幽霊狩り
配信が始まったのは、
午後十一時六分だった。
『はい、ということで今日は来ました』
男がスマートフォンへ向かって話している。
背後には、
暗い川。
橋。
街灯。
遠くを走る車の光。
『知ってる人も多いと思います』
『例の、河原の女です』
画面の隅を、
文字が流れていく。
《きた》
《本物?》
《前の動画のやつじゃん》
《触れるの?》
《近く行け》
同時視聴者数。
二千八百。
少しずつ増えている。
男は三人いた。
一人が配信。
一人が照明。
もう一人が、
長い棒とロープを持っている。
『前回までの動画では、声を掛けると返事をすることが確認されています』
『あと、石を投げると避けます』
男が笑う。
『つまり、こっちを認識してます』
川の中に、
女が立っていた。
膝ほどの深さ。
長い髪。
白い服。
いつもの場所。
男たちの強いライトが、
女を照らした。
女が顔を背ける。
『ほら』
『嫌がってる』
コメントが流れる。
《ちゃんと反応するんだ》
《もっと近く》
《触ってみて》
《捕まえられる?》
配信している男が、
川へ向かって声を張った。
「こんばんは!」
女は答えない。
「聞こえてます?」
少し間があった。
『聞こえています』
「うお!」
男たちが笑う。
『今日ちょっと検証したいんですけど、いいですか?』
『嫌です』
一瞬、
三人とも黙った。
コメントが急に増えた。
《即答w》
《嫌って言った》
《会話できるじゃん》
《やれやれ》
配信者が笑った。
「まあまあ」
女は彼らを見ていた。
『帰ってください』
「いや、少しだけなんで」
『嫌です』
同時視聴者数。
三千四百。
男は画面を見る。
「じゃあまず軽いやつから」
仲間から小石を受け取る。
「これくらい」
川へ投げる。
女から一メートルほど離れたところへ落ちた。
水が跳ねる。
女が一歩下がる。
『やめて』
「当ててないですって」
もう一つ。
今度は近い。
女の服へ水が跳ねる。
『やめてください』
男はスマートフォンを見る。
視聴者数。
四千を超えた。
「次、触れるか確認します」
*
最初の通報は、
犬の散歩をしていた男性からだった。
「河原で若い男が何人か騒いでるんです」
『喧嘩ですか』
「違うと思います」
『何をしています?』
男性は川を見る。
一人が棒を持って、
水の中へ入っている。
「幽霊にちょっかい出してます」
電話の向こうが、
一瞬だけ静かになった。
『場所をお願いします』
*
棒の先端が、
女の腕へ近づいた。
女は避ける。
「触れた?」
「まだ」
「もうちょい」
『やめて』
男がもう一歩、
川へ入る。
靴もズボンも濡れている。
「大丈夫、大丈夫」
棒の先が、
女の肩へ触れた。
止まった。
すり抜けない。
「うおっ」
「当たった?」
「当たってる」
棒を押す。
女の身体が傾いた。
『やめて』
「触れるじゃん!」
男が笑った。
コメントが流れる。
《物理いける》
《捕まえろ》
《ロープ》
《幽霊捕獲配信w》
女が距離を取ろうとする。
川を下流へ歩く。
男たちが追う。
「逃げる逃げる」
『来ないで』
「待って待って」
『来ないで』
声が、
少し変わっていた。
男は気づいた。
だが、
止まらなかった。
むしろスマートフォンへ向かって言った。
「めっちゃ嫌がってます」
同時視聴者数。
六千二百。
*
黒田と三宅が河川敷へ着いた時、
遠くからでもライトが見えた。
三宅が自転車を止める。
「またですか」
「みたいだな」
二人は堤防を下りる。
犬を連れた男性が立っていた。
「あっちです」
「ありがとうございます」
「前からいる幽霊ですよね」
「はい」
「あんなことして大丈夫なんですか」
「見てきます」
川の方から、
声がする。
「引け引け!」
黒田が足を速めた。
*
ロープは、
女の左腕に掛かっていた。
輪になっている。
男が岸側から引いていた。
女の身体が、
ゆっくり水の中を滑る。
『やめて』
「本当に引っ張れる!」
もう一人が笑う。
「すげえ!」
『痛い』
女が初めて、
そう言った。
男の手が止まる。
「痛い?」
女の腕には、
ロープが食い込んでいる。
『痛いです』
配信者がスマートフォンを近づける。
「幽霊も痛いらしいです」
コメントが流れる。
《マジか》
《演技だろ》
《もっと引け》
《跡つくか見たい》
男は、
もう一度ロープを引いた。
女の身体が崩れる。
片膝を水につく。
『やめて!』
声が大きくなった。
配信者の顔が、
嬉しそうに変わった。
「反応デカい!」
「もう一回――」
「何してるんですか」
声がした。
三人が振り返る。
黒田が立っていた。
少し離れて、
三宅。
配信者がスマートフォンを向ける。
「あ、警察来た」
黒田は川を見る。
女が膝をついている。
腕にロープ。
「まずそれ外してください」
「これ?」
「ロープ」
「いや、検証なんですけど」
「外して」
男は笑った。
「でも幽霊ですよ?」
「外してください」
「いや、だから」
黒田が男を見る。
「三回言わせないで」
男がロープを緩めた。
女の腕から外れる。
三宅が水際まで行く。
「大丈夫ですか」
女は、
すぐには答えなかった。
三宅がしゃがむ。
「聞こえます?」
『……はい』
「痛い?」
『痛いです』
三宅の表情が変わる。
男が言った。
「いやいや、幽霊ですよ?」
黒田が振り返る。
「何」
「暴行とかにならないでしょ」
「それ決めるのお前じゃないから」
男の笑顔が止まった。
「いや、でも人じゃないですよね」
「今それ決める話してないです」
「じゃあ何なんですか」
「嫌がってる相手にロープ掛けて引っ張ってたから止めてます」
「相手って」
「本人がやめろって言ってたでしょう」
「配信見てました?」
「今見た」
「じゃあ――」
「棒置いてください」
別の男がまだ持っている。
「なんで?」
「置いて」
男は不満そうに、
棒を地面へ置いた。
三宅が川へ入る。
女の近くまで行く。
「立てます?」
『はい』
女が立ち上がる。
左腕に、
黒い筋のような跡が残っている。
三宅が見る。
「これ、さっきの?」
『たぶん』
「触ってもいいですか」
女は頷く。
三宅が、
跡の近くへ指を触れる。
女の身体が僅かに引いた。
「痛い?」
『はい』
三宅は手を離す。
「分かりました」
*
男たちは、
まだ配信を続けていた。
画面には黒田が映っている。
「これ、止めてもらえます?」
「なんでです?」
「今から事情聞くから」
「配信しながらじゃ駄目ですか」
「駄目です」
「撮影禁止なんですか?」
「そういう話じゃないです」
「じゃあいいじゃないですか」
黒田は男を見る。
「今から名前と住所確認するんで、配信切ってください」
「任意ですよね?」
「今はね」
黒田が言った。
「だから切って」
男は少し迷った。
画面を見る。
視聴者数。
八千を超えている。
コメントが流れ続ける。
《警察きたw》
《逃げろ》
《続けて》
《逮捕ある?》
男は、
ようやく配信を止めた。
画面が暗くなる。
*
事情を聞く。
三人は、
県外から来ていた。
動画投稿を仕事にしている。
数週間前、
河原の女を撮影した動画が拡散されているのを見た。
再生数が伸びていた。
そこで、
「実際に触れるのか」
「物理的に移動させられるのか」
「どこまで反応するのか」
を調べる企画を立てた。
黒田が聞く。
「本人に許可取りました?」
「いや、幽霊なんで」
「最初に嫌だって言われてますよね」
「でも、危害加えるつもりはなかったです」
「ロープ掛けてますけど」
「引っ張れるかの検証です」
「石も投げた?」
「当ててないです」
「棒で押した?」
「触れるか確認しただけです」
「痛いって言った後も引っ張った?」
男は黙る。
黒田が続ける。
「動画残ってますよね」
「……はい」
「じゃあ確認します」
*
女には、
市の異常事案担当が呼ばれた。
夜中だったが、
一人が来た。
研究員も一人。
河原。
簡易的な検査。
腕。
肩。
髪。
身体表面。
女は黙って受けていた。
研究員が黒い跡を見る。
「以前は?」
『ありません』
「ロープを掛けられた場所?」
『はい』
「今も痛い?」
『少し』
「動かせます?」
女が腕を上げる。
『動きます』
「感覚は?」
『あります』
三宅が少し離れたところから見ている。
黒田が缶コーヒーを開ける。
「どうなんです?」
研究員が答える。
「分かりません」
「傷?」
「そう見えます」
「治る?」
「分かりません」
「そこは分からないんだ」
「初めて見ましたから」
「ですよね」
研究員は記録を続けた。
*
翌日。
動画は、
すでに切り抜かれていた。
《幽霊を捕獲してみた》
《警察が幽霊を保護》
《幽霊への暴行で逮捕?》
いくつもの見出し。
SNSでは意見が分かれた。
《そもそも幽霊に暴行罪って成立するの?》
《人じゃないんだからいいだろ》
《嫌がってるの分かってて続けてるの普通に怖い》
《研究なら分かるけど配信でやることじゃない》
《税金で幽霊守るの?》
《じゃあ犬とか猫ならいいのかって話》
テレビ局から問い合わせが来た。
市役所にも来た。
警察にも来た。
三宅がパソコンの画面を見る。
「面倒なことになってますね」
「動画にしたからな」
「そういう問題ですか」
「人集まると面倒になるだろ」
三宅がニュース記事を開く。
「幽霊への暴行って書いてます」
「まだ決まってないだろ」
「何になるんです?」
「知らない」
「先輩でも知らないんですか」
「俺、検察じゃないし」
三宅は画面を見る。
「じゃあ、あの人たち何もなしになる可能性もある?」
黒田は少し考えた。
「何もしてないことにはならないだろ」
*
実際、
簡単ではなかった。
人間と同じ身体を持たない存在に対する加害を、
どのように扱うか。
現行制度には、
すべての事例を想定した答えがあるわけではなかった。
意思疎通できる異常存在は、
すでに各地で確認されている。
しかし、
存在の性質はそれぞれ違う。
肉体があるもの。
ないもの。
痛覚を訴えるもの。
訴えないもの。
死亡した人間と同じ記憶を持つもの。
全く持たないもの。
それらを、
一つの言葉で処理することはできなかった。
警察。
検察。
市の法務担当。
異常事案担当。
それぞれが、
配信映像を確認した。
女が、
『嫌です』
と言う。
『やめて』
と言う。
男たちが笑う。
棒を当てる。
ロープを掛ける。
『痛い』
それでも、
もう一度引く。
映像は、
途中で止められた。
法務担当が言った。
「少なくとも、意思表示できない対象として扱うのは無理ですね」
検察官が頷く。
「本人が明確に拒否しています」
「人間と同じ法的地位かどうかは?」
「それは別に詰める必要があります」
「では」
「人と同じかどうかと、何をしてもいいかは別です」
机の上に、
配信の収益資料が置かれている。
問題の動画。
広告。
投げ銭。
有料会員。
検察官が資料を見る。
「しかも、嫌がってから再生数が伸びている」
*
三人は、
再び事情を聞かれた。
配信者の男は、
最初と同じことを言った。
「人間じゃないと思った」
「はい」
「法律で守られてるなんて知らなかった」
捜査員が聞く。
「法律で守られてなかったら、やっていいと思った?」
「そういう意味じゃないです」
「ではどういう意味です?」
「怪我するとは思わなかった」
「途中で痛いと言っています」
「本当に痛いか分からないじゃないですか」
「だから続けた?」
「……」
「やめてとも言っています」
「演技かもしれない」
捜査員は少し黙った。
「何のために?」
「え?」
「誰に見せるために演技するんです?」
「……」
「カメラを持ち込んだのは、あなたたちですよね」
「はい」
「相手は最初から撮影も検証も嫌だと言っている」
「……」
「それでも、自分たちが欲しい反応が出るまで続けた」
男は黙った。
「相手が本当に苦痛を感じているか分からなかった」
「はい」
「だから確認した」
「はい」
「確認方法として、嫌がる相手をロープで引っ張った」
「……」
「そこを確認しています」
*
事件から四日後。
黒田と三宅は、
河原へ行った。
通報ではない。
確認だった。
女は、
いつもの場所にいた。
黒田が声をかける。
「こんばんは」
『こんばんは』
三宅が川へ下りる。
「腕、どうです?」
女が左腕を見る。
黒い跡は薄くなっていた。
『まだ少し』
「痛い?」
『前よりは』
「そうですか」
少し沈黙。
川が流れる。
橋の上を車が通る。
女が言った。
『あの人たちは?』
三宅が答える。
「警察が調べてます」
『また来る?』
「来ないようにはします」
『来たら?』
三宅は少し考える。
「嫌なら嫌って言っていいです」
『言いました』
「そうですね」
三宅は俯いた。
「……すみません」
女が三宅を見る。
『三宅さんが?』
「いや、私じゃないですけど」
『じゃあ、どうして謝るの?』
三宅は答えられなかった。
黒田が言う。
「謝らなくていいだろ」
「分かってます」
「ならいい」
「先輩はもう少し何かないんですか」
「何が」
「こういう時の」
「ない」
三宅がため息をつく。
女が二人を見る。
『私は、悪いことした?』
二人とも黙った。
女は続ける。
『前は、石を投げられただけだった』
『今回は、引っ張られた』
『次は?』
三宅が顔を上げる。
黒田は女を見る。
「分からない」
三宅が黒田を見る。
「先輩」
「分からないものは分からないだろ」
黒田は続けた。
「でも、何かされたら通報してください」
『どうやって?』
三宅が小さく笑いそうになって、
やめた。
「電話、持ってないですもんね」
『持てる?』
「濡れますよ」
『そうですね』
少し間があった。
黒田が言う。
「近くの人に言えばいい」
『誰に?』
「犬の散歩の人でも、釣りの人でも」
『黒田さんでも?』
「いればね」
『三宅さんでも?』
「もちろん」
三宅が答えた。
女は頷いた。
*
市役所では、
河原の女について記録の見直しが行われた。
対象番号。
河川区域―一七。
分類。
人型異常存在。
会話。
可能。
人的被害。
なし。
物的被害。
なし。
他者からの加害。
一件。
本人からの明確な拒否意思。
あり。
夜間の撮影。
継続的な苦情あり。
担当者が入力する。
名前。
空欄。
以前から、
そこだけが空欄だった。
担当者が聞いた。
「名前、ないんですよね」
女は市役所には来られない。
そのため、
夜の河原へ担当者が出向いた。
黒田と三宅も、
近くで立ち会っていた。
『忘れました』
「昔の名前を?」
『はい』
「呼ばれたい名前は?」
女が担当者を見る。
『呼ばれたい?』
「今の名前です」
『今から決めてもいいの?』
担当者は少し考えた。
「本人がそうしたいなら」
女は黙った。
水を見る。
三宅が言った。
「前から、呼びにくかったんですよね」
黒田が見る。
「お前の都合だろ」
「でも河原の人って毎回言うのも」
『私は、河原の人?』
「今のところ」
三宅は少し気まずそうに言った。
「市役所では番号です」
『番号』
「河川区域―一七」
女がしばらく黙る。
『それは、嫌かも』
三宅が笑った。
「ですよね」
担当者が聞く。
「では、何か考えます?」
『どうやって?』
「好きな名前でいいですよ」
『好きな名前が分かりません』
三宅が川を見る。
水面に、
街の光が伸びている。
「澪って知ってます?」
女が三宅を見る。
『みお?』
「水の道です」
『道?』
「船が通れるような、水の中の通り道」
三宅は少し考える。
「名前にも使います」
女は、
足元の水を見る。
川は、
ゆっくり流れている。
『澪』
「嫌なら別のにしましょう」
『嫌じゃない』
「じゃあ」
女が三宅を見る。
『澪がいい』
担当者が確認する。
「呼称、澪でいいですか」
『はい』
「名字は?」
澪は少し考えた。
『いりません』
「分かりました」
担当者が端末へ入力する。
《本人希望呼称:澪》
三宅が言った。
「これで呼びやすいですね」
『三宅さんが?』
「私が」
『そうですか』
「嫌だったら変えられますよ」
『分かりました』
黒田が自転車へ戻る。
三宅が言った。
「先輩も何か言ったらどうです」
「何を」
「名前決まったんですよ」
黒田が澪を見る。
「じゃあ、澪さん」
『はい』
「また」
澪は少しだけ頭を下げた。
『また』
*
配信者三人については、
その後、
複数の行為が捜査対象となった。
河川敷での危険行為。
他者の制止後も継続した行為。
ロープや棒を用いた接触。
配信収益。
そして、
意思疎通可能な異常存在に対する加害。
何を、
どの法律で、
どこまで処理するのか。
議論は続いた。
最終的に、
彼らが「幽霊だから問題にならない」と考えていたことは、
免責の理由にはならなかった。
映像には、
澪の声が残っていた。
『嫌です』
『やめて』
『痛い』
それでも行為を続けた。
判断に必要だったのは、
澪が人間と同じ存在かどうかではなかった。
少なくとも、
嫌がっていることを理解していたか。
苦痛を訴えていることを認識していたか。
その上で、
何をしたか。
そこが確認された。
*
数か月後。
河川敷には、
小さな看板が設置された。
《夜間の河川利用について》
危険な入水をしないこと。
石などを投げないこと。
他の利用者への迷惑行為を行わないこと。
無断で強い照明を照射しないこと。
特定の怪異については、
一言も書かれていなかった。
三宅が看板を見る。
「澪さんのこと書かないんですね」
市職員が答える。
「書いたら見に来る人増えるので」
「なるほど」
川を見る。
澪がいる。
いつもの場所。
犬を連れた老人が通る。
「こんばんは」
『こんばんは』
老人はそのまま歩いていく。
少し後から、
高校生が自転車で通る。
「こんばんはー」
『こんばんは』
誰も立ち止まらない。
写真も撮らない。
三宅が言う。
「だいぶ馴染みましたね」
黒田が隣を歩いている。
「前からだろ」
「名前ついたじゃないですか」
「本人は前からいる」
「そうですけど」
二人は自転車に乗る。
澪が、
こちらを見る。
『黒田さん』
黒田が止まる。
「何」
『三宅さん』
「はい」
澪は少し考えた。
『おやすみ』
三宅が笑う。
「おやすみなさい」
黒田も言う。
「おやすみ」
二人は走り出す。
川には、
澪が残る。
水面が揺れる。
街灯。
車。
電車。
遠くの住宅。
そこに幽霊が一人いる。
だからといって、
誰かが触っていい理由にはならない。
だからといって、
誰かが怖がらなければならない理由にもならない。
澪は、
その夜も、
ただ川に立っていた。




