネ、ネルフィナ・ベールです」
何かを悟ったように、フィーネが食い気味に挨拶をする。
「ご挨拶遅れました。私はご主人様直属の使用人、バニール・リビィです」
「以後お見知りおきを…、フィーネ様」
これはまた…、一悶着起きそうな…、そんな予感がする…。




