急に呼び出してごめんなさいね
結論から言おう、私たちは無事に元の世界に戻ることができた。ババリアーナが力を貸してくれなきゃ、とても無理だった。
何故私たちの魂が召喚されたのか。
一つは、元の存在が計画の邪魔と思われたためらしい。ババリアーナは闇魔法使い、エヴァンはいつもババリアーナの側にいる。ローワン先生は薄々異変に気づいていたから、だとのこと。
もう一つ、魂はどうしても似たもの同士が惹かれあってしまうらしい。
理不尽なことに巻き込まれたのは不幸だけれど、楽しかったこともあるので良しとしよう。
私たちの肉体は生きていた。意識だけ戻らないまま、一月が経っていた。一番の被害者は、過労による労災を二人も出したと風評が広まった弊社かもしれない。
私と成島さんは社内で会っても、あの時の話はしなかった。塩田にいたってはどこにいるかも知らないままだ、連絡の取りようもなかった。
ーーーそして今、私と塩田、成島さんが魔法陣の描かれた、石造りの床の上にいる。
「…ババリアーナ様、いえ、ババ様!」
「急に呼び出してごめんなさいね、どうしてもご報告したいことがございますの」
「ははは仕事中なんだけど…まあ、いっか」
懐かしい召喚棟だ。リリアにババリアーナ、エヴァンにペネロペ嬢。ローワン先生、アガーテ先生、クラウゼン先生もいる。みーちゃんはその場でごろん、ごろんと寝転がって喜びのダンスを踊り、ぐーちゃんはしっぽをぴん、と立てて頭をこすりつけてきた。
「私たち、ついに見つけたのです!そちらの世界と自由に行き来できる方法を」
「見つけたっていうか、無理やり生み出したのだけれどね。魔法陣に光魔法と闇魔法をそれぞれ織り込んで、いくつかの魔法道具に薬草も調合しまして」
「王妃候補が二人も禁忌魔法に手を出して…まったくもう」
アガーテ先生が手で顔を覆う。この学園のガバナンス大丈夫なんだろうか。
「約束ですわ!シオダさん、案内してくださいませ」
リリアの目がまるで満天の星空のように輝く。
塩田は頭を掻きながら、小さくため息をついた。
「……仕方ねぇな」
それにしても塩田、アニメのTシャツに短パンにサンダルって、もうちょっと格好何とかならなかったのかよ。




