星灯祭 十二
「ちなみに学園内は各所に、我々新聞部の映像撮影魔法が仕掛けられておりますので、お望みとあらば噴水の映像も提供できます。我々が見た限りではババリアーナ嬢が長時間この周辺にいた痕跡はございませんでした、以上」
説明長いよペネロペ嬢、思わず笑ってしまう。
「…そうだよな、ババリアーナ嬢はずっとモチツキ、稲刈りをしていたな」
「星灯祭の間、レオンハルトと一緒に肉食ってたし」
「ティーパーティの間、ダイフクをめっちゃ美味そうに頬張ってたな」
やめろやめろ、ただの食い意地の張った女像が出来上がってるじゃないか。なんかもっといい根拠があるだろ。
「…そこまでです、ローゼンクロイツ侯爵」
クラウゼン先生が、王族と騎士たちの後方にいた観客の前に立ち、言った。
「貴方の別名義の銀行口座から、多額の資金が引き出されているのを確認しました。学園の帳簿の使途不明金と同じ額のものです。貴方は闇魔法の使い手を多額の報酬で雇った、違いますか?」
観客たちがざわめく。…ローゼンクロイツ?誰?
「…証拠はどこにある、不敬に当たるぞ」
「魔法使いなら、学園の水田で稲に絡まって、動けなくなっていたわよ?」
アガーテ先生が言う。騎士課の人たちが両脇を抱えて運んできたのは、黒いローブに全身を包み、フードで顔まで覆った背の高い男性だ。
なるほど全身にびっしり、異常な長さの稲が絡まっている。
「…ぐー、ちゃん?」
『すわ』
ぐーちゃんを抱っこする。尻尾をゆらゆら振って、『何のことですか』と言わんばかりに澄ました顔をしている。
「…っ、誰よりも王妃に相応しいのは、我が娘オフィーリアだろう!わしがそのように育てた!家柄、美貌、知性を兼ね備えた、最高の宝石だ!」
「もうおやめ下さい、お父様…!私は、私は、家のために生きるのはもう嫌です!!」
…オフィーリア嬢、リリア、私に次いで王妃候補の令嬢。合点がいった、私の存在ごと邪魔だった訳か。
「恐れながらローゼンクロイツ侯爵、僕は家柄で結婚相手を決めるつもりはありません」
アルフォンス王子が口を開いた。
「僕は、幼馴染にずっと、『結婚相手に相応しいか見極めろ、周りに流されるな』と言われ続けてきました。だから僕は見極めるつもりです、この国を発展させるために、共に歩いてくれる人かどうかを。それが例え闇魔法の使い手であったとしても」
アルフォンス王子と目が合った。でもきっと彼は、私の中のババリアーナを見つめているんだ。
ぐーちゃんは犯人を捕まえたかったのではなく
水田を踏み荒らしたやつを懲らしめたかったようです




