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アラフォー冒険者、今日も嫁のために頑張ります  作者: 榊紅丸
第二章 冒険者都市ルグリア編
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105/113

第105話 二十階層主

 結界魔道具の中で十分に休んだグレンたちは、二十階層の奥にある巨大な扉の前まで来ていた。


「体調は?」


「大丈夫。」


「魔力は?」


「ほとんど戻ってるよ。」


「ミケは?」


「ミャ!」


『げんき!』


「見れば分かるな。」


「アイリ。」


「うん。」


《身体強化》。


《クイック》。


《防御強化》。


 アイリが詠唱破棄を使い、次々と支援魔法を発動する。


 さらに。


《プロテクトオーラ》。


 三人を淡い光が包んだ。


「これでいい。」


「ありがとう。」


「ミャ。」


『ミケもつよい』


「ミケも防御上がってるよ。」


「ミャ!」


「ただし。」


 グレンがミケを見る。


「獣化は本当に必要になった時だけ。」


「ミャ。」


『わかった』


「《魔力圧縮》も加減しろよ。」


「ミャ。」


『ちょっと』


「そのちょっとが信用できないんだよな。」


「ふふっ。」


 グレンが巨大な扉へ手をかける。


「行くぞ。」


「うん。」


「ミャ!」


 重い音を立てながら、巨大な扉が開いていく。


 その先。


 広大な石造りの空間。


 中央に、一体の魔物が立っていた。


「……ゴーレム。」


「大きいね。」


 高さは四メートル近い。


 全身を黒い金属質の装甲が覆っている。


 頭部には二つの赤い光。


「鑑定。」


《アーマードゴーレム》


 二十階層の階層主。


 極めて高い物理防御力を持つ大型ゴーレム。


 全身を特殊な金属装甲で覆い、強力な打撃攻撃を行う。


 魔法耐性も高い。


「物理も魔法も硬いのか。」


「嫌な相手だね。」


「ああ。」


 グレンはヴァリアントを構える。


「試すにはちょうどいい。」


 アーマードゴーレムの目が光る。


 ズンッ!


 一歩。


 さらに。


 ズンッ!


 巨体が近づいてくる。


「遅い?」


「見た目よりは速い。」


 突然。


 地面を蹴った。


「来る!」


 アーマードゴーレムが一気に距離を詰める。


 巨大な拳が振り下ろされる。


 グレンが横へかわす。


 ドゴォォン!


 石床が大きく砕けた。


「これは受けたくないな。」


「絶対受けないで。」


「分かってる。」


 グレンが踏み込む。


「《剛破斬》!」


 ガギィィィン!


 ヴァリアントが胸部装甲へ食い込む。


「どう?」


「通る。」


 装甲には深い傷。


「さすがヴァリアント。」


「ああ。」


 アーマードゴーレムが腕を横薙ぎに振るう。


「っ!」


 グレンが後方へ跳ぶ。


 ブォン!


 巨大な腕が目の前を通り抜けた。


「アイリ!」


「うん!」


 グリムゾンティアの火属性魔石が輝く。


「《フレイムランス》!」


 炎槍が胸部へ直撃する。


 ドンッ!


 炎が弾けた。


「効いてる?」


「少しは。」


 装甲の表面が赤く熱を帯びる。


「なら。」


「《アイスランス》!」


 氷槍が同じ場所へ直撃。


 ガァン!


 ピシッ。


「グレン!」


「ああ!」


 胸部装甲に亀裂。


「それだ!」


 グレンがヴァリアントを構える。


「《瞬影斬》!」


 一瞬で間合いを詰め、その勢いのまま胸部を斬り抜ける。


 ザンッ!


 バキィッ!


「割れた!」


 装甲の一部が剥がれ落ちる。


「いいぞ。」


 アーマードゴーレムがグレンへ拳を振り下ろす。


「グレン!」


「分かってる!」


 グレンがバックラーを構え、拳の側面へ当てる。


 ガァン!


 軌道が逸れる。


「ぐっ!」


「大丈夫?」


「ああ。」


「怪我は?」


「ない!」


「なら。」


 アイリがグリムゾンティアを構える。


「《フレイムウォール》!」


 轟ッ!


 炎の壁が立ち上がる。


「今のうちに離れて!」


「ああ!」


 グレンが距離を取る。


「ゴォォ……。」


 アーマードゴーレムが炎の中へ踏み込む。


「通ってくる!」


「想定内。」


「ミケ。」


「ミャ!」


「足を止められるか?」


「ミャ!」


『やる!』


 ミケが前足を地面へ。


「ミャア!」


《アーススパイク》。


 ゴゴゴゴゴッ!


 岩棘がアーマードゴーレムの脚を囲む。


「ゴォォッ!」


 ゴーレムが脚を動かす。


 岩棘が軋む。


「長くは無理だな。」


「今のうち!」


 アイリがグリムゾンティアを向ける。


「《フレアバースト》!」


 ドォォォン!


 胸部で爆炎が弾ける。


「うわ。」


 グレンが思わず声を漏らす。


「強いな。」


「火属性魔石もあるからね。」


 爆炎が晴れる。


 胸部装甲の亀裂がさらに広がっていた。


「行ける。」


 グレンがヴァリアントを振るう。


「《飛翔斬》!」


 ザンッ!


 飛ぶ斬撃が亀裂へ直撃する。


 バキン!


 胸部装甲が大きく割れた。


 その奥。


 赤い光。


「……見えた。」


「何?」


「核だ。」


「そこ壊せば?」


「たぶん終わる。」


 アーマードゴーレムが大きく腕を振る。


 岩棘が砕け散る。


「ミャ!」


『でた!』


「十分だ!」


 赤い目が強く輝く。


「何か来る!」


 両腕を地面へ叩きつける。


 ドンッ!


 石床が大きく揺れた。


「っ!」


「きゃっ!」


「ミャ!」


 床が隆起する。


 グレンが体勢を崩した。


 アーマードゴーレムがアイリへ向く。


「アイリ!」


「大丈夫!」


 巨大な拳が迫る。


「《旋風防陣》!」


 グリムゾンティアが高速回転する。


 ガァァン!


「っ!」


 拳の軌道が逸れる。


 アイリが数歩押される。


「怪我は!?」


「ない!」


 さらに腕が戻ってくる。


「《魔力障壁》!」


 ドンッ!


 拳が障壁へぶつかる。


 亀裂が走る。


「もう一発は無理かも!」


「十分!」


 グレンがヴァリアントを構える。


「《瞬影斬》!」


 一瞬で間合いを詰め、その勢いのまま胸部を斬り抜ける。


 ザンッ!


「俺が相手だ。」


 すぐにヴァリアントを構え直す。


「《剛破斬》!」


 ズバァン!


 核の近くへ叩き込む。


「ゴォォォッ!」


 アーマードゴーレムが大きくよろめく。


「ミケ!」


「ミャ!」


「圧縮は少しだけ!」


「ミャ!」


『ちょっと!』


《魔力圧縮》。


 サンダーチェイン。


 バヂィィィィン!


 雷撃が露出した胸部へ直撃する。


「ゴォォッ!」


「効いてる!」


「ああ!」


 核の赤い光が乱れる。


「アイリ!」


「うん!」


「《フレイムランス》!」


 炎槍が露出した内部へ突き刺さる。


 ドンッ!


「最後!」


 グレンがヴァリアントを握る。


「《瞬影斬》!」


 一気に間合いを詰め、その勢いのまま胸部を斬り抜ける。


 ザンッ!


 残った装甲が弾け飛ぶ。


「《剛破斬》!」


 ズバンッ!


 ヴァリアントが核へ食い込む。


 赤い魔石に亀裂が走る。


「《連続斬り》!」


 ガキン!


 パキィン!


 核が砕けた。


 アーマードゴーレムの動きが止まる。


 赤い目から光が消えた。


 ズズズ……。


「離れろ!」


 三人が距離を取る。


 ドォォォン!


 巨体が床へ倒れた。


「……終わった?」


「ああ。」


「ミャ!」


『かった!』


「勝ったな。」


 グレンはアイリを見る。


「本当に怪我ないか?」


「ないよ。」


「ならいい。」


「グレンは?」


「俺も問題ない。」


「ミャ。」


『ミケも!』


「はいはい。」


「ミャー!」


「やっぱり。」


「何?」


 グレンが倒れたアーマードゴーレムを見る。


「ヴァリアントを作っておいて良かった。」


「うん。」


「こういう奴が出る前に替えて正解だった。」


「安全第一。」


「ふふっ。」


「何?」


「最近、私が言わなくてもミケが言うから。」


「ミャ!」


『あんぜん!』


「覚えたな。」


 しばらくして。


 アーマードゴーレムの身体が光へ変わって消える。


 残ったのは大きな魔石。


 そして。


「宝箱。」


「二十階層だもんね。」


「ミャ!」


『たから!』


「触るなよ。」


「ミャー。」


 グレンが罠察知を使う。


「問題なさそうだ。」


「開けよう。」


「ああ。」


 宝箱を開く。


「……お。」


「何?」


「スキルブック。」


 青。


 一冊。


 二冊。


 三冊。


「まだある。」


 四冊。


 五冊。


 六冊。


「六冊!?」


「二十階層だからか。」


 グレンは順番に鑑定する。


 一冊目。


《属性付与》


 二冊目。


《魔力剣》


 三冊目。


《雷属性強化》


 四冊目。


《闇属性強化》


 五冊目。


《空間干渉》


 六冊目。


《剣撃強化》


「……。」


「グレン?」


「なんか。」


「うん?」


「全部、剣に寄ってないか?」


「本当だ。」


「階層主を倒した人に合わせてるのかな。」


「分からない。」


「合成する?」


「帰ってから。」


「分かった。」


 六冊をストレージへ。


「インゴットもある。」


 淡い金色。


「オリハルコン?」


「ああ。」


「また手に入ったね。」


「これはありがたい。」


「魔石もある。」


「何属性?」


「鑑定。」


《上級無属性魔石》


「上級。」


「何に使う?」


「今は決めない。」


「取っておく?」


「ああ。」


 さらに金貨。


「結構入ってるな。」


「塔を攻略してるだけで、本当に生活困らないね。」


「ああ。」


「魔道具も売れるし。」


「そっちはエレナが勝手に高くするからな。」


「必要なことです。」


「エレナさんみたい。」


「言いそうだろ。」


「ふふっ。」


 すべて回収する。


 部屋の奥には転移装置。


「これで二十階層も登録だね。」


「ああ。」


 三人が近づく。


 二十階層。


 登録。


「二十一階層もすぐだね。」


 アイリが奥の階段を見る。


「どうする?」


「今日は帰る。」


「即答。」


「階層主倒した後にそのまま行く必要ないだろ。」


「安全第一。」


「ああ。」


「ミャ!」


『あんぜん!』


「はいはい。」


 三人は転移装置で塔の入口へ戻る。


「ギルド寄る?」


「今日はいい。」


「明日?」


「ああ。二十階層を攻略した報告もしないとな。」


「エレナさん喜ぶかな。」


「ミケに会える方を喜びそうだけどな。」


「ミャ!」


『エレナ!』


「ほら。」


「ふふっ。」


「帰ったらやること増えたな。」


「合成?」


「ああ。」


「楽しみ?」


「かなり。」


「ふふっ。」


「ミャ!」


『ごはん!』


「お前はそれだな。」


 三人は家へ帰る。


 二十階層。


 攻略完了。

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