第十話
修練場には屋内修練場と屋外修練場の二つがある。屋内は主に魔力の具現化で創造した武器の訓練が出来る場所。屋外は魔法を使った模擬戦などを行うための場所。
どちらも相当な広さがあるので、ある程度の人数なら入ることが出来る。
俺達は今屋外修練場に来ているが、初日のため俺達以外に人の姿は見えない。
今ここにいるのは、俺,第二学園の生徒,第七学園の生徒だけでありかなりのスペースが余っている。
対抗戦のフィールドはここよりも広いらしいが、正直必要ない気がしてくる。
「おい!」
突然話しかけられる。
「…なんだ?」
模擬戦のルールのことだろうか、それとも別のことか。
「勝負方法の話だが、魔力の具現化で創造した武器を利用するというルールだ。それ以外の魔法は身体強化以外は禁止する。それで文句はないな?」
想像以上に正々堂々とした勝負方法だな。
てっきりもっと自分達に有利なルールでくるかと思ってたが…
「ああ、文句ないよ」
魔具での勝負なら【空】属性を使う必要もなさそうだ。
第二学園の人達を見てみると水晶は俺のことを見ていて、他の人はそんな水晶を珍しそうな目で見ている。
「…それじゃ、始めようか」
第七学園の生徒が言ってくる。あいつが俺の相手らしい。
男は魔力を解放する。魔力が具現化されて出てくる武器は…斧か。大柄なだけあってやっぱり重量系の武器みたいだ。
俺も魔力を開放する。俺の魔具は片手剣よりは大きいが、大剣ほども大きくないという微妙な大きさの剣だ。片刃で、バカでかいナイフのようなイメージして創造した。
「勝敗はどうやって決めるんだ?」
相手が死ぬまでやるはずはないので聞いておく。
「相手を気絶させる、もしくはどちらかが降参するまででいいだろう。」
それならいいだろう。こちらにとっても申し分ない。
「和真、開始の合図をだしてくれ。」
相手の男が同じ学園の生徒に言う。
「わかった。それじゃ…‥始め!」
その瞬間、相手の男は斧を振り下ろす。そこから生まれる衝撃波がこちらに迫る。
威力は高そうだがスピードは大したことがないので簡単によけることができる。そのまま相手に攻撃を仕掛けようと思ったが、相手の切り返しが予想以上に早く、攻めきれない。
初撃の衝撃波は俺が避けることを判っていたんだろう、その証拠に俺が向かっていった時には既に斧を構えなおしていた。
当然ながら魔具の強度は使用者の魔力に比例する。したがって、ここでもやはり学園の数字による差を思い知らされることになってしまう。
だが俺の魔力はおそらく目の前の男より遥かに高い。ならばやることは一つだ。
開いていた距離をつめるために、身体強化による加速力で一気に相手に向かう。その行動に対する相手の判断は早く、迎え撃つために斧を振り上げて構える。
斧のような大型の武器だと、攻撃方法が限られるため相手の行動を簡単に読むことができる。
衝突するまで十数メートルという地点で俺はさらに魔力を開放する。加速されていた状態にさらに加速を重ね、持っていた剣を背中に構える。
さすがにさらに加速することは想像していなかったようで、相手に動揺がみられたがそれも一瞬のことだった。
相手が振り下ろすのと同時に俺も剣を振り下ろし、自分の加速力も剣に込める。
お互いの魔具によるぶつかり合いの決着はあっけなく着いた。ぶつかってから数瞬だけは均衡していたが、相手の斧に亀裂が生じればそれからはガラスのように砕け散ってゆく。
相手の男もさすがになにが起こったか判らなかったらしく、隙が生まれる。
その隙を見逃さず一気に決めるため、回し蹴りを叩き込む。
「グっ!」
蹴り飛ばされた男はそのまま後方へかなりの勢いで飛んでいく。その男を追いかけながら尋ねる。
「…降参するか?」
降参の意思がある者をいたぶる趣味はないので一応聞いてみたが、相手の返答は予想通りのものだった。
「っ…断る!」
「そうか…残念だ」
努めて低い声で相手の返答に応え、そのまま追い越す。
男の進行方向の先の位置に着き足を振り上げ、タイミングを合わせて全力で振り下ろす。男も防御しようと魔力を込めた腕を前で交差させていたがそれをたやすく打ち破り、相手にかなりのダメージを与える。それだけでは済まず、男は地面に激突し、その意識を手放した。




