散る
「-アンタだけでなんとかなると思ってんの?」
「いや、思ってはねぇ。ただ、あいつらを信じたのさ」
50人のそれぞれの銃口が、リクヤを捉える。
死の恐怖が冷気の衣を纏って足下から這い上がって来る。
生唾を飲み込む。
溢れる冷や汗。
忙しなく吸い込む息。
激しくビートを刻む心臓。
「カッコイイとこ見せたつもり?」
カッコつけた。そんなのではない気がする。
「だからいっただろ、あいつらを信じたのさ」
イツカの細い目が軽蔑の光を帯びる。
「…アタシを信じなかったくせに?」
「それとこれは違う話だろう」
イツカの目は軽蔑の色を含んだまま、獲物を逃すまいと鈍く光る。
「アタシと別れたときはあんなにあっさりしてたのに」
「昔の話はもういいだろ。ここで俺を殺して気分を晴らせばいいだろ」
もうウンザリだ。
「なんでアタシと別れたの?他に女でもいたの?それともアタシ自身がいけなかったの!?」
「あー、うるせえ!別れるときに言ったはずだ。俺とお前じゃ合わなかったんだよ。身体的にも精神的にも」
「決ーめた!アンタは簡単には殺さない。なぶり殺しにするわ」
イツカの気配で勘付いたのか、50人はそれぞれの指をトリガーにかける。
「最後通牒よ。もう一度やり直さない?」
もう死ぬしかない。
恐怖はあるが、不安はない。きっとあいつらなら、生き延びられる。
「済まんな。もうお前には興味ない」
それまで余裕の笑みだった表情が一変し、怒りを露わにする。
イツカの右手が上がる。
同時に俺は走り出した。後生大事に抱えた手榴弾で、なぶり殺しから逃げてやる。
さあ、行け。
俺の立派な部下たちよ。
お前たちは俺の宝だ。
俺はこのルーナという国のために死ぬ。
お前たちが、この国を救ってくれ。
俺の死を無駄にはしないでくれ。
50を超える銃口からその数十倍の数の弾丸が撃ちだされる。
避ける必要はない。
目的地はすぐそこ。
「頼んだぞ、お前ら!」
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