本当の別れ
ドカン、と言葉にしてしまえば軽いが、そんな空気を震わせる音が響いた。
思わず俺は後ろを見た。
リクヤと別れてから幾つ角を曲がったかどうかわからないが、煙が上がったのは結構離れた場所だった。
「おいイアン!」
リタの野太い声が聞こえる。わかってる。退却だ。
「わかってる!」
またも走り出す。
「…ごめん、隊長」
小さな言葉はリクヤに届くのだろうか。
時は少しばかり遡る。
「…クソが!」
誰かの声が響いた。
俺の視界に突然割って入ったのは、2人の男。
そうか。お前らも死んでくれるか。
もう時間がない。
「…俺はお前が嫌いじゃなかったんだ」
イツカに届いたかどうかわからない。
どうか、届いていてくれ。
俺はお前を--
「--愛していたんだ」
轟音、閃光、爆風。
肉は骨共々砕け散り、四散する。
イツカを庇った男2人も、同様になった。
イツカは、自分を捨てたリクヤに対する復讐のはずで殺すつもりだった。
しかし、今どうか。
「…泣いてるのね」
久し振りに泣いた。前に泣いたのはいつだったっけ。
リクヤと結婚した時?ああ、あの時も泣いたなぁ。
リクヤと別れた時?ああ、あの時以来かな?
「…アタシもアンタを愛してるんだよ」
もう、面影もない肉の塊に一言かけると、イツカは踵を返して砂埃の中に消えていった。
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