第42話 八階層の奥へ
スケルトンキャプテンを倒した二人は、少し休憩してから探索を再開した。
古代遺跡の通路は、奥へ進むほど複雑になっていく。
左右にいくつもの通路が分かれ、崩れた柱や瓦礫が行く手を遮っている場所もあった。
「迷いそうだね。」
「ああ。」
グレンは周囲を見渡す。
「帰り道はちゃんと覚えておこう。」
「うん。」
慎重に進んでいく。
気配察知。
罠察知。
そして、時折隠し空間感知も使う。
今のところ新たな反応はない。
「隠し部屋って、そんなにたくさんあるわけじゃないんだね。」
「そりゃそうだろ。」
グレンが笑う。
「そこら中にあったら、もう隠し部屋じゃない。」
「あ、それもそうだね。」
アイリも笑った。
その時。
グレンの表情が変わる。
「反応。」
「何体?」
「……多い。」
グレンは少し眉を寄せた。
「七体いる。」
「七体……。」
二人は足音を立てないように進み、広間の手前で止まった。
そっと中を確認する。
スケルトンソルジャーが四体。
スケルトンアーチャーが三体。
「また集団か。」
「どうする?」
「アーチャーが三体いる。」
グレンは広間を確認する。
「先に矢を何とかしないとな。」
「クイック。」
アイリが魔法を掛ける。
グレンはミスリルソードを抜き、左腕のミスリルバックラーを構えた。
「行く。」
広間へ飛び出す。
すぐに三体のアーチャーが反応した。
三本の矢が放たれる。
一本はグレンへ。
残る二本は――。
「アイリ!」
グレンは進路を変えた。
ガンッ!
一本をバックラーで弾く。
もう一本へ身体を滑り込ませる。
ガキン!
今度はミスリルソードで弾いた。
「ありがとう!」
「前に出すぎるな!」
「うん!」
その間にもソルジャーたちが迫る。
「スマッシュウェーブ!」
衝撃波が二体を巻き込み、後方へ吹き飛ばした。
だが残る二体は左右から迫ってくる。
一体の剣をバックラーで受ける。
ガンッ!
「くっ!」
もう一体の攻撃をミスリルソードで弾く。
「ファイアボール!」
アイリの火球が一体へ直撃した。
スケルトンが大きくよろめく。
「連続斬り!」
グレンが胸元を斬り裂き、魔石を砕いた。
一体。
しかし、まだ六体いる。
ヒュッ!
「グレン!」
矢が飛んでくる。
グレンはバックラーを上げた。
ガキン!
「数が多いと面倒だな。」
倒しても、魔石を砕かなければ復活する。
その間にもアーチャーは矢を放ってくる。
「ファイアボール!」
アイリが二体目を攻撃する。
だが、一体ずつだ。
「もう一発!」
再び火球を放つ。
その間にグレンは二体のソルジャーを相手にする。
バックラーで剣を受け流す。
そのまま身体を踏み込ませる。
「パワースラッシュ!」
一体を吹き飛ばす。
続いてもう一体。
「連続斬り!」
骨を砕き、露出した魔石へ剣を突き立てる。
パリン!
「あと四体!」
「ああ!」
時間は掛かった。
だが、二人は焦らなかった。
グレンが前衛を抑え、アイリが後ろから一体ずつ確実に仕留める。
最後のアーチャーの魔石が砕ける。
広間に静寂が戻った。
「ふぅ……。」
グレンはミスリルソードを下ろした。
アイリも大きく息を吐く。
「七体は大変だったね。」
「ああ。」
「倒せない相手じゃないけど、時間が掛かる。」
二人は討伐証明を拾い集める。
アイリが少し考える。
「私、一体ずつしか攻撃できないから……。」
「ああ。」
グレンも同じことを考えていた。
「俺も似たようなものだ。」
「スマッシュウェーブなら何体か巻き込めるけど、一直線に並んでくれるとは限らない。」
「うん。」
「こういう時、まとめて攻撃できたら楽なのにね。」
「そうだな。」
グレンは苦笑する。
「まあ、そんな都合のいいスキルが手に入ればだけど。」
「ふふっ。」
「そうだね。」
スキルブック合成で何が生まれるかは分からない。
欲しいと思ったからといって、手に入るわけではない。
「とりあえず今は、今あるものでやろう。」
「うん。」
二人は再び歩き始める。
しばらく進んだところで。
「……待って。」
グレンが足を止めた。
「どうしたの?」
「隠し空間感知。」
グレンは通路の左側へ顔を向ける。
そこには、崩れかけた石壁しかない。
しかし。
「この向こうに何かある。」
アイリの顔が明るくなる。
「また隠し部屋?」
「たぶんな。」
二人は顔を見合わせた。
八階層、二つ目の隠し空間だった。




