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2人のサイコパス  作者: アズキ
第3章

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19/24

4,娘

街中で捜査を行っていた警察は慌ただしく動いていた。

志村が発言した4人。

それぞれの家族が判明したことにより、事情聴取を行いに向かうのだ。

家族には電話をして、確認を済ませてある。

被害者と思われる人々はみな、一人暮らしをしているらしい。

ただ1人を除いて。


川島は柊木と一緒にいた。

柊木は警察署からの連絡があったあとから、電話に明け暮れている。

理由は明白であった。柊木の慌てよう。

少しの間しか、一緒にいなかったのに、彼がするとは思えない顔を川島の前にさらけ出してしまったこと。

動揺などしないと思っていた。

だが、連絡が来たあと、目は大きく開き、呼吸が乱れながら急いで電話をしに向かったのだ。

志村が言った名前のうち、柊木という苗字の人間がいたということ。

彼の慌てようから、2人は家族であることが分かった。

妻に連絡をしていたところを見ると、おそらく、娘なのだろうと川島は思った。


スマホを耳に当て、会話をする柊木の声が耳に入ってくる。

この事件が始まってから、彼の印象が川島の中で変わっていた。

最初はどんな状況にも冷静に対応することのできる刑事で、何があっても動揺なんかしなさそうに思えた。

しかし、自分の家族の平和が脅かされそうになったとなれば話は別らしい。

柊木がどんなにゴリラみたいな体格で、冷静な刑事だろうと、人間なのだなと思ったのだ。


彼の口からは「琴音は無事か!?」「今どこにいる!?」などの質問をバンバン投げかけていた。

言い方がかなり投げやりで、奥さんも焦っただろう。

無事かと聞いているため、この時、琴音という人物が娘であることに確信を持った。

しばらくすると、柊木はスマホを耳から離し、フゥーっと息を大きく吐いた。

顔中、汗びっしょりだったが、表情は落ち着いている。

川島の元に来るなり「俺はこの場を離れる」と言い渡された。


「娘さんは無事なんですか?」


「無事だ。今、家にいるらしい。

今日はどこにも出かけてないみたいだしな。

それでも、心配だ。

名前を出されたってことは、もしかしたら、奴に狙いがあるかもしれない。

俺は家に戻る。話は聞く予定だから、1人付き添いがいるけどな」


ついて行きたい。

だが、川島は別の事情聴取があった。

名前をあげられた人物とは別に、志村が勤務していたというコンビニが発見されたらしい。

川島はそこへ事情聴取をしに行くのだ。


「柊木さん、俺は別の場所に行くので、ここで」


「あぁ、わかってる。

付き添いは別のやつが来る」


敬礼をした後、パトカーへと向かう。

歩き出した時、柊木に声をかけられた。

川島は振り返る。


「おい川島。

さっきの会話から、娘だって見抜いただろ?

やるじゃねぇか」


それだけ言い残し、柊木もパトカーへと歩いていった。

川島は呆然とその場に立ち尽くしていたが、途中で嬉しさが腹の底から湧き上がってくるのを感じ始める。

ペアになった刑事に呼ばれ、ようやくその場を動き出す。

嬉しさを噛み締めながら、パトカーに乗ることができた。

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