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接触

 初めて降り立つ北半球の大地。今までに嗅いだことのないすがすがしい草木の匂いがする。俺達五人は危険な獣が襲って来ないか辺りを見渡しながら銃を持った。こちら草原には気配が無い。小雨に混じって時折風が吹く。


 俺達は隊列を組んで南に向かった。少し戻ることになるが、北半球からの資料では南側に大きな町が有る様だ。暫く歩くと舗装された道を見つけた。森に繋がっているが、町にも通じているのだろう。航行する時に集落を見つけた。


 森に入る時、太鼓が突然鳴った。俺達は驚いて銃をかまえた。前方から人の声がする。最初は何を言っているのか分からなかったが、俺達の言葉で、

「銃を下ろせ。武装解除しろ」

 と、繰り返し命じているのが分かった。俺達は立ち止まり、言う通りにした。太鼓を人の声が止む。


 周りを見渡すと、足音と共に森の木々が揺れた。森の中に塔が何棟も有り、そこから人がわらわら出て来た。百人ぐらい集まって来た。部下の一人が恐怖で咄嗟に銃をかまえようとしたが俺は制した。刺激を与えればアッという間に反撃されるだろう。


 百人は俺達から数十歩離れた所で立ち止まり、周りを囲んだ。彼等もまた銃らしい武器を持っている。よく見ると髪の色は紺か青だ。女もいる。


 俺達が五人しかいないので彼等彼女達の半分は俺達の飛行機に向かった。壊されたら俺達は帰れなくなる。しかし下手に抵抗すれば反撃される。俺達が狼狽していると、二人の女と三人の男が俺達の前に来た。女の一人がたどたどしく俺達の言語で、

「調べるけれどあの乗物を壊さない。けれどもこちらに来て欲しい」

 と、命じた。俺達を捕虜にして尋問するのか分からない。しかし断った方が殺される可能性が高い。俺達は隊長の合図で彼等彼女達の言う通りにした。


 五十人は飛行機を調べ始め、残り五十人は俺達を誘導する。暫く森の中を歩くと川が流れている。桟橋には船が何隻か繋がれている。俺達はそれに乗せられると川を南方へ下って行った。


 隊長は学者達が書いた手紙を先程の女に渡す。女は不思議そうな顔で受け取ると、読んでいく。俺達がこちらの言語を解析しているのが分かったのか、驚いている様子だ。女は読み終えると隣の女に渡して読ませる。次々に手紙が渡されていく。


 最初に手紙を読んだ女が、

「貴方達の世界ではこちらを攻撃するかどうか迷っていたみたいだね」

 俺は息を飲んだ。隊長も顔が青白くなっている。手紙には友好と交渉を求める内容を書いたはずだ。こちらの文明を褒めたたえていたはずだ。


 女は、

「私達の中には心を読める人が何人もいる」

 心が読める。どういうことだろうか。洞察力があるという意味ならば俺達の世界にもいるが、本当に喋っていない思考を読み取る能力を持つ者が実在するのだろうか。北半球独自の能力なのだろうか。俺は背中が冷えるのを感じた。

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