第38話 スケルトン
グレンは静かにミスリルソードを構えた。
「アイリ。」
「うん。」
「クイック。」
身体が軽くなる。
その瞬間。
二体のスケルトンが同時に距離を詰めてきた。
「速くはない。」
グレンは冷静に見極める。
狼ほどの素早さはない。
その代わり、無駄のない剣筋で斬り掛かってくる。
ガキィン!
剣と剣がぶつかり合う。
「思ったより力もあるな。」
押し返しながら距離を取る。
もう一体が横から斬り掛かる。
「ファイアボール!」
アイリの火球が命中した。
スケルトンはよろめく。
「ありがとう。」
グレンは一気に踏み込んだ。
「連続斬り!」
二撃。
骨が砕け散る。
しかし。
バラバラになった骨がカタカタと音を立てながら集まり始めた。
「えっ!?」
アイリが驚く。
「復活するの!?」
グレンは素早く鑑定を使う。
⸻
【スケルトン】
八階層に生息するアンデッド。
核となる魔石を破壊しない限り、何度でも身体を再生する。
⸻
「なるほど。」
「核がある。」
「アイリ!」
「うん!」
「もう一度!」
ファイアボールが飛ぶ。
胸の骨へ直撃する。
パキン。
小さな音とともに青い魔石が砕けた。
集まりかけていた骨が、その場へ崩れ落ちる。
「今だ!」
グレンは残る一体へ向かった。
スケルトンは剣を振り下ろす。
グレンは受け流し、そのまま身体を滑り込ませる。
「パワースラッシュ!」
重い一撃がスケルトンを吹き飛ばした。
骨が床へ散らばる。
しかし。
再び骨が動き始めた。
「やっぱりか。」
グレンは落ち着いて核を探す。
「頭じゃない。」
「胸だ。」
「ファイアボール!」
アイリの火球が胸へ命中する。
パリン。
魔石が砕け、スケルトンは完全に動きを止めた。
「倒せたね。」
「ああ。」
グレンは討伐証明を回収する。
「アンデッドは初めてだったけど、仕組みが分かれば怖くないな。」
「うん。」
アイリも安心したように笑う。
「鑑定が役に立ったね。」
「ああ。」
二人はさらに遺跡の奥へ歩き始める。
石柱が並ぶ広間を抜ける。
その先で。
グレンが再び立ち止まった。
「反応。」
「今度は……五体。」
アイリは思わず息を呑む。
「増えたね。」
「ああ。」
「しかも。」
グレンは通路の奥を見つめる。
そこには剣を持つスケルトンだけではない。
弓を構えた骸骨も二体混じっていた。
「スケルトンアーチャーか。」
グレンはミスリルソードを握り直す。
「後衛から倒そう。」
「うん!」
二人は息を合わせ、再び駆け出した。




