第20話 パラライズスネーク
その日の探索を終えた二人は、オークソルジャー十体分の討伐証明と、見慣れない蛇の牙を持ってフォルンへ戻った。
「お帰りなさい!」
ギルドへ入ると、ミーナが笑顔で迎えてくれる。
「オークソルジャー十体討伐、完了しました。」
グレンが討伐証明を差し出す。
ミーナは数を確認し、驚いたように目を丸くした。
「もう十体討伐を終えたんですか?」
「ああ。」
「思ったより戦えた。」
「でも。」
グレンは蛇の牙を机へ置いた。
「途中で、こんな魔物にも会った。」
ミーナは牙を手に取り、じっくり眺める。
「これは……。」
受付の後ろにある魔物図鑑を取り出し、ページをめくる。
「あった。」
指を止めたページを二人へ向けた。
「パラライズスネークです。」
「やっぱり蛇だったか。」
「はい。」
「六階層から生息している魔物です。」
「噛まれると麻痺毒を受けることがあります。」
アイリとグレンは顔を見合わせた。
「キュアが役立つ相手だね。」
「ああ。」
グレンも頷く。
「覚えておいて正解だった。」
ミーナはさらに図鑑を閉じながら言った。
「最近はパラライズスネークの目撃も増えているので……。」
依頼帳を取り出し、ページを開く。
「こちらの依頼もあります。」
グレンが目を向ける。
そこには、
『パラライズスネーク五体討伐』
と書かれていた。
「報酬はオークソルジャーより少し高いです。」
「危険だからか?」
「はい。」
「麻痺毒がありますので。」
グレンは依頼書を見つめながら小さく笑った。
「なるほど。」
「危険だから報酬も高いのか。」
「その通りです。」
ミーナも笑顔で頷く。
「ただ、グレンさんたちなら……。」
「キュアがありますからね。」
「もちろん油断はしません。」
アイリがそう答える。
グレンも続けた。
「今日は姿を見ただけだ。」
「次はちゃんと対策してから挑む。」
「それがいいと思います。」
ミーナは安心したように微笑んだ。
◇
ギルドを出た帰り道。
「次の依頼、決まったね。」
アイリが言う。
「ああ。」
「オークソルジャーだけ倒していても、六階層は攻略できない。」
「蛇にも慣れないとな。」
「でも。」
アイリが少し笑う。
「キュアを覚えたばかりで良かった。」
「ああ。」
グレンも頷く。
「もし噛まれていたら。」
「今日の探索は途中で終わっていたかもしれない。」
「安全第一。」
「そのために覚えたスキルだからな。」
二人は夕焼けに染まる街をゆっくり歩く。
新しい敵が現れれば、新しい課題が生まれる。
そして、その課題を一つずつ乗り越えていく。
それが今の二人には何よりも楽しかった。
明日からは、六階層の新たな依頼。
パラライズスネーク討伐が始まろうとしていた。




