↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/105

第11話 六階層へ

 翌朝。


 朝食を終えたグレンは、剣を腰へ差しながらアイリへ声を掛けた。


「今日は六階層へ行こうと思う。」


 アイリは少し驚いたように目を丸くした。


「ついに?」


「ああ。」


 グレンは頷く。


「でも攻略するつもりはない。」


「様子見?」


「そうだ。」


 剣の柄へ手を添えながら続ける。


「危ないと思ったらすぐ引き返す。」


「今日は六階層がどんな場所なのかを見るだけだ。」


 アイリは安心したように微笑んだ。


「それなら賛成。」


「焦る必要はないからな。」


 二人は装備を整え、フォルン冒険者ギルドへ向かった。


◇


「おはようございます!」


 受付では、いつものようにミーナが笑顔で迎えてくれる。


「今日はどちらの依頼にしますか?」


「オーク五体討伐を頼む。」


「はい!」


 依頼書を受け取りながら、ミーナが微笑む。


「最近のお二人なら、もっと上の依頼でも大丈夫そうですけど。」


 グレンは苦笑した。


「無理はしない主義なんだ。」


「お二人らしいですね。」


 依頼を受けた二人はダンジョンへ向かった。


◇


 五階層までは何事もなく進む。


「今日は帰りに五体倒そう。」


 グレンが言う。


「先に六階層を見るんだね。」


「ああ。体力があるうちに見ておきたい。」


 二人は階段を下り、初めて六階層へ足を踏み入れた。


 ひんやりとした空気が頬を撫でる。


 通路は五階層より広く、壁には無数の剣傷が刻まれていた。


「雰囲気が違うね。」


「ああ。」


 グレンは慎重に周囲を見回す。


「ここから先は気を引き締めよう。」


 二人が歩き始めて間もなく。


「止まって。」


 グレンが小さく手を上げた。


 アイリもすぐ足を止める。


「どうしたの?」


「この先……何かある。」


 床へ視線を落とす。


 一枚だけ、わずかに沈んでいる石畳。


 剣の鞘で軽く押す。


 カチッ。


 次の瞬間。


 壁から鋭い槍が勢いよく飛び出した。


 ガガガガッ!


「きゃっ!」


 アイリが息を呑む。


「危なかった……。」


 グレンも静かに息を吐いた。


「罠察知がなかったら踏んでたな。」


「本当に覚えてよかったね。」


「ああ。」


 二人は慎重に罠を避け、さらに奥へ進んだ。


 やがて重い足音が響く。


 現れたのは革鎧を着け、剣と丸盾を持った魔物だった。


「普通のオークじゃない。」


「オークファイターだな。」


 グレンは剣を抜いた。


「行く。」


 先制のスマッシュウェーブ。


 衝撃波が一直線に飛ぶ。


 しかし。


 オークファイターは素早く盾を構えた。


 ドンッ!


 身体は少し後ろへ下がったが、致命傷にはならない。


「防いだ!?」


 アイリが驚く。


「盾持ちは厄介だな。」


 グレンは距離を詰めた。


 剣と盾が激しくぶつかる。


 ギィンッ!


 重い。


 普通のオークとは比べものにならない。


 それでもノックバックで距離を取り、再びスマッシュウェーブを放つ。


 最後は連続斬りで仕留めた。


「五階層より手強いね。」


「ああ。でも勝てない相手じゃない。」


 二人は慎重に進み続ける。


 すると再び足音が響いた。


 今度は二体。


「二体か。」


「グレン!」


「大丈夫だ。」


 スマッシュウェーブ。


 一体は吹き飛ぶ。


 だがもう一体は盾で受け止め、その隙に距離を詰めてくる。


「くっ!」


 グレンはノックバックで押し返す。


 しかし、その間にもう一体が立て直してしまう。


「思ったより時間がかかる……。」


 アイリは支援魔法を掛けながら歯がゆそうに呟いた。


「私も攻撃できたら……。」


 その一言に、グレンはハッとした。


 戦闘を終え、二人はその場で息を整える。


「大丈夫?」


「ああ。」


 グレンは頷いた。


「でも、アイリの言うとおりだ。」


「え?」


「今の戦い。」


「アイリが一発でも攻撃魔法を撃てたら、もっと早く終わってた。」


 アイリは少し考え込む。


「私は支援しかできないからね。」


「十分助かってる。」


 グレンは笑う。


「でも、もう一つ手札があれば。」


「もっと安全に戦える。」


 アイリも頷いた。


「攻撃魔法か。」


「ああ。」


 グレンは静かに前を見据える。


「帰ったら合成してみよう。」


「うん。」


 二人はそれ以上奥へ進まず、来た道を引き返した。


 今日は六階層を知ること。


 そして、自分たちに足りないものを知ること。


 それだけで十分な収穫だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。