第21話 パラライズスネーク討伐
翌朝。
グレンとアイリは、いつものように冒険者ギルドを訪れた。
「おはようございます。」
受付では、ミーナが笑顔で迎えてくれる。
「今日はパラライズスネークの依頼ですね?」
「ああ。」
グレンは頷いた。
「昨日は偶然遭遇しただけだからな。」
「まずは相手を知る。」
「それが一番だ。」
ミーナは依頼書を差し出した。
「パラライズスネーク五体討伐です。」
「噛まれると麻痺しますので、十分お気を付けください。」
「ありがとう。」
「危なくなったら帰る。」
「はい。」
その言葉に、ミーナも安心したように微笑んだ。
◇
二人は六階層へ到着した。
「今日は蛇だけを探そう。」
「あまり奥へは行かない。」
「うん。」
通路をゆっくり歩いていると、岩陰から細長い影が姿を現した。
「いた。」
全長二メートルほどのパラライズスネーク。
こちらへ気付くと、身体を低くして近付いてくる。
「まずは私ね。」
アイリが杖を構えた。
「ウォーターボール。」
小さな水球が飛び、蛇の顔へ命中する。
パシャッ。
大きなダメージはない。
しかし、蛇は一瞬だけ動きを止めた。
「あ。」
アイリが目を丸くする。
「少し怯んだ。」
グレンも頷く。
「攻撃には向かない。」
「でも、隙は作れる。」
「十分使えるな。」
その間に蛇が飛び掛かってくる。
「パワースラッシュ!」
重い斬撃が蛇の胴体へ直撃した。
ドンッ!
蛇は大きく吹き飛び、そのまま地面を転がる。
「やっぱり強い。」
グレンは続けて踏み込む。
「連続斬り!」
二撃目で蛇は光となって消えた。
「今の、一撃で動けなくなったね。」
「ああ。」
「盾だけじゃない。」
「吹き飛ばす力そのものが強いみたいだ。」
グレンは小さく笑う。
「思った以上の当たりだ。」
◇
その後も二匹、三匹と討伐を続ける。
しかし四匹目。
狭い通路の曲がり角で待ち伏せされていた。
「っ!」
蛇が一気に飛び掛かる。
グレンは避けきれず、左腕を牙がかすめた。
「グレン!」
すぐに蛇を倒したものの、左腕がじんわりと痺れ始める。
「これ……。」
「麻痺だね!」
アイリは慌てず杖を構えた。
「キュア!」
柔らかな青白い光がグレンを包み込む。
痺れていた感覚が、ゆっくりと消えていく。
グレンは何度か手を握り開きした。
「動く。」
「治った。」
アイリはほっと胸を撫で下ろす。
「良かった……。」
「これがキュアか。」
グレンは感心したように笑う。
「覚えておいて正解だった。」
「あうん。」
「もし覚えてなかったら、一度街まで戻らないといけなかったかも。」
「ああ。」
グレンも頷く。
「これから先は、もっと状態異常が増えるだろう。」
「キュアは必須だな。」
◇
最後の一匹も危なげなく討伐し、依頼は無事達成した。
帰り道。
アイリは嬉しそうに笑う。
「今日だけで、新しいスキル全部使えたね。」
「ああ。」
グレンも笑みを浮かべる。
「ウォーターボール。」
「パワースラッシュ。」
「キュア。」
「どれも説明だけじゃ分からなかった。」
「うん。」
「やっぱり、一度覚えてみないと本当の価値は分からないね。」
「その通りだ。」
グレンはマジックバッグへ討伐証明をしまいながら頷く。
「さて。」
「家へ帰ったら、また合成の時間だ。」
その言葉に、アイリの顔がぱっと明るくなる。
「今日は何ができるかな?」
「それは神様しか知らないな。」
二人は笑いながら、夕暮れのフォルンへ帰っていくのだった。




