表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

賑やかな夜

勉強。

勉強。

また勉強。


そんな彼の元に、

少し騒がしい来客が現れます。

「……?」


不意に風が髪を撫でた。

ルキウスは後ろを振り向いた。


だが、

そこには何も無かった。


窓は閉まっている。

それなのに、

確かに風が髪を撫でた。


「どうしたんだ、ルキウス」


「いえ、何もないです。

私の気のせいだったようです」


「そうか。

私は部屋に戻る」


「はい。

……ありがとうございました」


魔王は静かに部屋を去った。


ーー


「肩の力を抜け、か」


ルキウスはベッドに腰掛け、

ぽつりと呟いた。


今まで魔法中心で生きてきたルキウスには、

その言葉がどこかむず痒く感じた。


「はぁ……」

気付けばため息ばかりついていた。


「キャハハハ!」


鈴が転がるような笑い声が部屋に響いた。


「なんだ!?」


ルキウスは飛び起きて声の主を探した。


「こっちだよ〜!」

「見つかっちゃった!見つかっちゃった?」


「どこですか!」


「キャハハッ!」

「見える?見える?」


「見えません!!!」


「キミなら見えるはず!!」

「そうだそうだー!」


「だから見えないと言っているんです!」


「えー?」

「おかしいなぁ〜」

「見えるはずなんだけどなぁ〜」


声の主は移動しながら話しているようだ。

風が踊るように、

部屋を駆け回っていた。


「くそっ…」


声はすぐ近くから聞こえる。

それなのに姿が見えない。


「もっとよく見て!!」

「早く!早く!」

「こっちこっち!」


「よく見ると言われても……!?」


半信半疑のまま、

声のする方へ視線を向ける。


すると。


何もないはずの空間に、

ぼんやりと輪郭が浮かび上がった。


「見えた? 見えた?」

「わーい!」

「やったー!」


「これは……!?」


「やっと見つけてくれた〜」

「つまんなかった!!」

「ほんとだよ〜」


ルキウスは見たこともないその小さな姿に、

ただただ困惑していた。


「ね〜マジメくん!」

「いつも勉強ばっかり!」

「今日は違うんだね〜」


「それは……そういう時もあります」


ルキウスは一瞬言葉に詰まった。


「いつも難しい顔してるよね!」

「そうそう!」

「眉間にしわ!」


クスクス。


「私は……そんなに険しい顔をしていたんですか」


「してるよー!」

「ずーっと!」

「こんな顔!」


1人がルキウスの顔真似をした。


「キャハハハ!」

「そっくりー!」


「……そうですか」


ルキウスは自然と微笑んでいた。

力が抜けていく感覚がした。


「ねー!キミの名前は?」

「知りたいー!」

「なんていうのー?」


「私はルキウスです」


「ルキウス!」

「マジメくんらしい名前!」

「いい名前だね〜」


「あなた達の名前は?」


「名前はあるー!」

「あるある!」

「でも忘れたー!!」


「忘れたんですか??」


「うん!」

「名前がなくても不便じゃない!」

「呼ばれたら返事するし!」


「そういうものなんですか??」


「ルキウスは名前忘れないのー?」

「すごいねぇ!」

「かっこいー!」


「普通は忘れないと思うのですが……」


「忘れるよ〜」

「別に必要でもないしー!」

「本当にマジメくんだねぇ」


「真面目では無いです。

私は普通ですよ」


「普通かなー?」

「普通じゃないよねー?」

「勉強ばっかりだし!」


「夜も起きてるし!」

「難しい本ばっかり読んでるし!」

「ボクたちには分からないものいっぱい!」


「……全部見ていたんですか?」


「見てたー!」

「ずっと見てたー!」

「マジメくんだからね!」


思わず苦笑が漏れた。


「それは少し恥ずかしいですね」


こんなに騒がしくて、

楽しい時間はいつぶりだろうか。


「今日はもう寝ちゃおうよ!」

「ボク眠たい〜」

「ボクも!ボクも!」


「そうですね……

今日はもう寝ましょうか」


「うん!」

「ルキウスが眠るまで見守る!」

「安心して眠って!」


「ありがとうございます……」


ルキウスはベッドへ身を横たえた。


「おやすみー!」

「おやすみー!」

「また明日ー!」


まぶたが少しずつ、重くなっていった。

まるで鈴の音が子守唄のように聞こえた。

ルキウス回でした。


ずっと張り詰めていた彼ですが、

少しだけ肩の力を抜けたようです。


そして現れた騒がしい来客たち。


次回からはさらに賑やかになりそうです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ