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center 世界間移動のやり方は?

「この世界の始まりは五千年前と言われていますがー」


 かかか、と黒板に走るチョークの音。古典的ながらも現在も続けられている授業風景。この世界では機械も発達し能力という大きな他の世界には見られない特殊性が多くあると言うのに、それでも授業風景は多くの基準世界とは変わらない。それは恐らくこの世界も基準世界で行われていることが基準となっているが故にだろう。

 この世界は中心世界と呼ばれる世界、この世界の住人にとっては蒼空、または蒼空界と言う方がなじみ深いはずだ。中心世界は全ての世界の基幹、能力などあらゆる面において起源としての役割が強く存在する。もしくは、他の世界に適用する法則を決めるために、参考にするための世界ともいえる。とはいえ、この世界が多くの世界の始まり、起源、根源、発端、中心であると言う事実には変わらない。だからこの世界における物事はかなり大きい事柄である。


「先生ー。それ前も話してましたー」

「そうでしたかー? でも、この世界の歴史はころころ変わりますからねー。それに、大部分の歴史は抜けがあります。五千年前、始まりの時から、今……そうですねー、ここ十年くらいのどこかの日までの間はほぼ歴史が存在しない者として扱われていますー。国の起こり、大陸で起きた出来事、古代文明が存在するのにその文明の存在した歴史はなく、滅んだという事実すら確認はされていない。まるで誰かがそこに最初から文明を置いたかのように。歴史がころころ変わるのはすでに証明されていまして―、そのせいで私も話せる内容が少ない割に同じ内容ばかり言わなくちゃいけないくて辟易なんですー。だからごめんなさいねー。でも、学ぶ内容は少なくてすむので楽でよくないですかー?」


 よくはない、と言いたいところだが試験などでは設問が少なく回答を間違えにくく成績が低くなることはほぼない。少なくとも事前に復習をしっかりすればほぼ満点を取れるくらいである。歴史というが、その歴史が存在しないせいでそうならざるを得ない。ならば授業として学ぶ必要もないと思われるかもしれないが、この世界の起源や様々な物事に関わる起こりが多く含まれるため学ぶ必要性がある故に教師のいう通りころころと歴史が変わるせいで物事に変化が起きたことを覚えなおさなければならない。

 これは別に生徒に限らず、この世界の多くの住人が知るべきことではあるが、大体の場合は学ぶ必要性の無い物事が多く、変化したことも本人的には変わったように感じないことが多いので実のところ学びなおす必要性はない。学校故に、試験などで必要なため授業でやっているだけだ。

 なお、歴史が変わることがよく起こるのに、なぜそれが分かるのか。そもそも認識が変わらずそのまま適用されるのであれば気にする必要性はないのではないかとも思われるが、この世界に付属する世界の一つ、永遠界と呼ばれる世界がこの世界を含めた中心世界と呼ばれる世界群における時間基準となっている。

 永遠世界の時間は不変、ある一点の時間から始まりそこから真っ直ぐ時間軸が伸び、たとえどれだけ世界がやり直し繰り返されても永遠界の時間基準は変わることなく観測される。それゆえに永遠界の観測により中心世界の歴史が記録され続けており、その記録から情報を引き出す形で歴史の授業に必要な情報が抜き出されている。


「ですがー、まあ、なんどもやっていますからー。そうですねー。そろそろ授業もやめて何か質問でも聞きましょうかー」


 歴史の授業は短く同じことの繰り返しである。それゆえに子供たちはかなり退屈する。それを教師側も理解しているため、無理に歴史の授業は続けられず生徒に対して教師にわからないことを質問する時間としているのである。毎回の事なのでもうどちらも慣れた物、頭の固い教師ならば歴史の授業のみをするところかもしれないが、この教師はかなりゆるふわな頭で余裕のある性格。

 しかし質問と言っても、生徒はまだまだ子供、わからないことも多く何を質問するか迷う所である。わからないことが多いというのもあるが、そもそも何を教師に訊ねるべきか、という点でもある。聞いていいことか悪いことか、もっと聞くべきことがあるのではないか。また、他の生徒もいる場で言い出すのが難しいこともあるだろう。特に個人的事情ならば色々と。そういうことなので生徒もすぐに教師に訊ねると言うことはできない。

 もっとも、このやり取りも何度も行われている以上、質問を前々から考えている生徒もいることだろう。そのうちの一人が教師に訊ねる。


「先生ー。世界移動に関して聞きたいですー」

「世界移動ですかー。どうしてですかー?」

「少し前に俺は転生者なんだー、他の世界からやってきたんだーって人に会いましたー。それでー、将来俺の嫁にしてやろうっていって告白されたのー」

「あらあら」


 事案……と、世界によっては言われるだろう。もっとも本当に犯罪的な行為をしているならとっくに捕まっている。この世界ではその手の犯罪はすぐにわかる。能力という特殊な力やそもそもそういった犯罪に対する監視能力、防衛能力は高い。

 まあ、言っている内容があれすぎる。異世界からの転生者はここの世界では珍しくないが、そういう言葉を言ってのける人間はかなり稀少である。いわゆる勘違い野郎……なのかもしれないが、転生者である以上相応の実力はあるはず。少なくともそれを言い出せる程度には。とはいえ、この世界では転生者は珍しくない。そして、転生者ほどの実力者も珍しいものではない。特に中心世界では異世界転生でチート能力を貰って程度ではどうしようもない存在が数多く存在する。神すらも普通に存在する次元であるため、大体の異世界転生者は途中で伸びた鼻をへし折られ気落ちして過ごすか、逆に奮起してより才能を伸ばすかだ。

 まあ、そういう風に転生者が珍しくもないので教師はあらあらとちょっと面白そうに言うだけである。


「(あの子の能力は……結び、ですねー。これはこれは……多分逃げられないでしょうねー。いえ、あの子が気に入った相手だから結びで縁を繋がれたのでしょうかー? ひとまず転生者の存在を確認、一応監督者をつけたほうがいいですねー。後で報告と……)」


 なんだかんだで異世界転生者は別の世界の規則や法則、倫理観、そして大体の場合神から貰った能力や特殊な運命故に有する能力を持っていたりするので意外と危険も多く面倒な相手である。ゆえに彼らは一応の監視、監督者の存在がつく。

 さて、それはさておき。質問であること、世界移動に関して。恐らく興味を持ったのは転生者の存在、別の世界から来た存在を知ったからだろう。付属世界、世界群であるこの世界では異世界の認識は普通にある。そもそも、この世界に限らず無数の世界を有する世界、世界の中にある世界であるがゆえに異世界の存在に対する明確な認識を持つ。もちろんその外に存在するだろう世界のこともあるが、そちらは流石に観測外の領域となる。


「では今回は世界の移動に関して話しましょうかー」







 世界。この世界において世界とは球体であると認識されている。星、惑星としてではない。どちらかというと宇宙の形態が球体である、というものだろう。そのあたりの話は詳しくすると面倒なことになるが、恐らくは世界として球体の形態が安定するから、ということらしい。

 そんな世界は水の中に浮かぶように、世界の中に浮かんでいる。上中下層と、ある程度層という形で世界の位置が分かれていたりして色々と複雑な配置をしていたり、世界が竜の形をとっていたりと少々特殊な事例もあったりするが、まあ大体は世界の中に浮かぶ世界となっている。水の中に浮かぶと表現しているが、もちろん水ではない。世界の中に満たされているのは力、エネルギー、正確には世界になる前のものである。考え方によっては混沌と呼ばれたり、始原物質ともいうべきなのかもしれないが、この世界においてはその世界になる前の、世界の元となるエネルギーはその流れも含め世界源流という呼ばれ方をしている。場合によっては次元界流とも呼ばれるが、こちらはどちらかというと世界源流の流れのことを表するものだろう。恐らく。


「この世界だと、永遠界、裏世界、紅世界、双冥界、図書館の五つの付属世界がありー、そのうち双冥界ではよく存在の行き来がありますー。まあ、たいていの場合冥界に行くのは死者で魂と霊体だけですがー、これはある種特殊な能力を使わない移動となるでしょう。まあ、そこに携わる世界移動を行う存在である死神がいたりするので実のところ単独での移動ではないですねー。実は双冥界は魔源大陸に繋がる入り口が存在してそこから行き来することもかのうですがー、まあそれはかなり特殊なことなので省きます。そういった少々特殊な世界移動ができるのはこの世界の付属世界であるがゆえ、なので本来の異世界の行き来とは少々別ですねー。他の世界は行き来すらできない、まあ向こう側が拒む必然性があるから行くことができないのですがー」


 ならば説明する必要はなかったと思われる。


「本来の世界間移動は少々特殊ですー。そもそも、世界から別の世界への移動するというのはどういうことか? わかりますかー?」


 子供たちに教師は質問する。少し考える間があり、一人の生徒が応えた。


「世界の壁を突破する?」

「はいー、そうですねー。世界には世界を維持する壁のようなものが存在しますー。それを通り抜けない限り、世界の外には出れません。逆もまたそうですねー。世界の壁をすり抜けなければ別の世界に入ることはできない。それもまた世界移動には重要なことです。ですがもう一つありますねー。わかりますかー?」


 もう一度質問し、それにすぐに答えが返ってくる。


「世界源流!」

「はい、正解です。世界の外に流れる世界源流。その力、流れは強力で生身で入ったら体が吹き飛んでバラバラになっちゃいますねー。なのでそれをどうにかして、その流れの中を移動できなければなりません」


 とはいえ、例外もある。例えば神の類は普通に世界源流中も移動できるし、そこに入り込んでも生きているケースもある。とはいえ、ずっと耐えられるのはやはり余程強大な存在でなければ不可能だが。


「さて、大まかに三つ。外に出る、出た所から別の世界へ移動する、行先に入る。この三つの問題がありますがー、実質的には二つ、世界の出入りの仕方と世界間の移動方法ですねー。と言っても、実はこの三つが必要なのは異世界を歩いて行き来するような人たちだけなのですけどねー」

「どういうことー?」

「簡単です。世界の壁、世界を維持する壁がどこにあるか、わかりますかー?」


 わかるわけがない。基準世界であれば、宇宙の端っこがそれに値するかもしれないが。しかしつまり、世界の壁を突破するには世界の壁まで到達する必要があり、宇宙規模の大きさの場合そこまで到達するのに光速でも何年、何十年、何百年……何万、何億の時間がかかるか。宇宙の膨張が光速以上ならばまず到達することができない。


「わかんなーい」

「そうですねー。わかるわけがないですよねー。多くの場合、世界間移動は世界移動の能力を持っていても個人では行われることが少ないですー。神様や世界などの手を借りての移動となることが多いですー。ここでは図書館がその役割ですねー」


 この世界の付属世界、中心世界に存在する図書館。ここの神は<司書>と呼ばれる神で、現在は四人ほど存在する。その中でも最も最上の神、世界の管理を行う管理神はこの世界の始まりの五神、<世界結縁存在>とも呼ばれる神である。図書館は多くの世界へと繋がる門を図書館にある書として管理しており、同時にその繋がった世界の記録もまたその門の役割をもつ書物で行われる。いくらか滅んだ世界、かつて存在していた世界も今のところ図書館に記録だけは残る。

 他にも世界間移動を手伝う神は多い。<二言の神>である『伊達と酔狂の神』、そのあおりを受ける『調停と秩序の神』、それ以外にも多種多様な神様が関与することが多い。


「そもそも、世界を移動するには世界の壁を突破する必要がありますがー、それを行えるということは世界を破ることができる、世界崩壊に繋がりかねないことですー。だから普通はそこまで力を持てるのは珍しいことですねー。まあ、ここの一番上の人は出来るでしょうけどー」


 ここの一番上、ここの学校の一番上に存在する一人の存在。<絶対能力>と呼ばれるこの世界でも、どこでも少々特殊な扱いをうける力を有しており、それがあれば世界の壁を突破、世界を破壊するのも容易である。


「えー? じゃあどうやって世界移動するのー?」

「世界移動の能力あるじゃん! うそでしょ」

「世界移動の能力は確かにあります。ですがー、世界の壁を破る事例ではないということですー。そうですねー……」


 そう言って教師は教室の端に移動して一つの物を取ってくる。


「これが一つの世界です」


 教卓の上に本をとんと置く。


「いうなれば、この本は一つの世界。正確には世界の外側から観測された世界ということです。垂直世界論とは少々違いますがー、世界の観測は外側からでもいくらかできることで、特に神様なら容易ですねー。で、こうやってページを開く。このページが観測されている別の世界ですー。だから何だ? って思うかもしれませんが、物事においてはこの観測が重要になるわけですー。観測するということは、向こうに視線が通うと言うこと。見ると言うことは見られると言うこと、繋がりを持つと言うこと。こうやって、本の上に手を置いてみると、本に手がつくでしょー? 自分が触っていると同時に、向こうからも触られていると言うことですー。それが世界観の移動には重要になります。繋がりができる、ということによりその繋がりを通じ世界を移動する。それが多くの世界移動能力のやり方なんですよー」


 世界移動において完全にランダムで世界を移動することは不可能に近い。そういう能力もないとは言わないが、それは世界移動能力としてかなり特殊なものとなるだろう。普通は行くべき世界を選定し、その世界に行くのである。


「えー? じゃあ世界源流とかはー?」

「今言った方法では意味はないですねー。ですが、世界の外側に出る手法も世界移動には存在しますー。世界の壁を突破する手法ではなく、その世界から離脱する、この世界に存在しなくなる形で外に出る方法ですー。あと、空間を歪める方法も一つの手ですねー。この教室から外に出る場合、その場で空間を歪めて外の廊下に空間の穴を開け、こちら側にも開ける。そういう手法で外にも出れますよねー? 世界も同じですー。まあ、世界の場合はそのやり方がただの空間を歪めるやり方だけではできないのですがー。後、何らかの要因、外部からの攻撃や法則以上、世界状態の維持と修復、様々な要因で世界に穴が開くこともあり、そこから外に出ることもできますー。まあ、かなり珍しい事例ですけどねー」


 世界移動には様々な要因や能力が絡む。そして必要とされる力もかなりのものとなる。色々と面倒な物事は多い。


「さて、世界の外に出たはいいですが、外には世界源流があります。さてどうしたらいいでしょう? 世界源流の中では人は生きられません。どうやってその中を移動して別の世界へと移動しますかー?」

「船!」

「足場を作る!」

「防護服!」


 色々な意見がでる。おおよその意見は移動するための足となるものや道を作ること、世界源流の流れに耐えることだ。


「そうですねー。世界源流は確かに危険ですがー、絶対的なものではありません。防御手段さえ講じれば、あとは流れさえどうにかできれば世界を移動できるわけですー。まあかなり珍しいことですし、そうそう簡単にできることでもありませんー。あまり現実的な手段とはいいがたいことだったりするのですよー」


 結局、一番世界移動として有効的なのは神の力を借りることである。世界の管理者であり、人の手助けをすることも多い。彼らは彼らなりに役割や規則があり、世界移動に関するルールも多い。絶対的な存在、強大な存在、そういうこともあるし、やはりもともと世界間移動を行う役割を持つ存在もいる以上、そもそも個人で世界移動をやる必然性もない。とはいえ、彼らは手を貸すとしても自分の姿を見せるわけではないので、多くの世界移動能力を持つ者はこういった知識がない限りは個人でやっていると思っていたりもするが。

 と、そんなふうにさまざなことを話している間に授業を終える鐘がなる。休み時間である。


「あ、もう時間ですねー。では皆さん、今度の授業の予習をしておいてくださいねー」


 そう言って教師は教室を退室する。








「異世界転生者の報告をー。え? 私が担当しないかって? 駄目ですよー。そもそも私の管轄じゃないじゃないですかー。歴史の授業は暇だろう? いえいえ、そもそも私には別件もありますからー。ええ、そうですー。お願いしますー。こちらも生徒一人いなくなってるから追うのが大変なんですよー」


 彼女が担任をしている教室の生徒が現在一人行方不明となっている。今彼女はそれを追っている。


「ふう……近しいタイミングですが恐らく別物ですねー。そもそもこちらで起きたのは召喚、向こうに呼び出された形。入れ替わりではありませんしー。送ったから攫うってのも神様ではありません、そもそも痕跡が別物ですー。あれは恐らくただの召喚のはず、異世界に干渉したのは単に対象がこちらにいたから、に過ぎないみたいですしー。まあ、痕跡が残っていれば追うのは容易なんですがー、結構遠いし移動が面倒なようで。そもそも私がなんで異世界に行った子の回収短刀を任されるんですかー? 私の能力は異世界関連じゃないんですよー? まあ知り合いに頼んで何とか道を作ってもらうからいいですけどー」


 そんな愚痴を教師はつぶやいている。この世界、ここの学園、その中でも実力的存在的に上位者の彼女は結構忙しい。頼まれごとも多く、面倒ごとも多い。


「はあ……あとで有給申請しておきましょうかー。ちょっとゆっくりしたいですー」

名前だけは出てくることのある中心世界。

設定的に二次創作要素が多数どこではないくらいに存在するので出せない。

授業という形式で思ったことや設定的分野をいくらか。


要は主観と認識の問題。知らない所に転移は出来ない。

ただ、自分からする場合と誰かに引きずり込まれる場合はまた違う。

召喚は条件付けで対象を自動検索する。迷い込みは穴に落ちる的な不運。

そもそも、多くの場合は神様が関与するもの事。個人での異世界転移は厳しい。

システム、世界の要素として作られている場合もあるけど、結局神様の恩恵が大きい。


ただし、あくまでこの世界では、と言う話。

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