↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/103

第12話 新しい魔法

 六階層から戻った二人は、帰り道に五階層で依頼分のオークを討伐し、夕方にはフォルンへ戻ってきた。


 討伐報告を終えると、そのまま市場へ向かう。


「今日は何を買う?」


 グレンが尋ねると、アイリは嬉しそうに肉屋を指差した。


「もちろん、お肉!」


「やっぱりか。」


「今日は六階層まで行ったんだから、ご褒美。」


「そうだな。」


 二人は少し奮発して肉を買い、野菜も籠へ入れる。


 以前なら少し値段を見て悩んでいた。


 だが最近は、そこまで神経質にならなくてもよくなってきた。


「少しだけ生活が楽になったね。」


 アイリが微笑む。


「ああ。」


 グレンも頷く。


「でも、まだまだこれからだ。」


「うん。」


 二人は笑いながら家へ帰った。


◇


 夕食は香草で焼いた肉と野菜のスープ。


 久しぶりに少し贅沢な食卓だった。


「いただきます。」


「いただきます。」


 一口食べたグレンは自然と笑みを浮かべる。


「うまい。」


「本当?」


「ああ。」


「やっぱりアイリの料理は最高だ。」


「またそんなこと言って。」


 照れ笑いを浮かべるアイリ。


 それでも嬉しそうだった。


 食後のお茶を飲み終えると、グレンは木箱を机の上へ置く。


「さて。」


「研究の時間だね。」


 アイリも椅子へ座った。


 木箱には今日まで集めてきたスキルブックが残っている。


 グレンは一冊ずつ確認しながら並べていった。


「今日は攻撃魔法を狙いたい。」


「うん。」


「六階層で分かった。」


「アイリも攻撃できた方が安全だ。」


 アイリは少し照れたように笑う。


「役に立てるかな。」


「立つさ。」


 グレンは迷いなく答えた。


「アイリが一発撃てるだけで、俺はかなり楽になる。」


「そう言ってもらえると嬉しい。」


 グレンは二冊のスキルブックを手に取った。


 一冊は『火種』。


 火を起こすだけの生活系スキルだ。


 もう一冊は『魔力操作』。


 魔力を扱いやすくする基礎スキルである。


「この組み合わせなら……。」


「火の魔法になりそう?」


「そんな気がする。」


 もちろん確証はない。


 合成結果はランダムだ。


 だが、方向性は素材によって決まりやすい。


「やってみよう。」


 二冊を重ねる。


 淡い光が部屋を包み込み、二冊のスキルブックがゆっくりと溶け合っていく。


 やがて一冊の緑色のスキルブックが机の上へ落ちた。


「できた。」


 グレンは慎重に表紙を確認する。


 そして。


「……ファイアボール。」


「えっ!」


 アイリが立ち上がった。


「本当に?」


「ああ。」


 説明を開く。


『火球を放ち、対象を攻撃する。』


 短い説明だった。


 だが二人には十分だった。


「狙いどおりだ。」


 グレンは笑顔でスキルブックをアイリへ差し出す。


「アイリ。」


「うん。」


「これはアイリが覚えてくれ。」


「いいの?」


「もちろんだ。」


「今日の戦闘で分かった。」


「俺一人で戦うより、二人で攻撃できた方が安全だ。」


 アイリは嬉しそうにスキルブックを受け取った。


「ありがとう。」


 ゆっくりと本を開く。


 柔らかな光がアイリを包み込み、新たな知識が身体へ流れ込んでいく。


 数秒後。


 光は静かに消え、スキルブックも跡形なく姿を消した。


「どう?」


 グレンが尋ねる。


 アイリは目を閉じたまま、小さく頷く。


「うん。」


「撃てそう。」


 右手を軽く前へ向ける。


 魔力を集める感覚が自然と分かった。


 今は家の中だ。


 撃つわけにはいかない。


 それでも、魔法が使えるという確信だけはあった。


「明日試してみよう。」


 グレンが笑う。


「六階層で。」


「うん。」


 アイリも笑顔で頷いた。


 支援だけではなく、攻撃もできるようになった。


 それがどれだけ戦いを変えるのか。


 二人とも、明日の探索が楽しみで仕方なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。