番外編 ローワンの危機 後編
「勝手に前に出るな馬場!!!」
「ローワン先生ふらふらです!!下がってください!!!」
その時すたすたとレオンハルトさんが前に出て、ガラスの瓶をさっと拾い、ドラゴンめがけてぶん投げた。
ガラスの瓶はドラゴンに当たって割れ、中の緑色の液体が飛び散った。
すると巨大なドラゴンはみるみる縮み、手のひらサイズになったではないか。
アガーテ先生の魔法、すげえ。
「何これ可愛い!!手のひらに乗るドラゴン!!!カエルみたい」
「すわ!!」
「シャーーッ」
「ぐーちゃんちょっかい出さない!みーちゃん威嚇しない!!!」
ローワン先生はその場でうずくまってしまった。体調不良?お腹でも壊したのかしら。
「せんせー、大丈夫ですの
「頼むから近付かないでくれ」
「何故!?私はただ先生が心配で」
「その手の上のものを俺に近づけないでくれ」
「???ちいこいドラゴンですよ??」
「いいから」
レオンハルトさん始め、騎士のみなさんが顔を見合わせる。
「先生、もしかしてドラゴン苦手なんすか」
「名前だけで身の毛がよだつ」
「何で隠してたんですか……?」
「ドラゴン苦手な騎士なんて騎士の風上にもおけないだろう」
あ、皆さん笑いだしてしまった。
「……アガーテ先生しか知らなかったのに……お前のせいだ馬場」
「斜め上すぎるとばっちりです!」
「責任持ってそいつを元の場所へ返してこい」
「大冒険の始まりすぎます!!!」
学園へ戻り、アガーテ先生に事情を話すと、先生はため息をついた。
「ローワン先生、あの子昔から『うろこのある陸の生き物』が駄目なのよね。『うろこは魚だけで十分だ』って」
「あの子」
「ああ、私はあの子が子供の時から先生だからねぇ。人一倍大きな体でよく泣いて逃げ回ってたっけ」
………ローワン先生の意外すぎる一面に、ちょっと笑ってしまった。
「それで、ドラゴンなんだけどね。群れからはぐれて、怯えていただけみたいよ」
「そんなことまで分かるんですか、せんせ」
「ブルードラゴンね、こんな所に本来いるはずのない生態だもの。群れに帰してあげましょう」
「まさか、本当に私が送り届けに……大冒険の始まりですか?」
「いいえ、でも折角の珍しい生き物だから、しばらく学園で保護して、教材になってもらいましょう」
……ローワン先生かわいそ、と思ったが黙っておいた。




