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魔法学園の救世主  作者: 暇な蟻さん
対抗戦編
11/15

第九話

 ───出発日



 俺は一人で第一学園に向かっていた。

 先生いわく、


 「“十三学園は現地集合なの”」


 だそうだ。いくらなんでもひどい気がするが、文句を言っても仕方ない。

 参加者は開催される一週間前に着いてエントリーしなければならない。その間はまだ学校があるので、蒼空達が来るのはまだ一週間以上先になる。

 開催場所となる第一学園の広さは他の学園よりも一回り大きく、参加者を宿泊させる場所があるため、生活に関する心配はない。

 けれど、俺は一人のため少しだけ寂しくもある。

 と、そんなことを考えている内に目的地の駅に着いた。ここからは徒歩で向かうことになる。


 


 「…あれか」


 20分ほど歩き、ようやく建物が見えてくる。ここからでもわかるほど建物は巨大で、戦闘場所となる闘技場も確認できる。

 他の学園の生徒もいて、その中で目立つ集団が二つあった。

 一つ目の集団は第二学園、教師も生徒も全て女であり、魔法の美しさは全学園でトップレベルだ。

 もう一つは第六学園、こちらは第二学園とは逆に、教師も生徒も全て男であり、防御魔法を一切使わないことで有名だ。

 俺は今回魔法を隠すつもりはない。隠して戦ったりすれば、すぐに負けるだろうからな。

 ようやく目的地に着き、学園に入っていく。

 

 「…広い」


 それが感想だった、広いだけじゃない、装飾は美しく、全てのものが新品かと思うくらい綺麗だ。

 他の学園の生徒もこの内装には驚いている。


 「ようこそいらっっしゃいました。みなさん魔法学園対抗戦の参加者ですね?」


 60代前半ぐらいの老人が話しかけてくる。俺達は肯定する。


 「ではこちらへどうぞ、あなた達が最後ですから。」


 そうしてホールのような場所に案内された。やはりここも広い。

 そこでは学園ごとに配置が決まっており、参加者はそれぞれ自分達の学園の場所に移動していた。

 俺も指定された場所に向かうが、俺が十三学園の生徒とわかった生徒が俺を蔑んだ目で見ている。相手にするつもりはないが、いい気分ではない。

 ここで俺達を案内してくれた老人が、話し出す。


 「ここにいる皆さんはもうエントリーされたことになります。そのため、対抗戦についての説明を始めさせていただきます。まずは………」


 老人の説明を要約すると、魔法で行う攻撃ならばフィールドを利用するのはありらしい。フィールドは毎試合変更され、それぞれの属性に有利な場所となっている。また、オーバーキルと認識された場合は即失格となる。(グループ戦に関しては出場していないので聞いていなかった)

 


 

 その後、各学園の生徒が宿泊する場所を教えられ、今は部屋で適当に過ごしている。

 食事は自由な時間に行っていいらしく、もう行っている学園の生徒もいる。

 俺はまだ行く気にはなれなかったため、この施設を軽く探検してみることにした。

 第一学園以外の生徒はここで宿泊するので、もしかしたら他の学園の生徒に会えるかもしれない。

 



 「………」


 「……えと」


 突然だけど、俺は今困ってる。

 目の前にいる女の子との沈黙がつらい。かといってこちらをずっと見ているから逃げ出すのも気が引ける。

 こうなったのも全部あのチャラ男達のせいだ。



 ──5分前


 「それにしても広いな…」


 施設を探検し始めて約10分、俺はほとんど迷子だった。

 そろそろ部屋に戻りたいが、戻ろうとする度に新しい場所に出てしまう。

 そんな時、調子のいい男の声が聞こえてきた。


 「…いいじゃん、一緒にご飯たべようよ~。ここで会えたのも何かの縁なんだからさ、交友を深めるのって大事だと思うし。」


 覗いてみると、予想した通りのチャラそうな男だった。

 話しかけられている女の子は眠たそうな目で相手にする気すら無さそうだ。女の子はそのまま立ち去ろうとするが、チャラい男の友人のような奴らが来て女の子を囲んでしまう。

 流石に見過ごせないと思っていたら、女の子の左手に光が集まっていくのが見える。男達は全く気づいていない。

 まずいと思った俺はすかさず魔法を発動する。



 -【空】魔法-

 Magicマジック Destructionデストラクション



 収束していた光は消え去り、女の子はわずかに驚いた表情を見せる。

 そのまま俺は集団の前に現れる。男達が威嚇するような目でこちらを見るが、一人の男が何かに気づいたらしく、急に笑い出す。


 「こいつ、十三学園の生徒だぜ。一人で座ってたのを見た。」


 その言葉を聞き、他の男達も笑い出す。


 「おい、何カッコつけてんだよ。見逃してやるから消えろ。」


 最初にナンパしていた男が邪魔だというふうに言ってくる。


 「消えるのはあんた達だろ?女の子一人にみっともない。」


 心から馬鹿にしたように言う。

 その言葉に男達は怒りだし、全員で向かってくる。なんだか近藤を思い出すな。

 俺は物体操作の魔法を使い、近くの階段から落とす。階段にはじゅうたんのような物がひかれているので、死ぬことはないだろう。

 何が起こったのかわからなかったのか、そのままどこかへ行ってしまった。

 俺もそのまま行こうとしたが、女の子が目の前まで移動していた。


 「………」


 「……えと」


 そして現在に至る。


 「とりあえず、大丈夫だったか?」


 なにもされていなかったが、一応聞いておく。

 コクリ…、女の子は小さくうなずく。


 「そっか、よかった。それじゃ俺はこれで」


 と言って、その場を離れようとしたが、女の子に袖をつかまれる。


 「……名前」


 「え…?」


 小さな声だったのでもう一度聞き返す。


 「…名前…なんていうの?」


 今度は聞き取れた。べつに名乗らない理由はないから、俺は答える。


 「皇 零華だ。君は?」


 自分の名前を言ったので、相手の名前も聞いておく。


 「…朽木…朽木 水晶(くちき みずき)」


 朽木…か、ということはおそらく


 「第二学園の代表の人か?」


 コクリ…、小さくうなずく。

 朽木といえば、鳳凰院や伊集院ほどではないが名の知れた名家だ。女の子が生まれたら第二学園、男の子が生まれたら第六学園に入学する。


 「…零華」


 いきなり名前で呼ばれる。


 「とりあえず名前を呼ぶ時は零って呼んでもらいたいんだけど…」


 いつも言っていることを彼女にも言う。が、


 「……零華」


 「いや…だから…」


 「零華」


 「……もういい」


 呼び方を変えてくれそうにないので、諦める。


 「…さっき、私の魔法を止めたのは…あなた?」


 気づいたのか…、まあタイミング的にも俺以外にいないかもしれないが。どうせ対抗戦で隠すつもりはないし、別にいいか…


 「ああ、俺の魔法だな。」


 肯定すると、再び沈黙が生まれる。


 「…え~と、朽木さん…でいいかな?」


 思わず言葉遣いが変わってしまう。

 

 「…名前で…いい」


 断る理由もないため、名前で呼びなおす。


 「わかった、じゃあ水晶で。」


 小さくうなずいてくれる。


 「…あなたの属性は何?…特殊属性?」


 水晶はやっぱりさっき驚いたみたいだな。言うまで帰らさないって感じだ。(帰れないけど…)

 

 「半分正解かな」

 

 正確には特殊属性よりもさらに稀少だ。

 水晶は納得がいったようないっていないような表情をしていたが、これ以上聞いてくるつもりはないらしい。

 その時、上の階から降りてくる人達の声が聞こえてくる。


 「水晶ー、どこにいるのー」


 どうやら第二学園の人達みたいだな。ここで会うのは少し気まずいが、もう隠れれそうにもないな。

 そんなことを考えているうちに、その人達が現れる。人数は四人だった。


 「みず…あっ、いたー!」


 先頭の人がここにいる水晶を見つけ駆け寄ってこようとするが、俺を見た途端に警戒態勢にはいる。


 「…あなたは誰?水晶に何をしようとしていたの?」


 大きな誤解があるみたいだな。どうしようか…

 誤解を解く方法を考えていると、


 「湊…この人は私を助けてくれた」


 と、水晶が言ってくれる。

 この言葉を聞いて、俺を警戒していた人はさっきまでの雰囲気が嘘のように、


 「えっ、そうなの?じゃあいい人なんだ。…人は見かけによらないわね」


 失礼なことを普通に言いやがった。


 「…誤解が解けてよかったよ。じゃあ俺はこれで…」 

 

 この場に残っていると面倒くさくなりそうだから一刻も早く立ち去りたかったが、もう遅かった。


 「あれ?こんなところに第二学園のみなさんじゃございませんか~」


 近藤以上にムカつきそうな奴らの集団がこっちに向かって歩いてくる。あれも参加者か?

 第二学園の人達は誰かわからないようだ。


 「俺達さー、第七学園の生徒なんだけどさ。一緒にご飯食べない?5対5でちょうどいいしさ。」

 

 俺の存在は当然のように無視してるな。女子に数えられても嬉しくないからいいけど。

 それにしても、対抗戦に参加する男子はこんな奴らばっかりなのか、第七学園のレベルでさえこんなのとは。

 どうしようか、俺が助ける必要なんて全くないだろうけど、彼女達も問題を起こしたくはないだろう。仕方ないな、俺はいつからこんなにお人好しになったんだ。


 「だったら俺と一緒に食べようぜ。ちょうど行き方を教えてもらいたかったんだ」


 我ながらナイスアイデアと思い、提案してみると


 「だったら誰かに聞けよ。俺達は今忙しいんだよ。」


 と、訳のわからないことを言ってくる。どうせ食堂に行くんだから何が忙しいのか…。

 だが誰かに聞けと言われたため、俺は水晶に聞いてみる。


 「水晶、食堂の行き方教えてくれないか?」


 そう言うと、男達だけでなく第二学園の人達も驚いていたが、水晶は気にした様子もなく


 「…わかった。…こっち」


 そう言って歩き出す。俺と第二学園の人達はそのまま付いていこうとするが、それを許してはくれなかった。


 「おい!待てよ、そこの男」


 かなりお怒りの様子で言ってくる。


 「何だよ、あんたが誰かに聞けって言ったんだろ?」


 俺はその言葉に従って水晶に聞いただけだ。


 「ふざけやがって…」


 相手の男は怒りだし、突然言ってくる。


 「今から修練場に来い!勝負だ」


 …到着した日からこれとは、大丈夫か?…俺


  

ようやく完成です

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