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客人扱い

 俺達は先ず、自己紹介をすることになった。どんな環境で育てられて何を学んでどういう技術と知識を積んでいるのか。身分はどれくらいか。北半球の人達は筆談を混じえながら質問していく。心が読めるようだが哲学も文明も異なっているので地道な会話が必要のようだ。


 北半球の人達も自己紹介した。彼等彼女達もまた軍人であり潜水艦を操艦している。潜水艦乗りは沢山いて、俺達が何時来ても良いように交代で指定地を見張っていたのだ。


 こちらのうぶすな大陸はまほろば帝国という大国一つが支配している。帝国は南半球探査の為にうぶすな大陸の東側にある海風列島五国と西側にある盤古大陸五国とも綿密な連携をとっている。特に潜水艦部隊は北半球全体の混成部隊である。


 俺達は一ヶ月ほどこちらに滞在することになるが、その間に潜水艦部隊が集まって聴き取り調査や交渉をしていく。次回、何時何処にどんな身分の者を連れて何機が来るのかを決めた後、俺達を一度帰還させる。また、北の潜水艦部隊が何時何処に何隻来て良いのか俺達に考えてもらう。北の人達は本気で交渉を考えているようだ。


 俺達五人の一存で決められることではないけれど、北の人達の希望を聴いて政府や軍に報告しなければならない。南半球の国々の意見が短期間でまとまるとは思えないけれど、北半球の高度な文明を敵に回したがる者は居ないはずだ。


 一度、互いに紹介や状況の説明を終えると食事が出された。嗅いだことのない香辛料の匂いと見たこともない魚と野菜と穀物の料理だ。食べてみると独特の風味が広がり、美味い。人も生態系も赤道で分断され続けていたので体質や舌に合わないと思っていたが、決してそんなことはなかった。北の人達も安堵した様子だ。


 食後に俺達は便所と浴室を案内されて使い方も教わった。上下水道が完備されているようだ。便所は用を足した後、蓋を締めると糞尿が下の肥溜めに落ちるそうだ。肥溜めに落ち葉や木屑や肥えた土等を時折入れて機械で撹拌して堆肥にするらしい。水洗式の俺達の便所よりも合理的だ。汚水処理も進んでいる。


 着替えとタオルも渡され、寝床も用意される。至れり尽くせりだ。ちょっとした良い旅館に宿泊している心地だ。俺達を捕虜扱いしていないのが分かる。


 しかし毎日毎日朝から晩まで質問攻めに遭って答えなければならない。答えたくても軍人の俺達には権限がないので推測するしかない。南半球各国の思惑を情報将校が分析して俺達に教えるけれどもそれは機密情報だし、全部を教えてくれるわけでもない。


 半月ほど経つと質問者がどんどん増えてくる。まほろば帝国の人達は紺色の髪だが海風列島の人達は赤、盤古大陸の人達は黒だ。北半球各地からこちらに潜水艦で集まってきて俺達に聴き取り調査する。皆、一生懸命に俺達の言語で話しかけてくる。


 食事は美味いし寝床も着替えも清潔だし建物や浴室や便所も丈夫で快適だ。しかし質問攻めには疲れる。

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