↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/105

第28話 七階層へ

 翌朝。


 グレンは目を覚ますと、しばらく天井を見つめていた。


「静かだな。」


 隣ではアイリがまだ眠っている。


 隙間風の音もない。


 床が軋む音も聞こえない。


 昨日まで当たり前だった古い借家とは、まるで違っていた。


 思わず笑みがこぼれる。


「本当に引っ越したんだな。」


 やがてアイリも目を覚ました。


「おはよう。」


「おはよう。」


 アイリは嬉しそうに部屋を見回す。


「何だか夢みたい。」


「昨日、お風呂に入ったのに。」


「朝起きてもまだここだった。」


 グレンは思わず吹き出した。


「夢じゃないさ。」


「俺たちの家だ。」


 アイリは照れくさそうに笑った。


「えへへ。」


◇


 朝食を終えた二人は、いつものように冒険者ギルドへ向かった。


「おはようございます!」


 ミーナが笑顔で迎えてくれる。


「引っ越し、おめでとうございます。」


「ありがとう。」


 グレンが笑う。


「昨日はお世話になった。」


「いえ。」


「そういえば。」


 ミーナは依頼書を一枚取り出した。


「六階層を攻略したお二人なら、七階層の依頼も受けられます。」


 グレンは依頼書へ目を向ける。


『七階層調査依頼』


「調査?」


「はい。」


「七階層へ入れるようになったばかりの冒険者向けの依頼です。」


「魔物を何体倒す、といった依頼ではありません。」


「七階層を探索し、安全に戻ってきていただければ達成です。」


 アイリが少し安心したように言う。


「いきなり討伐じゃないんだね。」


「はい。」


「七階層は未知の部分も多いですから。」


「まずは地形や魔物を知ることが大切なんです。」


 グレンは依頼書を受け取った。


「俺たちに合ってるな。」


「安全第一ですから。」


 ミーナも笑顔で頷く。


◇


 ダンジョン入口。


 グレンはミスリルソードへ手を添える。


「行こうか。」


「うん。」


 二人は六階層を抜け、初めて七階層へ続く石階段を下りていく。


 やがて景色が変わった。


「これは……。」


 アイリが思わず足を止める。


 七階層は六階層とはまったく違っていた。


 天井は高く、壁には青白く輝く鉱石が無数に埋め込まれている。


 淡い光が通路全体を照らし、幻想的な景色を作り出していた。


「綺麗……。」


「ああ。」


 グレンも思わず見とれる。


 だが、その表情はすぐに引き締まる。


「景色に見惚れるのは後だ。」


「まずは気配察知。」


 目を閉じる。


 しばらく集中したあと、小さく頷いた。


「今のところ魔物はいない。」


「良かった。」


「でも。」


 グレンはゆっくり周囲を見渡した。


「六階層とは空気が違う。」


「ああ。」


「ここからが本当の挑戦だ。」


 二人はゆっくりと七階層への第一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。