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第14話 欲しいのは盾を崩す一撃

 六階層の依頼を終えた二人は、討伐証明を持ってフォルンへ戻った。


「お帰りなさい!」


 ギルドへ入ると、ミーナが笑顔で迎えてくれる。


「オークソルジャー三体、討伐完了だ。」


 グレンが討伐証明を差し出す。


 ミーナは一つずつ確認し、驚いたように顔を上げた。


「初めての六階層依頼ですよね?」


「ああ。」


「なのに怪我もないなんて……。」


 アイリが少し照れながら笑う。


「慎重に戦いましたから。」


「お二人らしいですね。」


 報酬を受け取り、二人はギルドをあとにした。



 帰り道。


 市場で夕食の買い物を済ませながら、グレンは今日の戦闘を思い返していた。


「どうしたの?」


 アイリが尋ねる。


「いや。」


「ファイアボールは本当に助かった。」


「えへへ。」


「初めてだったから緊張したけど。」


「十分だった。」


 グレンは笑う。


「でも、まだ足りない。」


「何が?」


「盾だ。」


 アイリもすぐに思い当たった。


「ああ。」


「スマッシュウェーブも止められたもんね。」


「そうなんだ。」


 グレンは肉屋の前で立ち止まる。


「ファイアボールで体勢は崩せる。」


「でも、盾そのものを突破できる技があれば、もっと安全になる。」


「確かに。」


「今日も盾を崩すのに時間が掛かったね。」


「その時間が危ない。」


 グレンは静かに頷いた。


「俺たちは力押しじゃない。」


「安全に勝つ。」


「そのためには、盾を崩す技が欲しい。」


 アイリは嬉しそうに笑った。


「次の目標が決まったね。」


「ああ。」



 夕食を終えた二人は、いつものように机を挟んで座る。


 木箱を開き、残っているスキルブックを並べていく。


 グレンは一冊ずつ手に取りながら考え込む。


「盾を崩すなら。」


「衝撃系かな?」


 アイリが言う。


「俺もそう思う。」


 グレンは頷いた。


「衝撃は吹き飛ばす力。」


「そこへ貫くような力を合わせれば……。」


 木箱の中を見回す。


「何かできそう?」


「分からない。」


 グレンは苦笑した。


「でも、考えるのは楽しいな。」


「最近、子どもみたいだよ?」


「そうか?」


「うん。」


「毎日、新しいおもちゃを見つけた子みたい。」


 グレンは思わず笑った。


「四十歳にもなってな。」


「いいじゃない。」


 アイリも笑う。


「楽しそうなグレンを見るの、好きだよ。」


 その一言に、グレンは少し照れくさそうに頭をかいた。


「じゃあ。」


 アイリが木箱を指差す。


「今日は何を合成する?」


 グレンは残ったスキルブックを見つめながら、小さく息を吐く。


「焦らない。」


「今回も、俺たちに必要なものを作ろう。」


「うん。」


 二人は机の上へスキルブックを並べ始める。


 盾を崩す一撃。


 それが、次に目指す力だった。

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