ご好評につき大増産だ!
「師匠!大変です!今のままだと生産が間に合いません!」
「なんだって?それはうれしい悲鳴だね。……増産、しよっか」
「そういうと思って新設しておきました。計180基です!」
「お、多いね。多すぎると言っていいくらいだ」
「いやあ、大変でしたよ職人に聞いて回ってタンクを作れないか当たるのは」
「材料はどうするんだ?」
「それも大丈夫です。代替品の選定と量産体制の確保をしておきました」
「わお、それは偉業だね。まさかあのインクの材料を安定生産できるとはね」
「偉業は師匠の存在そのものです。さあ!生産しましょう!」
「わかった、わかった。そこまでされてはエリートの私の心も動くというものだ」
光る操作盤。そして全180基のタンクの処理が終わっていく。
「そろそろ私の魔力量の方がボトルネックになってしまうかも知れないな」
「大丈夫ですよ。回復用の薬品を用意しますからね」
「抜け目がないのがいいところだね。我が弟子よ。少し休んでもいいのだよ」
「みんなの笑顔と報酬のためです。頑張りましょう!」
「やれやれだね。わかったよ。私がこの産業革命を支えているのだからね」
「誇れる偉業ですね!」
「人間一人に支えられる不安定な革命とも言えるね」
「そのうち誰にでもインクを生産できる技術も生まれるはずです」
「そうなれば、今までの報酬でゆっくり隠居生活ができるね」
「その日が来るまで頑張りましょう!」
「全く付き合いがいいね。我が弟子は」
「はい!」
誰もが魔法を使える時代。誰でもは生産できない基幹精品を作る魔法使いがいた。
彼の元には魔法の才能はないが働き者の弟子がいたという。
彼らの仕事は世界を支えている。
世界はいつだって不安定だ。
それを支える支柱は意外とすぐそばにいる誰かの仕事によるものかも知れない。
働き者の弟子はのちにこう語る。
「え?報酬が出るならなんでもやりますよ」
人々の生活の豊かさを支えているのはそんな小さな欲なのかもしれない。




