第14話 欲しいのは盾を崩す一撃
六階層の依頼を終えた二人は、討伐証明を持ってフォルンへ戻った。
「お帰りなさい!」
ギルドへ入ると、ミーナが笑顔で迎えてくれる。
「オークソルジャー三体、討伐完了だ。」
グレンが討伐証明を差し出す。
ミーナは一つずつ確認し、驚いたように顔を上げた。
「初めての六階層依頼ですよね?」
「ああ。」
「なのに怪我もないなんて……。」
アイリが少し照れながら笑う。
「慎重に戦いましたから。」
「お二人らしいですね。」
報酬を受け取り、二人はギルドをあとにした。
◇
帰り道。
市場で夕食の買い物を済ませながら、グレンは今日の戦闘を思い返していた。
「どうしたの?」
アイリが尋ねる。
「いや。」
「ファイアボールは本当に助かった。」
「えへへ。」
「初めてだったから緊張したけど。」
「十分だった。」
グレンは笑う。
「でも、まだ足りない。」
「何が?」
「盾だ。」
アイリもすぐに思い当たった。
「ああ。」
「スマッシュウェーブも止められたもんね。」
「そうなんだ。」
グレンは肉屋の前で立ち止まる。
「ファイアボールで体勢は崩せる。」
「でも、盾そのものを突破できる技があれば、もっと安全になる。」
「確かに。」
「今日も盾を崩すのに時間が掛かったね。」
「その時間が危ない。」
グレンは静かに頷いた。
「俺たちは力押しじゃない。」
「安全に勝つ。」
「そのためには、盾を崩す技が欲しい。」
アイリは嬉しそうに笑った。
「次の目標が決まったね。」
「ああ。」
◇
夕食を終えた二人は、いつものように机を挟んで座る。
木箱を開き、残っているスキルブックを並べていく。
グレンは一冊ずつ手に取りながら考え込む。
「盾を崩すなら。」
「衝撃系かな?」
アイリが言う。
「俺もそう思う。」
グレンは頷いた。
「衝撃は吹き飛ばす力。」
「そこへ貫くような力を合わせれば……。」
木箱の中を見回す。
「何かできそう?」
「分からない。」
グレンは苦笑した。
「でも、考えるのは楽しいな。」
「最近、子どもみたいだよ?」
「そうか?」
「うん。」
「毎日、新しいおもちゃを見つけた子みたい。」
グレンは思わず笑った。
「四十歳にもなってな。」
「いいじゃない。」
アイリも笑う。
「楽しそうなグレンを見るの、好きだよ。」
その一言に、グレンは少し照れくさそうに頭をかいた。
「じゃあ。」
アイリが木箱を指差す。
「今日は何を合成する?」
グレンは残ったスキルブックを見つめながら、小さく息を吐く。
「焦らない。」
「今回も、俺たちに必要なものを作ろう。」
「うん。」
二人は机の上へスキルブックを並べ始める。
盾を崩す一撃。
それが、次に目指す力だった。




