星灯祭 十三
ローゼンクロイツ侯爵は騎士たちに拘束された。あそこにいるのは自分だったかも、という恐怖に震える。…その先に待つのは、私と同じ運命なのか。
「ローワン先生、ローゼンクロイツ侯爵、断罪されてしまうんでしょうか……し、死刑なんてことは」
「ババリアーナの暗殺未遂、王族たちへの危害、これだけの被害が出たんだ。罪は軽くはないだろうな」
「でも、あの方はオフィーリア嬢の…」
「ちゃんと分かってるさ、殿下を信じろ」
ローワン先生に背中を軽く叩かれる。そうだ、きっとアルフォンス王子が力になってくれる。
「…聞いてねぇぞ…そんな大物が黒幕なんて、ゲームにはない設定だ。これはゲームによく似た、現実の世界なのか?」
エヴァンが独りごちた。
私はちら、とオフィーリア嬢の方を見た。泣き崩れたオフィーリア嬢に、手を貸すものはいない。
私はオフィーリア嬢の方へ向かった。オフィーリア嬢は顔を上げ、私を見ると体を震わせた。
「…オフィーリア嬢。私、貴女の歌声がとても好きですわ。よろしければ、またお聞かせいただけませんか?」
オフィーリア嬢は小さく頷き、目に涙を浮かべた。私はそんな彼女を、ただ抱きしめることしかできなかった。
儀式は中止になったけれど、結界石に魔法は注がれ、星灯祭は無事に幕を下ろした。
後日、闇魔法使いから情報を得て分かったことが幾つかあり、私たちは学園長室に招かれ、先生方に説明を受けた。
「えー、コホン。禁忌とされている闇魔法を使ったことについては、今回は目を瞑ります」
アガーテ先生に目を瞑らせてばかりいるな、私。そして闇魔法についての禁書を貸してくれたのはローワン先生なので、先生も同罪である。
「…貴女たちは、禁忌魔法である『魂の召喚』によって、その肉体に呼ばれたようですね」
「魂の…召喚?」
「それってつまり、死んで生まれ変わった訳じゃないってことか!?」
「ええ、元の世界に肉体はあると思いますよ。肉体の無事は保証できかねますが」
エヴァンと顔を見合わせる。…死んだ訳じゃない?
「でも、どうやったら元の世界に…」
「じゃあ本物のエヴァンはどこにいるんだよ…」
「落ち着け、二人とも。一つずつ、順番に解決していこう」
「その前に貴方もですよ、ローワン先生。貴方も中身、入れ替わってますよね?」
「え」
「は!?」
クラウゼン先生がやれやれ、とばかりにため息をつく。
「……何で分かったんですか?」
「元々誰に対しても分け隔てなく接する貴方が、一ヶ月ほど前より約一名に肩入れし過ぎてるんですよ」
ローワン先生は軽く笑う。それは間違いなく私のことだ。




