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私は魔王の息子だ

いつも読んでいただきありがとうございます!


今週は仕事が立て込んでおり、更新が少し空いてしまいました。

その分、土日のどちらかで1話投稿できればと思っています!


___


レクトが自由奔放に過ごしている頃。


もう一人の主人公は、

少しずつ追い詰められていました。


今回はルキウス回です。

朝日が昇る頃。

魔王城の一室には、

ぽつりと明かりがついていた。


魔王の息子ルキウスは勤勉だ。

本を開き、

黙々と文字を追っている。


ぱらり。

ページをめくる音だけが響く。

ある1ページでルキウスの手が止まった。


「勇者、か…」

ルキウスは小さく呟いた。


自分とは正反対の存在。

いつか、

対立する運命にある存在。


「……」

気にならないわけがなかった。


その考えを消すかのように、

ルキウスはページを繰り返しめくる。


そこには上位闇魔法についての記述が並んでいた。


影を渡る移動術。

闇獣の使役。

どれも高度な技術を必要とする魔法である。


「いつかは私も……」


知識も技術はある。

それでも闇魔法だけは発現しない。

それはルキウスにとって、

小さくない悩みだった。


どれだけ魔力を練って、練って、練って。


それでも生まれるのは、

魔族には眩しすぎる純白の魔力だった。


闇は現れない。


ルキウスは魔王の息子という肩書きを誇りに思っていた。

いつか父のような立派な魔王になれると信じていた。


だが、現実はどうだ。


発現したのは闇属性ではなく光属性ときた。

二つの属性を持つ複合属性の者もいる。

だが、魔族は例外なく闇属性だ。


自分は一体何なのか。


ルキウスは頭を悩ませていた。


コンコン。


「はい」


ガチャ。


「ルキウス様、朝ごはんの時間です。

こちらに持ってきましょうか?」


「ああ……大丈夫です。

食堂に行きます」


「分かりました。

では、参りましょう」


ルキウスは重い気持ちのまま立ち上がり、

食堂へ向かった。


____


食堂には既に父と母が揃っていた。


「また勉強していたのか」

「……はい」


「根詰めしすぎても良くないのよ、ルキウス」

「承知しています」


「……ルキウス、

光属性の事はあまり気にするな」


限界だった。

気を使われるのも。

励まされるのも。

大丈夫だと言われるのも。


「ごちそうさまでした。

私は先に部屋に戻ります」


「ルキウス、もう食べないの?

まだ沢山残ってるわよ?」


「……やることが沢山あるので」


ルキウスは立ち上がり、

足早に部屋へ戻った。


____


ルキウスは椅子に乱雑に座って、

繰り返し魔力を練り上げた。


一度。

二度。

三度。


それでも現れたのは白い光だった。


「なぜだ……」


ぽつりと零れた声は、

誰にも届かない。

静かな部屋に溶け込んだ。


ルキウスは額を押さえた。


いつからだろう。


勉強をしていても、

魔法を練っていても、

楽しいと思えなくなったのは。


ふと窓の外を見る。

訓練場で騒ぎ、

楽しそうに訓練している魔族たち。


自分だけ取り残されている気がした。

魔王の息子だというのに。

誰よりも努力しているはずなのに。


「……」


ルキウスは再び手を前へ突き出した。


白い光が集まる。


望んでいるのはこれではない。


それでも何度も魔力を練り続けた。



気付けば窓の外は赤く染まっていた。

いつの間にか夕方になっている。


気付けば窓の外は赤く染まっていた。

いつの間にか夕方になっている。


「ああ…」

今日も何も出来なかった。

闇は応えてくれなかった。


コンコン。


「入るぞ」


ガチャ。


「父上……」


「ルキウス。

少しは休んだらどうだ」


「いいえ。

私はやらなければいけないのです。

私は魔王の息子です」


「知っている。

私の大事な息子だ」


魔王は静かに答えた。


「だが、お前は私ではない」


「ですが……!!

私は立派な魔王にーー」


「私がいつお前に魔王になれと言った?」


「ッ……」


たしかにそうだ。

父上は私に魔王になれとは言っていなかった。

なのに、

なぜか胸が苦しかった。


その時、

ルキウスの中で何かがプツンと切れた。


「ハハッ……父上には分からないでしょう!

努力しても報われない苦しさなんて!」


ルキウスは取り乱して言った。


「私はずっと…!!」

「あの日から苦しかった!!」

「どれだけ努力しても、

私…私自身が認めることができなかった!!」


「そうか」

魔王は短く答えた。


「私はお前を認めている。

夜遅くまで勉強していることも、

誰よりも努力していることも、

全て知っている」


魔王は見ていた。

夜遅くまで灯る部屋の明かりも、

寝る時間を削って本を読む姿も、


そして、

息子が苦しんでいることも。


「……」


そうか。

父上は気づいていたんだ。

私が悩んでいることも。


涙が溢れて止まなかった。


「ルキウス。

少しの間、魔法から離れてみてはどうだ」

「お前には時間がたっぷりある」


魔王は優しく息子を見つめた。


「お前は頑張りすぎだ。

たまには肩の力を抜け」


「……はい」


ルキウスは小さく頷いた。




その時。


ふわり。

窓辺で白い光が優しく揺れた。

レクトとは正反対に、

何でも一人で抱え込んでしまうタイプです。


そして最後に少しだけ不思議な光が……?

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