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アラフォー冒険者、今日も嫁のために頑張ります  作者: 榊紅丸
第二章 冒険者都市ルグリア編
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第80話 ルグリアの塔

 翌朝。


 朝食を済ませたグレンたちは、《銀の鹿亭》を出た。


「準備は?」


「大丈夫。」


「ミャ!」


『だいじょうぶ』


「ミケも大丈夫だって。」


「お前はアイリに抱っこされてるだけだけどな。」


「ミャ。」


『らく』


「否定しないのかよ。」


 アイリが笑う。


「いいでしょ。」


「まあな。」


 グレンはストレージの中身を確認する。


 食料。


 水。


 回復薬。


 状態異常治療薬。


 結界魔道具。


 野営道具。


 必要なものは揃っている。


「じゃあ行くか。」


「うん。」


 ルグリアの街を出て。


 塔へ続く街道を歩く。


 昨日。


 遠くから見ても巨大だった塔。


 近づけば。


 さらに大きく見えた。


「……でかいな。」


「昨日も言ってたよ。」


「近くで見ると余計にな。」


 石造り。


 見上げても。


 頂上が遠い。


「三十階。」


「うん。」


「外から見るだけなら、そんなにあるように見えないんだけどな。」


「中は広いのかな?」


「入れば分かる。」


「ミャ。」


『いく』


「ミケはやる気だね。」


 三人は入口へ向かった。


 塔の前には。


 何組もの冒険者がいる。


 装備を確認する者。


 仲間と打ち合わせをする者。


 塔から戻ってくる者。


「本当に冒険者多いな。」


「フォルンのダンジョンとは全然違うね。」


「ああ。」


 入口。


 巨大な扉を抜ける。


 その先。


「……。」


 グレンが足を止めた。


「広いね。」


「ああ。」


 塔の中。


 だが。


 想像していたような。


 狭い石造りの内部ではなかった。


 目の前に広がっているのは。


 草原。


「塔の中だよな?」


「たぶん。」


「空まであるけど。」


 頭上には。


 青い空。


 遠くには。


 木々まで見える。


「異空間か。」


「ダンジョンと同じ?」


「そう考えるのが自然だろうな。」


 外から見た塔の大きさと。


 内部の広さ。


 明らかに合っていない。


「面白いな。」


「グレン、楽しそう。」


「初めて見るからな。」


 グレンは周囲へ意識を向ける。


 気配察知。


 魔力感知。


「……いる。」


「魔物?」


「ああ。」


「前方。」


「三体。」


 草むら。


 何かが動く。


 現れたのは。


 灰色の狼型の魔物。


「鑑定。」


 グレンが確認する。


「グレイウルフ。」


「三体か。」


「私もやる?」


「いや。」


 グレンが剣を抜く。


「まず俺が試す。」


「分かった。」


 アイリが魔法をかける。


「身体強化。」


 続けて。


「クイック。」


「ありがとう。」


 三体のグレイウルフが走り出す。


「速いな。」


 だが。


 今のグレンにとって。


 対応できない速度ではない。


 一体目。


 踏み込む。


「連続斬り!」


 二撃。


 グレイウルフが倒れる。


 二体目。


 横から飛びかかる。


 バックラー。


 ガッ!


 牙を受け止め。


「ノックバック!」


 吹き飛ばす。


 そのまま。


「スマッシュウェーブ!」


 衝撃波。


 二体目を仕留める。


 三体目。


「エアーカッター!」


 アイリ。


 風の刃。


 グレイウルフが倒れた。


「……。」


 静かになる。


「どう?」


「問題ないな。」


「フォルンの低層よりは強そうだけど。」


「ああ。」


「でも今の俺たちなら余裕。」


「ミャ!」


『ミケも』


「分かってる。」


「まだ出番なし。」


「ミャ……。」


『できる』


「必要になったら頼むよ。」


「ミャ。」


『わかった』


 グレンは魔石を回収する。


「進もう。」


「うん。」


 一階層。


 出てくる魔物は。


 グレイウルフ。


 ゴブリン。


 ホーンラビット。


 低級の魔物が中心。


 数は。


 フォルン東部ダンジョンより多い。


 だが。


 二人にとって。


 脅威になるほどではなかった。


 二階層。


 景色が変わる。


「森か。」


「本当に階層ごとに違うんだね。」


 木々。


 草。


 視界が悪い。


「こういう場所は気配察知が便利だな。」


「どこかにいる?」


「あっち。」


 木の陰。


「四体。」


 ゴブリン。


 装備を持っている。


「俺が二体。」


「じゃあ私も二体。」


「ああ。」


「ミャ?」


『ミケは?』


「見学。」


「ミャー。」


『たたかう』


「ダメ。」


『どうして』


「必要ないから。」


 アイリがミケを撫でる。


「危なくなったら助けてね。」


「ミャ。」


『わかった』


「聞き分けいいな。」


「いい子だもん。」


「はいはい。」


 戦闘開始。


 グレンが前へ。


「スマッシュウェーブ!」


 衝撃波。


 一体。


 続けて接近。


「連続斬り!」


 二体目。


 同時に。


 アイリがグリムゾンティアを向ける。


「エアーカッター!」


 複数の風刃。


 二体のゴブリンを切り裂く。


「終わり。」


「早いね。」


「相手が低層だからな。」


 三階層。


 岩場。


 四階層。


 洞窟。


 階層が変わるたび。


 環境も変わった。


「面白い塔だな。」


「一日歩いてても飽きないね。」


「三十階全部違うのかな。」


「どうだろう。」


 四階層。


 魔物の強さも。


 少しずつ上がっていた。


「来るぞ。」


 グレンが構える。


 前方。


 五体。


 オーク。


「ここでオークか。」


「フォルンだと五階くらいだったね。」


「ああ。」


「塔の方が少し進行早いのかな。」


「数も多い。」


「私が減らす?」


「頼む。」


 アイリが。


 グリムゾンティアを構える。


「エアーカッター!」


 風刃。


 前方へ扇状に広がる。


 オークたちを襲う。


「グォォッ!」


 二体が倒れ。


 三体が残る。


「行く。」


 グレンが駆ける。


 身体強化。


 クイック。


 一気に距離を詰める。


 一体目。


「パワースラッシュ!」


 強烈な一撃。


 吹き飛ばす。


 二体目。


 棍棒。


 バックラーで受け流す。


「連続斬り!」


 倒す。


 最後。


「グォォォッ!」


 大きく振りかぶる。


「遅い。」


 避ける。


「スマッシュウェーブ!」


 至近距離。


 衝撃波。


 オークが後方へ吹き飛んだ。


「終わり。」


「お疲れ様。」


「ミャ。」


『おわった』


「ああ。」


 グレンは剣を収める。


「四階でこれなら。」


「五階のボスも大丈夫そう?」


「たぶんな。」


「ただ。」


 グレンは周囲を見る。


「フォルンより魔物の数が多い。」


「うん。」


「低層だから一体一体は大したことないけど。」


「もっと上に行ったら大変かもね。」


「ああ。」


 数が多い。


 それだけでも。


 魔物が強くなれば危険度は大きく変わる。


「油断しないで行こう。」


「うん。」


「ミャ。」


『わかった』


「ミケもな。」


 そして。


 四階層の奥。


 階段。


「これか。」


「五階だね。」


 三人は階段を上がった。


 五階層。


 そこは。


 今までの階層とは違った。


 広い石造りの空間。


 そして。


 正面。


 巨大な扉。


「ボス部屋。」


「みたいだね。」


 扉の横。


 石碑。


 グレンが読む。


「階層主を討伐した者は、転移陣の使用を許可される。」


「エレナさんが言ってた通りだね。」


「ああ。」


 グレンが。


 扉を見る。


「ここをクリアすれば。」


「次から五階まで来られる。」


「便利。」


「フォルンにも本当に欲しかったな。」


「まだ言うの?」


「十階まで毎回歩いたんだぞ?」


「ふふっ。」


「ミャ。」


『いく?』


「ああ。」


 グレンは。


 剣の柄へ手を置いた。


「行こう。」


「うん。」


 アイリがグリムゾンティアを構える。


 ミケも。


 アイリの腕の中から。


 扉を見る。


「最初の階層主。」


「どんな魔物かな。」


「開ければ分かる。」


 グレンが。


 巨大な扉へ手をかけた。

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