何とかしないと死ぬぞ
ぐいぐい腕を引かれて人気のない建物、図書館らしき建物の裏まで来た。
「エヴァン嬢!腕が痛いですわ!」
「お前、転生してきたのか?」
「は?」
ぱっと腕を離され、エヴァン嬢の方を見ると、腕を組み、苛々そわそわと足で地面を叩いていた。もう立ち振る舞いがリーマンなんよ。
「転生…貴方やっぱり日本人なのね?」
「ああくそ!そうだよ、俺だけじゃなかったのかよ!」
もう男性であることを隠す気もないらしい。しかしこれは天の助けだ、絶対この人と手を組まなくちゃ。
「教えてください!私たち、なんでこの世界にいるの?元の私たちは、日本はどうなったの?」
「もう戻れねえよ、俺たちは死んだんだ。転生の意味分かってるか?生まれ変わってんだよ」
頭をがんと殴られたような衝撃が来た。ーーー死んだ。そんな馬鹿な。
いや、きっと頭の中のどこかで分かっていたんだ、ここに私がいる意味。
「で、でも…何で死んだのかな」
「それこそ知らねえよ、覚えてないのかよ」
「それに、変じゃない?転生するなら最初から私はババリアーナじゃなきゃ!これじゃ入れ替わったみたい…」
「それは…そうだな、俺もなんで『途中から』エヴァンなんだ?」
暫く二人で黙り込む。でも考えても何も分からない。
「とにかく、お前は悪役令嬢だ。このままだと断罪されるぞ」
「は?え、断罪?」
「俺このゲームやってたから知ってんだよ。ババリアーナはこの先星灯祭であらぬ疑いをかけられて断罪される。良くて国外追放、最悪は死だ」
「……は、はい?」
「正ヒロインのリリアの邪魔役だからなお前は。今から全力で謝るとか何とかしないと死ぬぞ」
待て待て待て。
情報量が多い、多い。私は死んで生まれ変わったのに、また死ぬんかい。
「…私、何もしてないのに?」
「バカ言え、ババリアーナは相当キツくリリアに当たってたぞ。揚げ足取りに近いようなことまで細かく注意して、大勢の前で吊し上げて。キングオブ嫌われ者だお前は」
「いやだから、私、馬場は何もしてない!!」
「それをどうやって証明する?私はババリアーナじゃないってか?誰が信じるんだ?」
エヴァン嬢に凄まれる。言葉が何も出てこない。誰もが私をババリアーナと信じて疑わないのをこの目で見てきているからだ。




