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江戸のような異世界で  作者: osagi
くノ一の里
91/92

<他流派>

 俺たちが暮らすこの村は表向き狩りを行なうウサギの獣人の村であり、くノ一の忍びの里としては世間に知られていない。ここがくノ一の村だと知っているのは御庭番にくノ一を派遣してる村だけであり、それらが唯一忍びとして交流できる存在でもある。


 「お久しぶりにゃ。いつの間にか小さいツッキーがたくさんできて何よりなのにゃ」


 村に遠路はるばる訪ねてきたのは京都御庭番の虎玉である。


 「久しぶりね」

 「どうして虎玉が訪ねてきたんだ?」

 「より広い戦い方や私たちにはない戦い方を子供たちに学ばせるためよ」


 なんでも訓練の相手として御庭番にくノ一を派遣している他の村からこうやって人員を派遣してもらって忍びの技を途絶えさせることなく受け継いでいくのだという。


 「平和な時代が続くのはいいことだけれど、それでは私たちの技術は失われていくだけよ。そこで他の流派とこうした交流を通していくことでくノ一としての技術を維持して発展させていくの」


 白月としては忍月に経験を積ませたいということで虎玉を呼んだのだという。確かに気がつけば忍月もあと少しで成人というところまで大きくなった。俺は白月から忍月の成長を聞くしかない立場であるが俺は白月を信頼してすべてを任せるだけである。


 「でもわざわざ遠いところから呼んだな」

 「ちょうどツッキーの子供もみたかったしちょうどよかったのにゃ」

 「ほらさっさと用意しなさい」


 俺との話もそこそこに白月は虎玉に用意をさせる。そして旅装束から忍び装束に虎玉は着替えるとやる気満々である。


 「それじゃ、さっそくサクッとやってくるのにゃ。ツッキーには散々やられっぱなしだったけど、忍月ちゃんはにゃあがコテンパンにしてあんなことも、こんなことも、なんでもいうことを聞かせてやるのにゃ」


 こうして虎玉は忍月と虎玉は一戦を交えることになる。俺と白月はだいぶ二人から離れて俺は忍月をただ遠くから見守る。


 「そろそろ始まるわよ」


 白月が言うには刀よりもさらに懐に入り込んだ虎玉の戦い方は剣術だけでなく体術も要求される戦いなのだという。


 そして・・・俺は虎玉と戦う忍月の様子をただ静かに見守るが・・・。


 忍月と虎玉の勝負は忍月の圧勝で終わった。虎手甲こと虎手甲を模した木製の装備を両手に装備した虎玉は忍月を攻め、その反撃として振り下ろしてきた木刀を虎手甲の刃と刃の間に入れさせて捻ることによって忍月の木刀を完全に封じた。


 そしてもう片方で忍月を突いた時には忍月が負けたと思ったが、忍月は木刀を手放して虎玉の攻撃を避けると虎玉の両手首を掴んだのだ。だがそれだけでは虎玉の両手を塞いだだけ、すると忍月は跳ねてその足を虎玉の頭に巻き付ける。


 その後、頭に一人分の体重がかかった虎玉は地面にうつ伏せに倒れ、忍月は仰向けとなり足で虎玉の頭を絞めつける。


 「ふにゃーにゃにゃにゃにゃにゃ。降参にゃー!」

 「容赦ないな」

 「ああやって攻めるとは思ってもみなかったけど、頭への攻撃は致命的でなくても思考力を奪うには十分よ」


 すべては白月に任せるしかない身であり、父親として関わってやれることはない。だが、娘が逞しく育ってくれていてそしてその姿を見れるというのは何ともうれしいものである。





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