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第13話 六階層の依頼

 翌朝。


 朝食を終えた二人は、いつものようにフォルン冒険者ギルドへ向かった。


「おはようございます!」


 受付では、ミーナが笑顔で迎えてくれる。


「今日はオーク五体討伐ですか?」


 グレンは首を横に振った。


「いや。」


「今日は六階層の依頼を受けたい。」


「六階層ですか?」


 ミーナは少し驚いた表情を見せた。


「はい。」


「昨日、様子だけ見てきた。」


「無理はしません。」


 その言葉を聞いて、ミーナは安心したように微笑んだ。


「それでしたら……。」


 依頼書を一枚取り出す。


「オークソルジャー三体討伐があります。」


「報酬はオーク討伐より少し高めです。」


「受けよう。」


「かしこまりました。」


 ミーナは依頼書へ印を付けながら続ける。


「六階層は盾を持った魔物が多く、罠も増えます。」


「十分気を付けてください。」


「ああ。」


「危ないと思ったら引き返す。」


「はい!」


 二人は依頼書を受け取り、ダンジョンへ向かった。



 五階層までは順調だった。


 罠察知のおかげで六階層へ降りる足取りにも余裕がある。


「今日は昨日より落ち着いてるね。」


 アイリが小さく笑う。


「ああ。」


「どんな場所か分かっているだけでも違う。」


 慎重に通路を進む。


 すると。


 ガシャン。


 金属がぶつかる音が響いた。


「来たな。」


 グレンが剣を抜く。


 通路の奥から現れたのは、丸盾と剣を構えたオークソルジャーだった。


 三体。


「昨日と同じだね。」


「ああ。」


「でも今日は違う。」


 グレンは小さく笑った。


「アイリ。」


「任せて。」


 オークソルジャーが一斉に距離を詰めてくる。


「スマッシュウェーブ!」


 衝撃波が一直線に飛ぶ。


 一体は盾を構え、衝撃を受け止めた。


 その隙に左右の二体が迫る。


「今!」


 グレンの声が響く。


 アイリは右手を前へ突き出した。


「ファイアボール!」


 拳ほどの火球が一直線に飛ぶ。


 盾を構えていたオークソルジャーの肩へ命中した。


 ドンッ!


 火花が散り、思わず体勢を崩す。


「やった!」


「ナイス!」


 グレンはその隙を逃さない。


「連続斬り!」


 二連撃がオークソルジャーを切り裂き、一体目が光となって消えた。


「あと二体!」


 一体が大きく剣を振り下ろす。


 グレンは紙一重でかわし、反撃する。


 しかし、もう一体が盾を構えながら横へ回り込んできた。


「グレン!」


 アイリは落ち着いて詠唱する。


「身体強化!」


 淡い光がグレンを包む。


 続けて。


「ファイアボール!」


 二発目の火球が盾へ直撃した。


 衝撃でオークソルジャーの腕がわずかに跳ね上がる。


「今だ!」


 グレンは盾の隙間へ剣を滑り込ませた。


「ノックバック!」


 剣が命中すると同時に、オークソルジャーが大きく吹き飛ぶ。


「スマッシュウェーブ!」


 追い打ちの衝撃波が胸を貫き、二体目も光となって消えた。


 残るは一体。


 仲間を失ったオークソルジャーは大きく咆哮し、真正面から突進してくる。


「焦るな。」


 グレンは静かに構えた。


 盾がぶつかる寸前。


 半歩だけ身体をずらす。


 勢い余ったオークソルジャーの背中が無防備になる。


「ファイアボール!」


 背中へ火球が命中した。


 思わず前へつんのめる。


「終わりだ。」


 グレンの連続斬りが決まり、最後の一体も光へ変わった。


 静寂が戻る。


 アイリは胸へ手を当て、大きく息を吐く。


「勝てたね。」


「ああ。」


 グレンは笑顔で頷いた。


「ファイアボールがあるだけで全然違う。」


「本当?」


「盾で止まっていた流れを作り直せる。」


「すごく助かった。」


 アイリは照れくさそうに笑った。


「初めての攻撃魔法だったから緊張した。」


「十分すぎるくらいだった。」


 グレンは討伐証明を回収しながら周囲を見回す。


「六階層も、少しずつ攻略できそうだ。」


「うん。」


「でも油断はしない。」


「もちろん。」


 二人は顔を見合わせ、小さく笑った。


 強くなったからではない。


 昨日よりも、安全に戦えるようになった。


 その実感が、何より嬉しかった。

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