第22話 第二回合成大会
パラライズスネーク討伐を終えた翌日。
二人は依頼を休み、家の机へスキルブックを並べていた。
「また増えたね。」
アイリが木箱の中を覗き込みながら笑う。
「ああ。」
グレンも頷く。
「今回は結構集まった。」
「まずは白からだね。」
「ああ。」
二人は説明を読みながら、必要ないと判断した白いスキルブックだけを選んでいく。
光が何度も部屋を包む。
一冊。
また一冊。
白いスキルブックは少しずつ緑へ変わっていった。
「さて。」
グレンは出来上がった緑色のスキルブックを机へ並べる。
「ここからが本番だ。」
アイリも思わず身を乗り出した。
「青になるかな。」
「あとは運だ。」
二人は使わないと判断した緑のスキルブックを二冊選ぶ。
淡い青い光が部屋いっぱいに広がる。
やがて一冊の青いスキルブックが机へ現れた。
「青だ!」
アイリが嬉しそうに声を上げる。
グレンは慎重に表紙を開く。
「……鑑定。」
「鑑定?」
説明を読む。
『対象の基本情報を確認できる。』
「便利そう。」
アイリが呟く。
「ああ。」
グレンも頷いた。
「魔物だけじゃない。」
「スキルブックにも使えるかもしれない。」
「それなら。」
「研究が一気に進むね。」
「これは覚えよう。」
グレンは迷わず鑑定を習得した。
青い光が身体へ溶け込み、新しい知識が頭へ流れ込む。
光が消える。
グレンはすぐ近くにあった緑色のスキルブックへ視線を向けた。
「鑑定。」
頭の中へ文字が浮かぶ。
『ウォーターボール』
『生活魔法』
『飲料水の生成、洗浄、消火などにも利用可能』
アイリが目を丸くした。
「説明より詳しい!」
「ああ。」
グレンも驚きを隠せない。
「生活魔法だったのか。」
「これなら旅でも役立つね。」
「やっぱり鑑定は当たりだった。」
グレンは嬉しそうに笑う。
◇
「もう一回やってみよう。」
再び緑のスキルブックを二冊並べる。
青い光。
二冊目の青スキルが完成する。
「今度は?」
グレンが表紙を見る。
「気配察知。」
二人は思わず顔を見合わせた。
「当たりだ。」
「ああ。」
説明には、
『周囲の生き物の気配を察知する。』
と書かれている。
「六階層で待ち伏せされなくなるかもしれない。」
「覚えよう。」
グレンは迷わず本を開いた。
青い光が身体を包み込む。
しばらくすると、家の外を歩く人の気配や、屋根の上に止まった鳥の存在まで、ぼんやりと感じ取れるようになった。
「すごい……。」
「目で見えなくても分かる。」
「これも大当たりだ。」
◇
その日の合成はそこで終わった。
木箱の中には、まだ何冊かスキルブックが残っている。
グレンは蓋を閉めながら笑った。
「今回は十分だ。」
「あんまり一気に覚えても使いこなせない。」
「そうだね。」
アイリも微笑む。
「次は実際に使ってみよう。」
「ああ。」
「説明だけじゃ分からない。」
「実際に使ってこそ、本当の価値が分かる。」
二人は顔を見合わせて頷く。
また一歩。
夫婦は、安全にダンジョンを攻略するための力を手に入れたのだった。




