悪役…令嬢?
細マッチョ令嬢は放課後速攻で飛んできて、中庭に連れていかれた。そして今群衆の見守る中、『私が落ちた』噴水の前にいるのである。
「まずお話をお聞かせ願えますか、貴女は何者で何故私に勝負を挑むのか」
「黙れ悪役令嬢!お前がいなければ一番目立つのは俺…私だったのに!」
「悪役…令嬢?」
周りに集まった生徒たちがざわつく。悪役令嬢ってあれか、今流行りの異世界転生モノ。
「私を悪役と言い切る根拠は何ですの?」
「とぼけんな、てめえがリリアを虐め抜いてたのは皆見てるんだ!俺より先に目立ちやがって!見た目だって悪役そのものじゃねえか」
ツッコミ所が多すぎて混乱するが、まず確かめたいことがある。ーーーこの人、日本人の可能性ないか?
「エヴァンと申しましたわね、勝負の前に私、貴方と二人きりで話したいことが」
「俺にはねぇよ!勝負しろ勝負」
「ではこうしましょう。勝ち負けを判定する人が必要ですわ、詰所のローワン先生にお願いしに参りましょう」
こいつ人の話聞かねえ。ごめんね巻き込んでローワン先生。
からんころん、とベルが鳴り、詰所のドアが開く。少し驚いたローワン先生が私とエヴァン嬢を交互に見る。
「ババリアーナ嬢、今度は何の用だ」
「お仕事中すみません、少しこのご令嬢と話がしたくて、場所を貸していただけませんか」
「俺はこれから警備が」
「どうせヒマだろ!?俺とこいつの勝負を見届けろ!」
ローワン先生が目を丸くする。私は片手で頭を押さえた。
「…中々気骨のあるご令嬢だ」
「ただの無礼ですわ、先生に向かってなんて口の利き方を」
ローワン先生がまた笑っている。こういう時に怒らないのがとても良い。何というか、良い。
「貴方、私を悪役令嬢と呼びましたわね?貴方は別の世界から来たんじゃありませんの?」
「ば、バカ!」
エヴァン令嬢が咄嗟に私の口を塞ぐ。その手はでかい、絶対男だろって確信した。
ローワン先生がぽかんとする中、私はエヴァン令嬢に引きずられて詰所を出た。




