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やばい!最悪の魔女が頭の中にいる!  作者: uranium233
第1巻:すべてはここから始まる

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第4話:手がかり


『鬼谷子』に言う、「天地の変化は高さと深さにあり、聖人の道は隠れと匿い(かくまい)にあり」と。


始業式当日の午前、とある時刻。


「真白よ、始業早々お前に頼み事をしてしまってすまない」

「いいえ、校長先生。これも私の務めです」


スティーブン校長は座っていた人間工学に基づいた椅子に背を向けて座っていた。薄暗い執務室にはほのかに香が焚かれていた。

「ある一人の一年生を重点的に観察してほしい」

「はい」

「高橋瞬、一年B組だ。彼の資料は机の上のファイルに入っている」

橘真白はファイルを取り、封を開けて中の資料をめくった。

「高橋くんのこれまでの経歴や成績はどれも普通で、特に目立った点はありませんが……なぜ彼を重点的に?」

「昨日の正午、学校の結界が巨大な魔力の揺らぎを感知した。その発生地点は高橋くんの寮の部屋だ」

「魔力の暴走だったとすれば……」

「同時に、物質監視システムが人間一人分に相当する物質の消失を検知した。夕方にはその消失量と同量の増加が確認され、さらに高橋くんの部屋で二度目の魔力の揺らぎが起きた」

「高橋くんが転送魔法を使ったのですか?」

「ただの転送魔法じゃない。だからまずは彼に注目してほしい」

「承知しました」


「ねえ、高橋くん。この二日間で何か気づいたことはある?」

「特にないな。怪しい人物もいない感じだ」

瞬は左側の壁に寄りかかり、夏恋は隣に立っていた。

「ここ数日で一番クラスに馴染んでるのは、やっぱりイリスさんだと思うよ」

「あのピンク髪の子か」

瞬は遠くで数人の女子と話しているイリスを見やった。ピンクの長いツインテール、明るく外向的な性格で誰とでもすぐに仲良くなれるため、入学して間もなくたくさんの友達ができていた。

「今クラスで一番目立ってるのは、君とジュリアンを除けば彼女だろうね。休み時間にはいつも彼女の周りに人が集まってる」

「彼女を調べてみるか?」

「他の連中には特に問題が見当たらないなら、まずは一番目立つところから攻めるのがいい」

「今の状況はかなり難しいな。何もかもが未知数だ」

「瞬、お前も聴覚強化の魔法を少し練習してきたんだろ。ちょうどいい試しになる」

瞬は目を閉じ、魔力を耳に集中させて強化魔法を放った。

「イリスさん、Ariaが好きなんだ?」

「そうそう、新アルバムも買ったよ」

(Ariaか……最近すごく流行ってるバーチャルアイドルだな)

「来週末のライブ、チケット取れたんだよ」

「わあ、羨ましい!」

(どれもごく普通の高校生の会話だな。先輩の言ってたことは大げさだったのか?)

「おい、何やってるんだよ、ずっと目を閉じてしゃべらないし」

夏恋が瞬の腕をつねった。

「いてて!痛いよ」

瞬が目を開け、腕を引っ込めた。

「あ、ちょっと話はここまでにしておくね。用事があるから」

(えっ、イリスが出ていく?)

「イリスが出て行ったぞ。追うか?」

「行こう」


夏恋と瞬はこっそりとイリスの後を追った。イリスは校舎内をあちこちと回り、ついには廊下の隅にたどり着いた。夏恋と瞬は壁の陰に隠れてこっそりと見守った。

「お兄ちゃん、急に呼び出してどうしたの?」

(お兄ちゃん?イリスにはこの学校にお兄ちゃんがいるのか?)

「一つ確認したいことがあってな」

「何?」

「この期間、他の学年は一年生の校舎に入ることが禁じられてる。俺は生徒会の書類を処理しに来たついでに声をかけられたんだ。だから手短に言う。お前の任務は何だ?」

「学校から送られたあのメールのこと?」

(任務?しかもメールで送られてきた?学校から俺には入学案内のメールしか届いていないけど)

「ねえ、高橋くん、何かメール届いた?」

夏恋が小声で尋ねた。

「いや、何も」

「私の任務は……」

(くそっ、何で聞こえないんだ)

「邪魔魔法だ。あのイリスって子のお兄ちゃんはただ者じゃないぞ」

「わかった。それと、お前、気をつけろよ。尾行されてるぞ」

「やばい、バレた!逃げよう」

夏恋が瞬の手を引いてその場を離れた。

「わざと遠回りしたのに」

男性がイリスの肩を叩いた。

「もう目をつけられてるぞ。気をつけて、早く戻れ」


教室に戻る道すがら。

「もし学校が送った任務だとしたら、すべて説明がつくと思う」

「つまり……」

「イリスさんの任務が何かはわからないけど、一部の生徒に“自分の本当の実力を隠せ”という任務が与えられていると推測できる」

「高橋くん、結構賢いんだね。私も、任務が何も与えられていない生徒もいると思う」

「でも学校の目的は何だ?新入生にバラバラの任務を与えて混乱を起こすのか?さっぱりわからん」

「それはわからないね。でもイリスさんの任務は実力を隠すだけじゃないと思うし、それにあの時なぜか彼女が言ったことが聞こえなかった」

「多分お兄ちゃんが妨害魔法を使ったんだろう」

「厄介だな。あんなに強いお兄ちゃんがいるなんて。先輩の言う通り、誰一人として軽く見ちゃいけないな」

「でも少しは手がかりがつかめた。他の任務持ちを探してみよう。彼らの任務が何なのか突き止めるのがいい」


「In all chaos there is a cosmos, in all disorder a secret order.」

——Carl Gustav Jung『Flying Saucers: A Modern Myth of Things Seen in the Skies』


混沌の奥に宇宙は宿り、無秩序の裏に秘められた秩序は息づく。

——カール・グスタフ・ユング『空飛ぶ円盤——空に見られるものについての現代神話』


「皆さんこんにちは。私は魔法器学の教師、李釗(リー・チャオ)です。李先生と呼んでください。これが皆さんにとって初めての魔法器学の授業でしょう。この科目は応用を重視しています。皆さんの生活の中で使われている多くのものは魔法器なしでは成り立ちません。例えば車の魔力エンジン、魔晶石を利用した電気システム、氷魔法冷却器など。もちろん、もっと高度な魔法器のような不思議な器具もあります。魔法器の本質は科学と魔法の融合です。科学だけではできないことを魔法で補い、魔法の魔力依存を科学で代替する——互いに補完し合う関係なのです」

「ねえ、高橋くん、これからもイリスさんを調べ続ける?」

「まずは彼女と友達になるべきだと思う。同じクラスメイトだし」

「今日は面白い魔法器を持ってきました。魔法器学の楽しさを体感してもらいたいと思います」

李先生がポケットから四角い箱を取り出した。

「この箱を開けると、皆さんが心から欲しいものが現れます。ただし、この箱に入る大きさのものに限りますが。試してみたい人はいますか?」

(心から欲しいもの?箱に入るサイズなら何でも出てくるのか?)

「ただの幻影魔法だよ。でも本物を作ることもできるけどね」

白夜は軽蔑したように言った。

「先生、私がやってみます」

イリスが手を挙げた。

「いいでしょう。勇気あるこの生徒、前に出てきてください」

イリスは教壇に立ち、目の前に魔法の箱を置いた。両手で箱の蓋を握った。


十年前——

「小伊(シャオイー)!来たよ」

「バカ、どうしてこんなに遅いのよ」

「ごめん、だって……」

「どうしたの、小瞬(シャオシュン)」

「俺……引っ越しの準備で忙しくて……」

「どうして……」

「家族で他の街に引っ越すことになったんだ……」

「どうして私を置いていくの!私たち、約束したじゃない……ずっと一緒にいるって……」

涙が次々と少女の頬を伝った。少女は必死に手で拭ったが、涙は止まらなかった。

「僕もどうしようもないんだ……パパとママが他の街で働くことになって……」

「嫌だ!行かないで!」

「小伊、これあげる」

瞬はポケットから一つのしおりを取り出した。

「これは……」

「僕たちが初めて会ったのは、このしおりがきっかけだったよね。もしまたいつか会えるなら、その時もまたしおりをあげるよ」


箱の蓋が開かれた。

淡い青色のしおりが静かに箱の中に収まっていた。

イリスはそのしおりを手に取った。

「これ……」

「しおりでしたか。どうやらあなたにとって大切な思い出の品のようですね。このしおりは一日で消えてしまいますが、その間はどうぞ大切に持っていてください」

「はい、大事にします」

李先生が再び蓋を閉めた。

「では、もう一人、ランダムに指名します」

李先生は教壇の出席名簿をちらりと見た。

「高橋瞬くん、あなたも試してみてください」

(なんで俺なんだよ……)

瞬は教壇に上がり、蓋を開けた。

「うわっ!まさか『OurGirls2』のゲームのパッケージ版だ!来年発売の続編がまさか出てくるなんて」

「お前、もう少し落ち着けよ」

白夜がツッコミを入れた。

「高橋くん!それ、ちょっと貸してもらえませんか!俺もOurGirlの大ファンなんです!」

ややぽっちゃりした黒縁メガネの男子生徒が立ち上がった。

「それはちょっと無理だな。少なくとも俺が遊び終わってからなら貸せるよ」

「じゃあ、遊び終わったらぜひ貸してください!」

「おい、あのゲームを借りたがってるのは伊藤之介くんだよ。彼も特に特徴はない。俺がわざわざクラス全員の名前を覚えていなければ気づかなかっただろうな」

「でも、同じ趣味のやつが見つかって良かったな。共通の趣味があれば、これからもっと話しやすくなるだろう」


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